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Windows Media Player 10 |
アップルが米国で先鞭をつけた音楽配信サービス「iTunes Music Store」は大成功を収めたが、国内では音楽配信サービスはすでに10以上もあるものの、まだ普及しているとは言いがたい状況だ。
しかし、20日にマイクロソフトが「MSNミュージック」を開始、Windows Media Player 10の発表にあわせて音楽配信サービスに参入した。著作権管理技術Windows Media DRM 10も同時リリースされ、こうした著作権管理技術に対応した音楽プレーヤーが増えてくれば、利用者にとってはよりわかりやすい音楽配信サービスとなってくることが予想される。
音楽配信サービスには、著作権管理技術が欠かせないが、現在は、マイクロソフトのWindows Media DRMを採用するサービスとソニーの提唱するOpenMGを採用するサービスがある。利用している携帯音楽プレーヤーによって、これらの著作権管理技術への対応が異なるため、利用前に注意が必要だ。たとえば、現在のHDウォークマンではATRAC3形式にしか対応していないため、HDウォークマンユーザーならOpenMGを採用したサービスを利用することになるだろう。
●実はもうこんなにある国内の音楽配信サービス
国内でもすでに10以上の企業・団体が、有名アーティストの楽曲を用意した本格的な音楽配信サービスを開始している。なお現在は、1曲あたりの販売価格を150~300円、携帯用音楽プレーヤーへの転送は3回までと設定しているケースが多いようだ。
■ MSNミュージック
http://music.msn.co.jp/
Windows Media Player 10の発表にあわせて20日に開始された音楽配信サービス。Windows Media Player 10からも楽曲の購入が可能だ。東芝EMI、ワーナーミュージック・ジャパンなど10社の音楽レーベルが参加、楽曲はサービス開始時点で50,000曲程度を揃える。曲の配信形式はWMAで、Windows Media DRMに対応する携帯音楽プレイヤーに3回まで曲を転送する事も可能。PCを買い換えた際に購入済みの楽曲を利用するために必要なライセンスの再発行にも対応する。
料金:1曲158~367円/配信形式:WMA
■ MusicDrop
http://musicdrop.jp/
レーベルゲートがWindows Media Player 10の発表と同時にスタートしたWindows Media Player 10専用の音楽配信サービス。楽曲の検索や視聴、購入はすべてWindows Media Player 10上で行なう。エイベックス、ソニー・ミュージックエンタテインメント、東芝EMI、ビクターエンタテインメントなど16社が参加を表明しており、2004年度中にMoraと同数の約8万曲まで取り揃える予定だ。なお、アルバム販売は現在行なわれておらず、1曲ごとの購入。Windows Media DRMをサポートし、携帯用音楽プレーヤーに3回まで転送できる。
料金:1曲158円~367円/配信形式:WMA
■ mora
http://mora.jp/
moraは、レーベルゲートが2004年4月に開始した音楽配信サービス。ソニーの提唱する著作権保護技術OpenMGを採用、ソニー製品ユーザーには利用しやすいサービスだ。音楽ダウンロードや再生にはソニーのプレーヤーソフト「MAGIQLIP2」を用いる。VAIO pocketやネットワークウォークマンに転送する機能もサポートする。
料金:1曲210~270円程度/配信形式:ATRAC3
■ @MUSIC
http://atmusic.avexnet.or.jp/
エイベックスの音楽配信サービス「@MUSIC」ではダウンロード方式に、NetMDを始めとしたATRAC3対応のプレーヤーを利用するユーザー向けの「LabelGateMQ方式」とWindows Media Playerユーザー向けの「WMA方式」を用意。1曲あたりの販売価格は、両形式とも210円程度から。また、会員向けに、月額315円で配信帯域が2Mbpsのミュージックムービーをダウンロードできるサービス「PRISMIX.TV」も提供している。
料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3、WMA
■ OnGen
http://www.ongen.net/
有線ブロードネットワークス(USEN)が8月から開始したサービス。USENは9月28日にエイベックスと資本提携を発表、エイベックスの筆頭株主となったことで注目された。Windows Media DRMをサポートする携帯用音楽プレーヤーへの転送は3回まで可能だ。またOnGenではカラオケ曲なども105円程度で扱っており、こちらはCD-Rへのバックアップを制限付きで認めているものもある。
料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
■ Listen Music Store
http://www.listen.co.jp/store/
Windows Media Playerを対象とした音楽配信サービス。米国Listen.comやトランスコスモスなどが出資するリッスンジャパンによって運営されている。Windows Media DRM対応の携帯用音楽プレーヤーへの転送は3回まで可能だ。著作権保護方式は、Windows Media DRMに対応。
料金:1曲210~270円程度/配信形式:WMA
■ Excite Music Store
http://www.excite.co.jp/music/store/
大手ポータルサイトのエキサイトも音楽配信サービスを5月から開始した。アーティストや作品ごとに異なるが、1曲あたりの価格は270円程度。アルバム単位での購入も可能だ。複数レーベルから楽曲提供を受け、登録曲数は2004年内に10万曲を目指しているという。Windows Media DRMに対応する携帯用音楽プレーヤーへの楽曲転送が可能だ。
料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
■ na@h!
