被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

アイドルから間違えてメールが来てやり取りが始まった!

 有名人から間違いメールが来て、返信したらやり取りが始まってしまった! なんて聞くと、それはネット詐欺でしょう、と思うことだろう。しかし、文面がとてもよく練られており、ころっとだまされてしまうケースがあるのだ――。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 よく見るのが、AKB48のメンバーの名前をかたり、寂しいのでお話してください、というケース。これは、普通の人であれば、詐欺だと気が付くのでスルーすることだろう。しかし、凝ったものだと、最初は完全な間違いメールを演じてくる。

 例えば、「さくらい」というアカウントから「しょうだけど、今日の収録お疲れ」といった業界っぽいメールが届くのだ。ここでポイントは、嵐の櫻井翔さんであるとは一言も言わないこと。返信すると、イニシャルを確認され、違うというと、マスコミでないことを確認され、違うというと友達のようなやり取りが始まるのだ。

 AIや定型文ではなく、きちんとこちらの文章に対して返信してくるというのがすごい。しかも、数回は詐欺の雰囲気を出さないのだ。もちろん、最終的にはこう持ちかけてくる。

 「もっと話したいけど、事務所にばれるとやばいので、○○のサービスを使おう」と、出会い系チャットサービスに誘導してくるのだ。最初は1000円とか3000円のポイントを購入するように誘われるが、そこで渋ると1万ポイント贈るから!と、実際にその内容のメールも届く。とはいえ、もちろん数千円の初期課金は必要だが、うまく考えられている誘導だ。

 当たり前だが、完全なネット詐欺で、本人ではなく送信元を辿ると中国に行き着く。しかも、数千円では済まずに、そのままやり取りしているとどんどん課金額が大きくなってくる。100万円や1000万円もの被害額もざらで、2013年に摘発されたサイトは2年間で116億円も売り上げていた。

 ちなみに、本物のプロモーションメールの件名に「櫻井翔です」と入っていて、ユーザーが迷惑メールと混同したこともある。内容を読んできちんと判断できるリテラシーを身に付けておきたいところだ。

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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援する団体で、現在、NPO法人の申請中です。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。