ゲーム攻略情報サイトをはじめとして、いわゆる“まとめサイト”はたいてい「Wiki(ウィキ)」と呼ばれるサービスを利用している。インターネットのサービスに特に詳しくなくても、Wikiという名前自体は知らなくても、いまや誰でも利用したことがあると言ってよいほど普及しているWebサービスだ。
「Wiki」という言葉の語源は、ハワイで使われる「速い」「急ぐ」という意味の言葉に由来するという。掲示板やグループウェア、ブログなどと違うWikiの特長は、特定テーマに関して、複数の人間で共有し編集することで、そこに情報を集約するのにとくに優れる点だ。
ここでは、Wikiというシステムを使った代表的な知識共有サイトや、無料で手軽に利用できるWikiサービスなどを挙げることで、Wikiというサービスを総合的にご紹介していきたい。
●Wikiの利用事例を見てみよう
Wikiの特徴は、前述の通り、複数のユーザーが自由にページを編集できること(特定ユーザーに制限することなども可能)だ。書き込みを時系列に扱う掲示板とは異なり、できあがりは目次をつけた1冊の本のようになるため、知識を体系的にまとめやすい。以下では、まずWikiの利用事例を具体的に見ていこう。
なお、Wikiは不特定多数のユーザーが多くの場合匿名で編集できるという構造上、不正確な情報が掲載される可能性がある。各サイトとも改版履歴を保存するなどの対応を行なっているが、記述の信頼性についてはとくに保証がない点は、念頭において利用したい。
■ ウィキペディア(Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/
複数人のユーザーが自由に編集できるWikiの特性を活かした、誰でも手軽に閲覧・編集できるオンライン百科事典としておなじみ。日本語版サイトでも45万本以上の記事が蓄積されているという。「Wiki」の項目では語源や特徴、構文ルールまでWikiにまつわる一通りの情報が得られる。
■ もじら組 Wiki
http://wiki.mozilla.gr.jp/
FirefoxやThunderbirdなどMozilla関連ソフトについての情報を取り扱うWiki。製品に対するよくある質問や、便利なサイトへのリンクなどがまとめられている。TOPページ右ペインは目次になっており、目的の情報も探しやすい。
■ OpenOffice.org Wiki
http://wiki.services.openoffice.org/wiki/Ja.openoffice.org/documentation/start
無償提供されているオープンソースの統合オフィスソフト群「OpenOffice.org」の概要を記したWiki。開発の経緯から入手先、無料である理由などが解説されている。
■ タブブラウザ Sleipnir オンラインデータベース
http://www.sleipnir-wiki.jp/
カスタマイズ性の高さや機能面の充実から人気を集めるタブブラウザ「Sleipnir」のサポート情報が集積されたWiki。困ったときにのぞいてみよう。なお、TOPページ以外は自由に編集可能。「非公式Tips」のページなども用意されている。
■ エキサイトイズム アップルwiki
http://apple.ism.excite.co.jp/
ポータルサイト大手「エキサイト」で公開中。タイトル通り、Macintoshをはじめとしたアップル製品について幅広くまとめられている。「PowerBook」や初代「iMac(ボンダイブルー)」などの懐かしい製品が写真とともにチェックできる。
■ Windows Vista Wiki
http://windowsvista.ms/
Windows Vistaの運用に関するよくある質問、ソフトウェアやドライバの対応状況がまとめられている。同OSの開発元であるマイクロソフトとは直接関係のない非公式のユーザーコミュニティだが、それだけに実用的かつ具体的な情報も多い。
■ ニコニコ動画まとめwiki
http://nicowiki.com/
ユーザー投稿動画に字幕風コメントをつけられる「ニコニコ動画」の利用法を詳しく解説。動画の作成方法からエンコード法、コメント制御コマンドなどがチェックできる。「初心者向けQ&A」も参考にしたい。
■ 2ちゃんねるWiki
http://info.2ch.net/wiki/
国内最大級の掲示板サービスとして知られる「2ちゃんねる」。その運営に関する各種プロジェクトの概要をまとめたのがこちらのWikiだ。「記念カキコ」や練習用のページも用意されている。
■ エイプリルフールWiki
http://hiki.koubou.com/AprilFool/
4月1日の風物詩「エイプリルフール」の情報をまとめたWiki。年にわずか1日、ネット上では短時間の公開となる場合も多いだけに貴重な情報源と言えるだろう。告知にも使えるとのことなので、良いネタを持っているならWikiの練習がてら書き込みすると良いかも?
●便利なWikiを自分でも作ってみよう!