http://naah.jvcmusic.co.jp/
ビクターエンタテインメントによる音楽配信サービスの名称は「na@h!(なあ!)」。配信形式はATRAC3とWMAの両方に対応している点が特長と言えるだろう。1曲あたりの中心価格帯は210円前後。携帯用音楽プレーヤーへの転送については配信形式に依存するため、利用案内を確認しよう。
料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3、WMA
■ music.co.jp
http://www.music.co.jp/
携帯電話向けコンテンツ事業などを幅広く手がけるMTIの100%子会社ミュージック・シーオー・ジェーピーによる音楽配信サービス。ラインナップには70年代の歌謡曲など、CDでの入手が比較的難しい作品が多い。楽曲はMP3もしくはWMA形式のいずれかで提供するが、WMA形式の場合はいったん楽曲をダウンロードすると、別のPCに転送できないので注意が必要だ。
料金:1曲210円程度/配信形式:WMA、MP3
■ bitmusic
http://bit.sonymusic.co.jp/
ソニーミュージックの手がける音楽配信サイト「bitmusic(ビットミュージック」。PC向けのプレーヤーソフト「MAGIQLIP2」を使って、ATRAC3方式の音楽をダウンロード・再生できる。購入した楽曲のNet MDやネットワークウォークマンへの転送(3回まで)や、買い換えたPCに転送する機能もサポート。発売中の曲はもちろん、新譜もCD発売日の正午から購入できるようにしているという。
料金:1曲210円程度/配信形式:ATRAC3
■ LOVEMUSIC
http://biglobe.lovemusic.jp/
BIGLOBE会員向けの音楽配信サービス。おもに東芝EMIレーベルの楽曲を取り扱う。2004年度末までに約10万曲をラインナップする計画だ。1曲あたりの販売価格は、邦楽の場合で270円から。Windows Media DRMをサポートする携帯用音楽プレーヤーへの転送が可能だ。LOVEMUSICではRio Japanの「Niturs-S」や「Karma」などを推奨している。
料金:1曲270円程度/配信形式:WMA
■ OCN MUSIC STORE
http://music-store.ocn.ne.jp/
NTTコミュニケーションズが運営するISP「OCN」の会員を対象としたサービス。Windows Media DRM対応の携帯音楽プレーヤーに転送しての楽曲再生も可能だ。1曲あたりの価格は210円前後。アルバム単位での販売も行なっている。なお、いったんダウンロードした楽曲を他のPCに移し替えての再生はできないので注意が必要だ。
料金:1曲210円程度/配信形式:WMA
■ エニーミュージック
http://www.anymusic.jp/
ここまで紹介したサービスとは異なり、専用のHDD搭載オーディオコンポで楽しめる音楽配信サービス。配信形式はATRAC3で著作権保護技術にはOpenMGを採用する。専用機器はケンウッド、パイオニア、シャープから発売中で、いずれもオープンプライス。利用登録手数料は315円で別途月額利用料の315円が必要。1曲あたりの販売価格は158~368円となっている。
料金:1曲158~368円/配信形式:ATRAC3
●音楽配信で利用するハード&ソフト
音楽配信サービスを利用するには、PC本体以外にも必要なものがある。ダウンロード・再生用のソフトウェアのほか、購入した音楽を外出先で聞くには携帯用音楽プレーヤーが必要だ。以下では、こうしたソフトウェア・ハードウェアのおもなものを紹介しよう。
■ Windows Mediaダウンロードセンター
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/download/
日本国内における多くの音楽配信サービスで利用されているメディアプレーヤーの最新版「Windows Media Player 10」が無料でダウンロードできる。Windows Media Player 10からは、楽曲の購入・決済が可能な機能が搭載され、対応音楽配信サービスをプレーヤー機能とシームレスで利用できるようになった。
■ アップルiPod
http://www.apple.com/jp/itunes/
