被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
人気YouTuber「きまぐれクック」のかねこさんも被害に、フィッシング詐欺に“引っ掛かりやすいタイミング”を回避しよう
2021年7月9日 06:00
2021年3月16日、登録者数435万人を超えるYouTubeチャンネル「きまぐれクック」で動画配信をしている人気YouTuberのかねこさんは、フィッシング詐欺に関する注意喚起の動画をサブチャンネルに投稿しました。動画では、かねこさん自身がAmazonをかたるフィッシング詐欺に遭い、26万円の被害を受けてしまったことを打ち明けています。
かねこさんは、12月時点でもAmazonをかたるSMSを受け取っていたのですが、このときはフィッシング詐欺だと見破り、スルーしました。しかし、今回は引っ掛かってしまいました。
マジで気をつけてください。
— かねこ@きまぐれクック🔪🐡 (@Kneko__)March 16, 2021
【注意喚起】Amazonになりすましたフィッシングメールに引っ掛かり、26万使われましたhttps://t.co/n7ywzoGOPIpic.twitter.com/dOOwP0XBcA
「自分自身は絶対に引っ掛からないと思ってたんですよ」と油断していたことを後悔しています。届いたメッセージは「Amazonサービス規約違反のため、ログインが制限されています。ご確認下さい。」となっており、リンク先を開いたところ、Amazonそっくりのウェブサイトが用意されていて、住所とAmazonのID、パスワード、クレジットカード情報を入力してしまいました。
しかし、その後は入力完了画面が表示されず、エラー画面が表示されたため、フィッシング詐欺に遭ったことに気が付き、すぐにAmazonのパスワードを変更しました。
しかし、翌日、アメリカン・エキスプレス(アメックス)から、3万3000円分が利用されたとして、利用確認の通知メールが来ました。履歴を確認すると、さらにヨドバシカメラで108円、12万8000円、12万8000円と連続で購入されてたことが発覚します。もちろん、全て身に覚えのないものでした。フィッシング詐欺によって、クレジットカードが不正に利用されていたのです。
今回の不正利用被害は、全てクレジットカード会社が負担してくれたそうです。クレジットカード会社が利用パターンを分析して怪しいと判断したため、連絡をしてくれましたが、状況によっては普通に請求が来ることもあります。しかし、その請求も確認せず引き落とされてしまうと被害回復が難しくなります。今回は不幸中の幸いと言っていいでしょう。
寝起きのタイミングは危険、判断が鈍っている状態はフィッシング詐欺の被害に遭いやすい
事務所のマネージャーからは、フィッシング詐欺に気を付けるように言われており、日ごろから注意していたというかねこさんがなぜ、うっかりフィッシング詐欺の被害に遭ってしまったのでしょうか。
ご本人も動画内で説明していますが、それは、寝起きで判断力が鈍っている状態でメッセージを見たからです。
筆者の周りでも、ITリテラシーの高い人たちが、フィッシング詐欺や架空請求詐欺に遭っています。振り込め詐欺の電話も午前中に多くかかる傾向が見られます。
今後、フィッシング詐欺をはじめとするネット詐欺に遭わないための基本として、「寝ぼけた状態で個人情報は絶対に入力しない」というルールをお勧めしたいと思います。また、「お酒を飲んでいる時にも個人情報の入力はしない」と決めましょう。寝起きと同様に判断力が落ちている状態になっているからです。
ネット詐欺はターゲットを焦らせて判断を鈍らせようと文面も工夫しています。今回は、サービスの規約違反が起こったことを説明することで、誰かが自分のアカウントに不正アクセスしているのではないだろうか、と思わせています。このほかにも、「dアカウントに異常ログインがある」「100万円がもらえる」などとさまざまな手口でフィッシングサイトに誘導しようとしてきます。
SMSなどで届くURLは基本的に直接開かないようにしましょう。自分で検索して該当するウェブサイトにアクセスするか、頻繁に利用するウェブサイトであれば、ブックマークに登録し、そこからアクセスするようにしましょう。
もし、フィッシング詐欺に遭ってしまったら、入力した情報に応じて後処理が必要です。パスワードを入力してしまったら、すぐ変更しましょう。もし、そのパスワードを別のウェブサービスなどで使い回しているなら、それらのサービスでも変更する必要があります。また、クレジットカード情報を入力してしまったのであれば、クレジットカード会社に相談して対処しましょう。
フィッシング詐欺に引っ掛かりやすい寝起きのタイミングでは対応しないというルールで、ネット詐欺を少しでも回避できるようにしましょう。ぜひ、頭の片隅に入れておいてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
- みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは
- チェーンメールで有名だった「神の手雲」が15年ぶりにLINEで回ってきた
- マイナポイント第2弾に便乗、「獲得したポイント2万円分が失効する」という詐欺メールが拡散中
- 注文した覚えはないのに? Amazonから代引き商品が送りつけられる詐欺に注意
- キャッシュカード&暗証番号を渡さなくても口座のお金が盗まれることも。自称「警察」から口座開設を求められたら要注意
- 「電話料金の未納があります」、フィリピンからNTTファイナンスをかたる怪しい国際電話がかかってきた
- Facebookで明石家さんまさん、大坂なおみさんなど著名人の写真を悪用したネット詐欺が横行中
- URLが本物そっくりな詐欺サイトに注意! 「ホモグラフ攻撃」などの手法を知っておこう
- ノブコブ吉村さんも遭遇、「PCのカメラからシャッター音! 何か撮影された!?」と驚かせる手口とは?
- SMSで不在通知が届いてもURLはクリック禁止! 偽宅配詐欺に要注意
- そのほかの詐欺事例など、この連載の記事一覧はこちら
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと