被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
「ETCサービス利用照会サービス」のアカウントが停止したのでメールの指示に従ってみた
2021年6月11日 06:00
ETC利用照会サービスは5月11日、フィッシングメールに関して注意喚起を行いました。同サービスをかたり、偽サイトに誘導して個人情報などを盗もうとする手口が確認されています。
筆者が所属するNPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)にも多数の報告が寄せられました。同じ時期にさまざまなパターンのフィッシングメールが届いたのでご紹介します。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
例えば、件名「ETC」というフィッシングメールについては、本文に「ご利用状況が以前と異なることにご注意いただき、サービスを一時停止いたします」と書かれています。詳細を確認するためにはリンク先にアクセスするように促してきます。
何を伝えたいのかいまいち分からないうえに、漢字の一部が中国語のフォントだったり表記が間違っているものもあります。このクオリティでは引っ掛かる人は少ないでしょう。
しかし、1週間後には大幅にブラッシュアップされたフィッシングメールが届きました。似た文面ですが、誤字脱字などがなく、URLもハイパーリンク化しています。気になるのは「ETC」の「c」だけが小文字になっている程度で、これは気付かない人も出てくると思います。
このほかにも件名「サービス通知」というフィッシングメールが届きました。
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、一部の高速道路は休日割引が適用除外されているのですが、これに関連するニュースリリースの内容を載せたものがありました。その続きには「支払い方法に問題があり、サービスを停止した」などと書かれてあり、リンク先にアクセスするように促す内容になっていました。
事実を織り交ぜることで信じ込ませようとする手口ですが、このメールについては、Gmailからフィッシング詐欺の可能性があるとして警告メッセージが表示されました。万全ではないものの、これはありがたい機能です。
なお、フィッシングサイトにアクセスしてみると、メールアドレスとパスワードの入力欄が表示されます。入力後は「あなたの資料は更新が必要です」と表示されて、氏名、メールアドレス、電話番号、身分証明書、生年月日、住所、クレジットカード番号、セキュリティコードを入力するように促されます。
全ての情報を入力し終わると、「終わった」というボタンが出てくるのが笑えてしまいます。やはり、所々に日本語が変なところがあります。
ETC利用照会サービスのホームページでは、「氏名、電話番号、クレジットカード情報については取得しません」と注意喚起を行っています。また、ログイン時に確認する情報は、ユーザーが任意で設定したIDとパスワードの2点で、メールアドレスや携帯電話番号ではログインできないことについても説明しています。
クレジットカード会社やショッピングサイトをかたるフィッシング詐欺に限らず、今回ご紹介したような手口などが今後も出てくるでしょう。さまざまなパターンのフィッシング詐欺が存在することを把握しておきましょう。
ウェブサービスにログインする際は、メールのリンクを開かず、Googleなどで検索したり、あらかじめ登録したブックマークなどからアクセスしてください。これだけで、ほとんどのフィッシング詐欺を回避することができます。
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