さまざまな用途に使えるWikiだが、実は開設するのは非常に簡単だ。ブログサービスやSNSへの登録と同じ程度の手間で開設できる。使い方は利用者のアイデア次第だ。注目製品の情報・Q&Aなどを整理した「まとめサイト」や仕事に役立つテンプレートやノウハウ類はもちろん、この記事のようなリンク集にも使えるはずだ。
■ @Wiki
http://atwiki.jp/
広告収入によって無料運営されているWiki開設サービス。メールアドレスやパスワードを登録するだけで簡単に利用できるほか、初心者向けのわかりやすいガイド記事も掲載している。TOPページには、最近更新されたWikiの一覧がまとめられているのでサイトデザインや機能面の参考にしよう。
■ livedoor Wiki
http://wiki.livedoor.com/
ポータルサイト「livedoor」による無料Wiki。Wiki独特の記述法に加え、ワープロ感覚で編集できる入力モードを用意しており、初心者でも利用しやすいのが特徴という。利用できるデザインテンプレートも一覧形式であらかじめチェックできる。
■ FC2WIKI
http://wiki.fc2.com/
無料ブログ・掲示板サービスなどを手がけるFC2では、2007年10月からWikiも提供中。1月に大幅なアップデートを実施し、テンプレート選択や携帯電話からの閲覧機能、RSS配信、新規タグなどを追加した。
■ WikiHouse
http://www.wikihouse.com/pukiwiki/
「PukiWiki」と呼ばれるWikiソフトウェアで構築された無料サービス。メールアドレスやIDの登録だけで利用できる。利用規約のページでは禁止事項やバナー広告の取り扱いなどについて詳しくまとめられているのであらかじめ読んでおこう。
■ WIKIWIKI.jp*
http://wikiwiki.jp/
多機能をアピールする無料Wikiサービス。Wikiソフトウェアには「PukiWiki Plus!」を採用し、ページ段組を2段・3段から選べるほか、スパム対策なども積極的に導入しているという。
■ Wikis
http://www.wikis.jp/
無料Wikiサービス「Wikis」では、マウスオーバーで展開するメニューなど、作り込んだデフォルトテンプレートを提供。カラーも11色から選択できる。テンプレート変更機能自体も順次公開予定としている。
■ FSWiki.com
http://fswiki.com/
有料コンサルティングサービスとともに、無料Wikiを提供中。カスタマイズ性などは制限されているが、静的URL風の「FancyURL」を使えるといったメリットもあるという。
■ MyWiki
http://mywiki.jp/
複数のドメインが利用可能な無料Wikiサービス。「wikiwikiweb.jp」や「mywiki.biz」などあらかじめ用意された7種類に加え、独自ドメインも利用できるという。機能向上リクエストを受け付ける「欲しいプラグイン」のページも用意。
■ WikiPlus
http://www.wikiplus.jp/
こちらは有料のWiki開設代行サービス。基本容量500MB、月間転送量5GBの「スタンダード」プランは初期設定費用7,800円、月額7,800円。3カ月間無料のお試しアカウントも提供している。
■ Gamedb
http://gamedb.info/
ゲーム専門Wikiのみ開設可能な無料サービス。CSSのカスタマイズなどにも対応する。新規登録にあたっては、テーマとするゲーム名や希望IDなどの必要事項をフォームから申請すると、原則24時間以内に申し込み完了メールが届く。
■ Zoho Wiki
http://wiki.zoho.com/
米AdventNetによる無料Wikiサービス。登録フォームをはじめ主要なユーザーインターフェイスが日本語化されており、比較的気軽に利用できる。なおこちらのサイトでは「Zoho Writer」や「Zoho Sheet」などWebブラウザ上から使えるオフィスソフトも公開中だ。
■ ウィキア
http://ja.wikia.com/
企業利用なども想定した大規模Wikiを構築可能なサービス。ウィキペディアの創設者Jimmy Wales氏らが設立した「Wikia」によって運営されている。開設にあたっては運営側の審査が行なわれるなど、一般のWikiとは使い道がやや異なるので注意しよう。
●独自ドメインやカスタマイズが必要なら
上で紹介したWikiの無料レンタルサービスは非常に手軽だが、アクセスしやすい独自ドメインで運用する、あるいは無料サービスの多くで強制的に入る広告が入らない形で運用したい、といった場合は、自サーバーで運用することも可能だ。
個人が独自ドメインを利用したい場合などは、Wikiの設定がしやすいレンタルサーバーを利用するのがもっとも手軽だろう。しかし、自分ですでにサーバーを立てている場合や、企業で自社サーバーを持つ場合は、Wikiソフトウェア(Wikiエンジン、Wikiクローンなどとも呼ばれる)をサーバーにインストールして、独自で運用するという道もある。Wiki関連のソフトウェアは多くが無料公開されているので、ここではそうしたソフトウェアもご紹介しておこう。
■ YukiWiki
http://www.hyuki.com/yukiwiki/
結城浩氏によって作成されたフリーのWikiソフトウェア。Perlが利用可能なWebサーバーであれば比較的容易に設置できるという。 「結城浩のWiki入門」という書籍も出版されている。
■ PukiWiki
http://pukiwiki.sourceforge.jp/
前述のYukiWikiをベースに、PHP環境で動作するようカスタマイズされている。これまで紹介した無料Wikiサービスでも、このソフトを利用しているケースが多い。なお「活用事例」のページは、実質的にPukiWiki利用サイトのリンク集となっている。実用性も高いのでぜひチェックしてみよう。
■ PyukiWiki
http://pyukiwiki.sourceforge.jp/
YukiWikiから派生しつつも、PukiWiki互換を目指したというWikiソフトウェア。一般的なPerl環境で動作するため、無料のホームページサービスなどでも利用しやすいという。
■ FreeStyle Wiki
http://fswiki.org/
無料のWikiレンタルサービス「FSWiki」で採用されているWikiソフトウェア。こちらもPerlで書かれており、データベースも不要なため汎用性が高い。また簡易なユーザー認証機能も実装済み。
■ MediaWiki
http://www.mediawiki.org/wiki/MediaWiki/ja
元来はウィキペディア向けに作成されたWikiソフトウェアで、1日あたり数百万の大規模Wiki運用にも耐えうるのが最大の特徴。 ページ改版の履歴を保存するため、荒らし行為があった場合でも正常な状態に復元しやすい。なお運用にはデータベースのMySQL、PHPなどが必要。
(2008/01/25)
[森田秀一]
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