被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

NTTドコモをかたる怪しいSMS、偽セキュリティアプリをインストールしてしまった

 NTTドコモをかたり、SMSで「ご利用料金のお支払い確認が取れておりません」「お客様がご利用の電話料金が大変高額となっております」などといったメッセージを送りつけて、同社が提供する「あんしんセキュリティ」を装った偽アプリをインストールさせようとするネット詐欺が広まっています。

 もし、偽アプリをインストールしてしまい、SMSや電話、連絡先などへのアクセスを許可してしまうと、個人情報漏えいの被害などに遭う可能性があります。絶対に引っ掛からないように、事例をチェックしておきましょう。

 例えば、Androidのスマートフォンで前述の不審なSMSに記載されているURLを開いたり、怪しいウェブサイトを閲覧した場合「マルウェアが検出されました」という警告画面が表示されます。「スキャン」と書かれたボタンをタップすると、「お客さまが使用しているアプリのバージョンが古い」などといったメッセージが表示されます(iPhoneの場合はNTTドコモの正規サイトが開くこともありますが、dアカウントのフィッシングサイトにつながる事例もあるため注意が必要です)。

不審なSMSに記載されたURLを開くと「マルウェアが検出されました」という偽の警告画面が表示されます
「あんしんセキュリティ」のバージョンが古いと警告されます

 メッセージの内容に従うと、NTTドコモのウェブサイトにそっくりなデザインのウェブページが開きます。アプリのインストール手順が表示されているのですが、例えば「不明なアプリのインストール」画面が表示されても許可をすることや、すでにインストールされている正規の「あんしんセキュリティ」をアンインストールするように指示します。

インストール済みの正規のセキュリティアプリをアンインストールする手順が細かく紹介されています

 ダウンロードボタンをタップすると、「あんしんセキュリティ.apk」というファイルをダウンロードする画面が開きます。偽アプリをインストールする際、Androidでは「Google Playプロテクト」やセキュリティアプリが警告を出すことがあります。ここで作業を止めれば被害を受けることはありません。

 しかし、偽アプリであることに気付かないままインストールし、SMSや電話、連絡帳へのアクセス権限を与えてしまうと、犯罪者が悪用できるような状態になってしまいます。

「あんしんセキュリティ.apk」という偽アプリをダウンロードさせようとします

 この手のネット詐欺に遭わないためには、不審な送信元からのSMSのURLは開かない、ということが重要です。同じような文面のフィッシング詐欺について、サービス提供側が注意喚起をしていることもあるので、あわせて確認することも重要です。

 ちなみに、今回届いたSMSの日本語の内容は自然でしたが、不自然で内容が分かりにくいケースや、見慣れない文字のフォントが一部使われる場合もあるなど、海外の犯罪者がフィッシング詐欺を仕掛けてくることがあります。

 もし、不審なアプリをインストールしてしまったなら、すぐにアンインストールし、SMSやメール、電話などの履歴を開き、不正利用されていないかどうかを確認する必要があります。スマートフォンにアプリをインストールする際は、Androidなら「Google Play」、iPhoneは「App Store」といった公式アプリストアからダウンロードするようにしましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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