地図と位置情報

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陸上自衛隊「地理情報隊」の任務とは?

 G空間EXPOには初出展で、展示会場で一際目立っていたのが、陸上自衛隊の中央情報隊に所属する「地理情報隊」。自衛隊の中において地図作りなどを行うための部隊であり、東京都立川市の東立川駐屯地に所在する。陸上自衛隊などの各部隊に対してさまざまな地理空間情報を作成・提供するのが彼らの任務であり、自衛隊員が野外において行動する際の地図も作成している。

陸上自衛隊のブース

 編成は、航空写真判読や画像処理を行う「本部管理中隊」、測量や紙地図編集を行う「測図中隊」、電子地図の編集を行う「電子地図中隊」、地誌編集や3次元地図の編集を行う「地誌中隊」、地図複製や地図の補給を行う「複製補給中隊」に分かれている。

 陸上自衛隊の隊員が使う地図は、一般の地図とは異なり、「UTM座標」という特殊な座標が使用されている。このUTM座標の線が入った地図や、国土地理院の地図に災害時の被災状況を重ねた地図なども展示されていた。また、会議などに使う立体地図を3Dプリンターで作成することもあり、伊勢志摩サミットの警備のときに使われた賢島の立体模型も展示されていた。同部隊には最近はドローンも配備され、今後は災害時に空撮などを行うことなども検討しているという。

「UTM座標」の線が描かれた地図
賢島の立体模型
航空写真に被災状況を重ねた図

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。