被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
「総額450万円」の書留郵便物を受け取るよう郵便局から連絡が来た
2020年10月23日 06:00
露骨な内容ながら信じてしまう人がいるかもしれないと思ったネット詐欺の事例を発見したのでご紹介します。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「書留配達のご案内」というメールが届いたのですが、メッセージには「郵便局からの【大事な】配達がございます。URLより内容をご確認いただき受け取り忘れにご注意ください」と書かれており、発送番号やURLが記載されています。
URLを開くと、「郵便局 会員専用WEB支店」というウェブページが開きました。そして、50万円の書留封筒が9通で総額450万円の書留郵便物が届いているというのです。
また、「駅前支店にて内容と法的確認を行わせていただき、配達に違法性がないことが弁護士と警察署にて証明されました」とも記載されています。「詳細な説明はこちら」を開くと、「代理手続き金お渡しのご案内~郵便局・弁護士協会 公認~」というウェブページが開きます。
FAQでは、3つの疑問に回答しています。「ネット上にある支援や贈与の手続きをお客様の代わりに行わせていただいております」などというものです。税金も支払い済みなので、受け取っても費用は発生しないというのです。配送も郵便局からの現金書留で、自宅で受け取れると書いてあります。書かれている日本語も自然です。
直近のお渡し事例として、「東京都目黒区上目黒 石原さとみ様 / 33歳」や「東京都港区白金 山下智久様 / 35歳」などが紹介されています。いかにも怪しいのですが、デジタルリテラシーが低いと、有名人ももらっているなら安心、と感じるのかもしれません。
住所と名前を入力するシンプルなフォームも表示されるのですが、入力後に送信ボタンを押すと、今度は規約に同意するためのメッセージを送るように要求してきます。「すでに配達は受け付けられております。確認後<1時間以内に回答>をしてください。」と急かしてきます。
指示に従って送信してみると、今度は「ポイント不足でボタン操作・送信は行われていません」と表示されました。
ポイントの購入画面に行くと、電子マネーの「NetRideCash」「セキュリティマネー・ゴールド」「G-MONEY」のいずれかで支払うように指示されます。当たり前ですが、例え100万円分のポイントを使ってメッセージをやり取りしても、450万円が手に入ることはありません。
これは「サクラサイト商法」の一種です。メッセージのやり取りを行うためには有料のポイントが発生するというのです。例えば、1回の送受信は数百円程度でも、巧妙な文面でやり取りを引き延ばされて、数百万円支払ってしまったという事例は枚挙に暇がありません。
対策としては、あらかじめこの事例があることを知っておくしかありません。意味もなく大量の現金がもらえることは絶対にない、と肝に銘じてください。そして、何かの餌を吊して、有料のメッセージ交換サイトで課金させるという手口があるということも知っておきましょう。その上で、個人情報は簡単に渡さない、という自衛をすればネット詐欺を回避できます。もし、この手のネット詐欺に引っ掛かりそうな知人がいたら、情報を共有してあげてください。
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高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。