日本で今もっとも有名な携帯用音楽プレーヤーといえば、このiPodだろう。楽曲の転送などに使う専用ソフト「iTunes」はCDのリッピングなども可能で、かつ無料で利用できる。音楽配信サービスを利用しない人でも、CDリッピングで試しに使ってみる価値はあるだろう。日本国内でも「iTunes Music Store」の開始が期待されるところだ。
■ MAGIQLIP2
http://www.openmg.com/jp/MAGIQLIP2/
ATRAC3形式での音楽配信サービスを利用するには不可欠な専用ソフト。無料でダウンロードできる。レーベルゲートCDなどのコピーコントロールCD(CCCD)からも曲を転送できる特長をもつ。CCCDはレコード業界で廃止の流れになっているが、既存の人気タイトルがあり、現在も流通している。
■ リアルネットワークス
http://www.jp.real.com/
映像・音声再生ソフト「RealPlayer 10」を公開する。Amazonをはじめとして、音楽の試聴用ファイルにReal形式を採用しているサイトが多く見られる。なお、有償版と無償版があるが、試聴用であれば無償版で十分だろう。
■ W.Walkman
http://www.walkman.sony.co.jp/
ウォークマンの公式サイト。HDDを搭載するネットワークウォークマン「NW-HD2」やNet MDウォークマンに関する情報もここから探せる。対応フォーマットがATRAC3だけという点でユーザーに敬遠されがちだったネットワークウォークマンだが、MP3対応を検討する表明。今後の製品が期待される。
■ 東芝デジタルオーディオプレーヤー
http://www.toshiba.co.jp/mobileav/audio/
東芝の携帯用音楽プレーヤー「gigabeat」シリーズの製品情報サイト。一部の機種が、Excite Music Storeなどで推奨プレーヤーとして選定されている。なお、gigabeat F10/F20/F60/G10の4製品が11月下旬から12月上旬にかけて発売される予定だ。
■ クリエイティブメディア
http://jp.creative.com/
HDD搭載型の「Zen」、マイクロドライブやフラッシュメモリに対応した「MuVo」などのシリーズを発売する。音楽配信サービスで購入した楽曲を利用するためのアップデートプログラムなども公開中だ。
■ RioAudio
http://www.rioaudio.jp/
現在は携帯用音楽プレーヤーに注力しているRio Japanのホームページ。発売中のNitrus/Eigen、Karmaなどが、OCN MUSIC STOREを始めとしたサービスと連動性があるという。5GBのHDD搭載を搭載した「Rio Carbon」が10月中旬に発売予定だ。
●音楽配信サービスに詳しくなろう
最後に、音楽配信サービスをより詳しく知るために便利な情報サイト、今後オープン予定の音楽配信サイトを紹介しよう。新製品・新サービスによって一気に潮流の変わる可能性がある新しい分野だけに、新情報にはこまめにチェックしたい。
■ Yahoo!ニュース デジタル音楽配信
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/computer/music_distribution/
Yahoo! JAPANのサイトで見られるニュースのうち、特に音楽配信に関するものだけが集められたページ。auが携帯電話向けに始める音楽配信サービス「着うたフル」や、海外で人気のサービスといったニュースも網羅される。定期的にチェックすれば、音楽配信の“今”がわかるはずだ。
■ ORICON STYLE
http://www.oricon.co.jp/
独自の音楽セールスランキングなどを発表するオリコンは、音楽配信事業に取り組む新会社を設立。2005年1月をメドにサービスを開始する予定だという。具体的な配信方法についてもすでに発表済みで、ファイル形式はWMA、携帯用音楽プレーヤーに3回まで転送可能にするという。
■ NHJ
http://www.nhjapan.co.jp/
携帯用音楽プレーヤーを発売するNHJも、「Listen Music Store」を運営するリッスンジャパンから楽曲の提供を受けて、11月上旬より音楽配信サービスを開始する(発表資料)。
(2004/10/22)
[森田秀一]
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