被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

ライブ配信サイトでオリンピック観戦しようとしたらフィッシング詐欺に遭った

 セキュリティ企業のトレンドマイクロは7月19日、東京オリンピック関連のライブ配信サイトを装う不審なウェブサイトについて注意喚起を行いました。この怪しいウェブサイトは「ブラウザ通知スパム」を表示させるための詐欺サイトなので注意が必要です。

 ブラウザ通知スパムを許可してしまうと、偽の警告メッセージが表示され、フィッシング詐欺サイトやセキュリティ詐欺サイトへ誘導されます。詳しくは過去記事の『「ブラウザ通知スパム」からのセキュリティ詐欺コンボにご注意!』で紹介しています。

7月19日時点では、怪しいウェブサイトがGoogle検索でヒットしました(画像はトレンドマイクロより)
「ブラウザ通知スパム」を許可するとこのようなメッセージが開き、詐欺サイトに誘導されます(画像はトレンドマイクロより)

 7月21日には、警視庁が東京オリンピックのライブ配信サイトを装ったフィッシング詐欺サイトについて注意喚起を行いました。警視庁サイバーセキュリティ対策本部のツイッターアカウント(@MPD_cybersec)では、大会の映像を見ようとした男性が、フィッシング詐欺サイトで個人情報などを入力しそうになったところを制止される、といったアニメ映像が公開されています。

 フィッシング詐欺サイトに個人情報を入力すると、メールアドレスには詐欺メールが続々届くようになります。住所や氏名、電話番号などは犯罪者向けの闇サイトで売買されるかもしれません。クレジットカード番号を入力してしまったなら、不正利用されてしまいます。

 もし誤って入力してしまったら、まずはクレジットカード会社に連絡して早い段階から利用を停止する必要があります。パスワードを入力してしまった場合も不正利用される危険があります。パスワードを他のウェブサービスでも流用していれば被害はさらに拡大します。ウェブサービスごとに異なるパスワードを設定するようにしましょう。

 どちらの事例も、東京オリンピックのライブ映像をインターネットで視聴しようとする人たちをターゲットにしています。試しに、「オリンピック」「視聴」「無料」などと検索し、片っ端からURLを開いてみたところ、いくつか詐欺サイトを見つけました。Googleも完全に除去できているわけではなさそうです。

 詐欺サイトを表示すると、スポーツ中継のような映像が一瞬流れるのですが、すぐに画面が切り替わり、無料アカウントを作成するように促してきます。

 しかし、無料アカウントと説明しているのにもかかわらず、クレジットカード番号を入力させようとします。しかも、「なぜ請求情報が必要なのですか?」「本日中にサインアップする理由」などの項目があり、クレジットカード番号などの情報がなぜ必要なのか、もっともらしい理由が書かれています。しかし、実際にはサブスクリプション契約となっており、30~70ドルが定期的に引き落とされるようになっています。

試しに無料アカウント作成の画面を開いてみると、クレジットカード番号の入力を求められました

 東京オリンピックの映像を見たいなら、公式サイトや民放テレビ局のオリンピック公式動画サイト「gorin.jp」などを利用しましょう。適当に検索したサービスを利用するのは、リスクが大きいということは肝に銘じてください。

 「ブラウザ通知スパム」は許可しない、怪しいサイトには個人情報を入力しない、といった基本知識も重要です。デジタルリテラシーを身に付け、ネット詐欺の被害に遭わないようにしましょう。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと