被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

高齢者のネット詐欺被害を撲滅しよう!

「NPO法人デジタルリテラシー向上機構」が認証されました

「NPO法人デジタルリテラシー向上機構」が認証されました

 昨年末からNPO法人の設立申請をしていたDLIS(デジタルリテラシー向上機構)が、平成30年8月16日に東京都により認証されました。今後、NPO法人として体制を整え、全国的に活動を始めます。そこで今回は、DLISの活動について紹介させていただきます。

 DLISは、主に高齢者のデジタルリテラシーを向上するためのお手伝いをする団体です。目的は、インターネットを利用した詐欺の被害に遭わないように知識を付けてもらうことです。2018年にNTTドコモのモバイル社会研究所が調査した結果によると、60代のスマートフォン保有率が5割を超えました。70代でも3割以上がスマートフォンを利用しており、ガラケーの所有率は減少しています。

 利用用途は、メールや動画、ネットショッピング、SNSと、若い人たちと変わりません。しかし、初めてデジタルサービスを利用する人だと、悪意のある詐欺行為に気が付かず、被害に遭ってしまうケースがあります。皆さん、バブル時代を含めた経済が成長した激動の社会を生き抜いてこられたので、人を見る目があったり、物事を判断する能力はお持ちです。しかし、対面して話していれば気が付くことでも、慣れないディスプレイ越しだと気が回らなくなってしまうのです。

60代のスマートフォン利用率が5割を超えました(NTTドコモモバイル社会研究所『シニアのICT利活用生活の検討No.15』より)

 2017年度に国民生活センターに寄せられた相談のうち、「アダルト情報サイト」に関する相談は2万5304件で、2016年度の6万2543件から減っているのはうれしいところです。しかし、「デジタルコンテンツその他」は2016年度に9万7187件でしたが、2017年度は10万7460件に増えています。

 初回は3000円とか1万円、高くても10万円くらいを要求されます。そのくらいで面倒がなくなるなら、と支払ってしまう人が多いのですが、一度払うと、銀行の残高がなくなるか、警察に駆け込むまで搾り取られます。最初から、ネット詐欺だと判断して、無視することが重要なのです。しかし、ネット詐欺は、あの手この手と手法を変え、最新の時事ネタを取り込みつつ進化しています。デジタルリテラシーを身に付けていないと、いつかどこかで詐欺に遭ってしまうのです。

誰にも知られずに片が付くなら、と支払ってしまうと本格的に被害が拡大していきます(本連載2018年4月27付記事『ウェブサイトを閲覧していたらいきなり請求画面が開いた!』参照)

 そこで、DLISでは本連載をはじめいろいろなチャネルでネット詐欺に関する情報を発信していきます。しかし、本当に読んでいただきたい層は、インターネットメディアでセキュリティの勉強をしようとは思いません。そのため、20~40代の人たちに読んでいただき、是非ともご両親に内容を説明したり、記事を転送して読んでもらったりしていただければと思います。そのままご両親にプレゼントしていただけるような書籍の発行も計画中です。

 また、今後は高齢者の方が集まるケア付き高齢者住宅や老人ホーム、カルチャーセンターなどに会員になっていただき、ポスターや冊子の配布、メールマガジンによる最新情報の発信、個別の相談になりますが、セミナーや勉強会なども行う予定です。

 ネット詐欺最前線の情報を繰り返し、分かりやすくお伝えし続けることが、被害を抑制する効果的な方法だと考えています。もし、ネット詐欺と思われるレアな現場に遭遇したら、画面キャプチャーとそのときの状況などを報告していただけると幸いです。

 将来、協力していただける人や団体が増えたときには、被害に遭われた方のサポートをする予定です。なるべく早く、窓口を作れるように活動をしていきます。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。