被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
「買ったか買ってないか微妙に身に覚えのない注文」の確認メールが届いた
2020年3月27日 06:00
フィッシング詐欺の手口は日々変化しています。最近増えているのが、ネットショップでの購入確認メールを偽装して、偽のログインページへ誘導する手口です。何年も前からある手口ですが、タイミングやショッピングサイトを細かく変えて、思い出したように流行します。
先日、「商品発送のお知らせ。注文番号~」というメールが来ました。その購入先はNTTグループの「NTT-X Store」でした。買い物などした記憶はないのですが、実はしばらくネット詐欺だと気が付きませんでした。
その理由は、筆者がNTT-X Storeをよく使っているからです。ネット詐欺はAmazonやGoogleといったグローバルな超大手をかたることが多いのですが、失礼ながらNTT-X Storeという渋いチョイスに、警戒のハードルが下がってしまいました。
ただ、近日中の買った記憶はありません。商品の型番を検索したところ、4年ほど前に発売されたエイサーのノートPCでした。経営している飲食店で使うために中古PCを探していたので、それかな、と考えました。最近、めっきり物覚えが悪くなり、商品が届いて驚き、履歴を確認して買ったことを思い出すということを繰り返しているため、記憶がないだけでは詐欺認定できません。さらっとメールアドレスをチェックしましたが、本物と同じ「@nttxstore.jp」ドメインでした。
自分でサイトを検索してNTT-X Storeにログインして「ご注文状況・注文履歴の確認」を確認したところ、履歴はありませんでした。この「自分でサイトを検索して」というところが、自己防衛のキモです。そこでネット詐欺ということが分かったので、メールのURLを開いたところ、フィッシング詐欺のページに飛ばされることが分かりました。
以上のように、メールアドレスや本文などでフィッシング詐欺メールを判別せず、メールのURLをクリックしないことが最大の防御となります。
感覚で判断する人はいつかどこかで被害に遭います。ある日あるとき、マイナーなショッピングサイトで欲しかった商品をチェックもしくは購入した直後に、そのサイトと商品をかたった詐欺メールが来たら、迷うことなくURLをクリックしてしまうことでしょう。メール本文のURLは開かない、ということを徹底しましょう。
もちろん、AmazonやGoogleをかたるメールも来ます。最近ぎょっとするのが、記憶にないメールアドレスにギフトカードを送信するという内容です。こちらは、表記が微妙に変なので、すぐにネット詐欺だと気が付きました。
安全な環境でわざと「注文内容」というボタンをクリックしてアクセスしてみました。すると、メールアドレスとパスワードから、名前、住所、郵便番号、電話番号、生年月日を尋ねられます。最後に、クレジットカードの名義と番号、有効期限を求められます。セキュリティコードを入力する欄もあるのですが、そこに入力すると本人認証サービスなどの第2パスワードのアカウント情報も聞いてくる徹底ぶりです。もちろん、ネット詐欺なので、何も入力してはいけません。
ちなみに、Google Play ギフトカードが5000円ではなく中途半端なことに気が付いたり、そもそもAmazonでGoogle Play ギフトカードが売っていることがおかしいと知っている人は流石です。しかし、どちらもあり得るので、こちらについても知っておきましょう。
実は、Amazonに限らず、ギフトカードが第三者の手によって販売されることはよくあります。今すぐに、何をどうしても、現金が必要な人が利用するのです。仕組みは、誰かがギフトカードを額面より高い金額で販売し、現金を欲しがっている人がクレジットカードで購入します。そして、届いたギフトカードを売却するのです。Google Play ギフトカードは額面の85%程度で換金するショップがあり、お金はスムーズに入金されます。通常は、購入するだけ確実に損をする取引なので注意してください。ちなみに現在は、AmazonではGoogle Play ギフトカードは販売されていません。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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