被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
新型コロナ便乗の詐欺に注意!
ワクチン接種の「優先順位を上げる」、そんなメッセージが来たらどうする……?
2021年5月21日 06:00
国民生活センターは14日、「新型コロナワクチン詐欺」に関する情報を公開し、注意喚起を行いました。
全国の消費生活センターには、2月15日から4月22日の間に、新型コロナワクチンの接種に便乗した詐欺に関する相談が17件寄せられました。この詐欺では、「ワクチン接種の優先順位を上げる」という不審なメッセージがスマートフォンに届いたり、「中国製ワクチンを有料で接種しないか」という勧誘が確認されています。
現在、日本でもワクチンの接種が進んでいますが、予約がすぐに埋まって取りにくい状況にもなっています。少々のお金でなんとかなるなら払う、という心理につけ込んだ詐欺が起きやすいです。
ワクチン接種の優先順位を上げるという不審なメッセージについてですが、大手企業の経営者が優先的に接種したというニュースが流れたので、もしかしてあり得るのかも、と考えてしまうのも無理はありません。しかし、ネット詐欺なので無視しましょう。
今年1月に中国の未承認ワクチンが日本で接種されているというニュースが流れましたが、中国では偽ワクチンが製造・販売されていることも報じられました。メキシコやポーランドでも偽のファイザー製ワクチンも確認されています。お金の被害だけでなく、得体の知れない液体を注射されてしまっては健康を損なってしまいます。こんな状況で、怪しい話に乗るのはリスクが高すぎます。新型コロナワクチンの接種を受ける際の費用は全て公費負担で無料です。きちんと正規ルートで手続きするようにしましょう。
この機に乗じて、個人情報を盗もうとする輩もいるようです。市職員を名乗った人物から「ワクチン接種の予約代行をする」と連絡があるそうです。予約代行の費用を要求されたり、個人情報を聞き出そうとしてくる可能性があります。住所氏名ならともかく、クレジットカード番号や銀行口座を聞いてくるなど、荒唐無稽です。基本的に詐欺ですので、無視しましょう。
消費者庁も、新型コロナワクチン詐欺に関するパンフレットを作成して注意喚起を行っています。「○万円払えば優先的に接種でき、お金は後で返金されます」「医療従事者向けのワクチンが余ったので、○万円払えば接種できます」など、もっともらしい理由をつけてだます手口について紹介しています。
もし、自宅にご両親など高齢者の方がいらっしゃるなら、このパンフレットを印刷して電話機の前に貼っておくことをお勧めします。この手の詐欺はネットだけでなく、直接電話で詐欺を仕掛けてくることも多いです。
通常であれば電話が来てパニックになり、個人情報を話してしまったり、お金を払ってしまうところ、目の前にこのパンフレットがあれば被害を回避できる可能性が高まります。
国民生活センターは「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設しています。番号は「0120-797-188(なくな・いやや)」で、相談受付時間は土日祝日を含む10時から16時まで。もし、新型コロナワクチン関連で怪しいメッセージやメールなどを受け取ったら、相談してみましょう。筆者が所属する、NPO法人デジタルリテラシー向上機構にも報告していただければ、本連載などで注意喚起を行います。
ただでさえ影響の大きい新型コロナウイルスでサイバー犯罪者が儲かるのは阻止しなければなりません。みんなでデジタルリテラシーを向上し、ネット詐欺被害を抑制しましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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