被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
高齢者より若者の被害報告が多い! アメリカの最新データで見るネット詐欺の最新状況
2021年8月13日 06:00
アメリカの連邦取引委員会(FTC:Federal Trade Commission)は、詐欺などの被害について消費者から寄せられた報告をもとにまとめたレポート「CONSUMER SENTINEL NETWORK DATA BOOK 2020」を2月に公開しました。今回はそのレポートからネット詐欺の最新の傾向について確認してみましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
FTCには2020年に470万件以上の報告が寄せられました。そのうち、約半数となる46%を詐欺が占めており、さらにそのうちの34%が実際に金銭的な被害に遭ったものになります。手口はロマンス詐欺や政府をかたる詐欺、投資詐欺、偽造小切手詐欺など、さまざまです。被害額は合計で33億ドルを超え、2019年に比べると約15億ドル増加しています。在宅時間が増えるようになったコロナ禍において、ネット詐欺による被害が激増しているのです。
被害額の中央値は311ドルですが、平均2000ドル近い被害が出ています。意外と小さい金額と思うかもしれませんが、この被害が積み重なり、日本円で3600億円以上の被害になっているのです。
詐欺の被害額が大きい州は、ネバダ州、デラウェア州、フロリダ州、メリーランド州、ジョージア州でした。
若者の被害報告が多い一方で、被害額は高齢者が多い傾向に
分析結果によると、高齢者より若者の方が詐欺による被害に遭っていることが分かりました。全体に占める割合は、70~79歳が20%で、20~29歳が44%に上ります。
しかし、年代が上がるほど平均被害額が大きくなります。被害額の平均は、20代が324ドルですが、70代は635ドル、80代以上は1300ドルに上りました。
詐欺で報告が多いカテゴリーのトップ10、合計被害額、被害額の中央値についてもまとめています。
順位 | カテゴリー | 合計額(ドル) | 中央値(ドル) |
1 | 詐欺 | 11億9000万 | 850 |
2 | オンラインショッピングと否定的なレビュー | 2億4600万 | 100 |
3 | インターネットサービス | 1億7000万 | 210 |
4 | 賞品、懸賞、宝くじ | 1億6600万 | 1000 |
5 | 電話およびモバイルサービス | 3200万 | 225 |
6 | 旅行、休暇、タイムシェアプラン | 1億7500万 | 1100 |
7 | ビジネスと仕事の機会 | 1億6800万 | 1950 |
8 | ヘルスケア | 2100万 | 134 |
9 | 外貨の提供と偽造小切手詐欺 | 4600万 | 1980 |
10 | 投資関連 | 3億8700万 | 1566 |
※1位の手口に関しては、2~10位以外の手口をまとめたものになります。具体的には、サポート詐欺、ロマンス詐欺などが含まれます。 |
また、詐欺被害に遭ったときに、お金を奪われる手段はいくつかあります。支払い方法別での1位はクレジットカード、2位がデビットカード、3位は「○○Pay」などの支払いアプリサービスです。Google Play ギフトカードやアマゾンギフトカードなどの番号を盗む手口は5位です。ビットコインなどの暗号通貨は8位です。
しかし、合計の被害額は被害報告数と比例しておらず、銀行振り込みと電信送金が2トップになりました。続いて、クレジットカード、キャッシングサービス、暗号通貨の順になります。暗号通貨に関しては被害報告数が少ないですが、被害額が大きいことが特徴です。
今回のレポートから分かったのは、ネット詐欺に関して若者からの被害報告が多いということです。確かに、筆者が所属するNPO法人デジタルリテラシー向上機構への問い合わせも、20~30代が非常に多いです。
近年はネット詐欺関連のニュースがテレビで頻繁に報じられるようになり、コロナ禍になって多数の情報が発信されました。それでも、被害が増大しているので、まだまだ啓発不足だと言えます。
本連載でも被害事例などを引き続き紹介し、デジタルリテラシーを向上できるようにしていきたいと思います。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと