被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

個人間融資を利用したら個人情報と手数料を求められた

 ちょっとしたお金が必要になったので、個人間融資をTwitterで募集したところ、貸してくれるという人が連絡をくれました。保証金ということでまずは1割入金し、1時間以内に希望金額を振り込んでくれるという流れです。以前も利用したことがあり、問題なかったので今回も10万円の1割、1万円を指定口座に振り込みました。しかし、1時間経っても振り込んでもらえず、連絡しても返事がありません。

 もちろん、ネット詐欺です。個人間融資とは、ブラックリストに載っている人たちなどが5万~30万円程度のお金をすぐに手に入れたくて利用しているお金のやりとり方法です。掲示板やTwitterを利用しており、利子を目当てにしている人たちとマッチングしています。しかし、企業の審査が一切入っていないので、いろいろなトラブルの温床になっています。

 よくあるのが、保証金や利子の前払いという名目で、逆に少額を振り込ませるものです。それで身元確認ということで本当に貸してくれるケースもあるようですが、当然そのまま逃げてしまう輩もいます。少額の上、グレーなやりとりをしているので、なかなか警察に行きにくいですし、行っても本格的な捜査をしてくれるかどうかは微妙なところです。

 中国で実際に起きている事例ですが、女性に裸の写真を担保として要求することもあります。この「裸ローン」を返済できないと、写真が公開されてしまうというものです。日本の場合は、写真を送ってもお金が借りられるとは限りませんし、返済しても写真を消してくれるとは限りません。リスクが大きすぎます。女性の借主に直接会ってお金を渡すというケースもありますが、こちらも危険が伴います。

 ほかには、身元確認ということで免許証やパスポートの写真を送らせるケースもあります。こちらも個人情報をまるまる盗られて終わりです。

 まれに本当に振り込まれることもあるようですが、親切心からではありません。個人情報や口座の情報から絶対に回収できると判断したためです。ヤミ金業者の可能性だってあります。世の中にそんなに美味しい話はありません。信用がゼロなのに何十万円も借りたいとか、ちょっと振り込んだだけでそこそこの利子が確実に手に入るとか、欲望に目がくらむと、目の前のリスクに気が付かなくなります。

 もちろん、貸す方も回収できないリスクはとても高いと言えるでしょう。元々、正規のルートでお金を借りられない状態の人がネットだけで借りようとしているのですから、逃げようと思うと簡単です。一般人には、なかなか追いかけることはできないので泣き寝入りになります。フリマアプリを利用してお金の授受を行っているケースもありますが、隠語を使ったとしても運営側に見つかればアカウント停止となってしまいます。

 この手のネット詐欺に遭わないためには、個人間融資には借りる側でも貸す側でも近づかないことが重要です。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。