被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
AirDropの受信設定に注意!
「AirDrop」悪用で発生した飛行機でのトラブル、ショッキングな画像をうっかり受信しないために
2022年6月3日 06:30
2022年5月10日、イスラエルからトルコへ向かう航空機が離陸しようとしたときに、乗客166人のiPhoneに飛行機が墜落事故を起こした画像が表示されてパニックになり、航空機は空港へ引き返すことになりました。
A flight from Israel to Turkey had to be aborted after passengers were sent chilling pictures of plane crashes.
— UNILAD (@UNILAD)May 10, 2022
After a panic broke out, the pilot made the decision to return to the terminal.pic.twitter.com/8icwWkHjJG
同様の事件は過去にも起きています。2021年7月22日、米サンフランシスコからフロリダ行きの航空機が離陸しようとしたときに、複数の乗客のiPhoneにエアソフトガンの画像が表示されました。もちろん、離陸は中止。全ての乗客を降ろして、再検査することになりました。
2018年3月10日にはオークランドからマウイ島に向けて離陸しようとしていたときに、複数の乗客のiPhoneに模擬とはいえショッキングな犯罪現場の写真が表示されました。その後、安全確認が行われ、離陸は90分遅れることになりました。
もし、あなたがiPhoneを使っているなら、このようなシチュエーションに遭遇する可能性があります。対処できるように設定や受信した際の操作方法を見直しておきましょう。
日本でも「AirDrop痴漢」で話題になった方法、対策は?iOS 13から対策されるようになったものの受信時の操作に注意
上記の全ての犯人はiPhoneの「AirDrop」機能で、画像を送信しました。AirDropは、iPhone同士で手軽に画像や動画を共有できる機能ですが、知らない人のiPhoneにもデータを送ることができるので、トラブルの原因になっています。
AirDropでデータを受信するとユーザーの画面には共有されたデータについて「辞退」/「受け入れる」の選択画面が出てきます。「受け入れる」をタップするとiPhoneに画像や動画が保存されます。「辞退」をタップすれば、保存されずに選択画面が消えます。
データを送受信するだけの機能なので、例えばiPhoneに侵入された、という被害は起きていません。必要以上に恐怖を感じることはありません。
日本でも、電車の中などで、近くにいる人にアダルト画像を送りつける「AirDrop痴漢」が問題になったことがありました。iPhoneの名前(デバイス名)に本名を設定している人も多いので、それで性別を判別して狙い撃ちするケースもあります。もちろん、AirDrop痴漢も犯罪です。
ちなみに、iPhoneのデバイス名は「設定」→「一般」→「情報」にある「名前」から変更できます。初期設定では「○○のiPhone」(※○○はそれぞれ設定している名前)と表示されていることがありますが、名前部分のみを削除し「iPhone」のみにしてもいいですし、完全に偽名を入力してもOKです。
知らない人からAirDropで画像を送られた場合は「辞退」をタップすれば問題はないものの、万が一不快な画像を目にすることは避けたいです。
iOS 12以前ではAirDropで画像を送られるとサムネイルが表示されましたが、iOS 13からは連絡先に登録されていない相手からの画像はサムネイルが表示されないようになりました。
最新状態では受信時に「○○が1枚の写真を共有しようとしています」というテキストだけ表示されます。とは言え、「受け入れる」をタップしてしまうと、画像が保存され、自動的に写真アプリが開いて表示されてしまうので注意が必要です。
そもそも、必要なとき以外にAirDropを使わないなら機能を無効化しておくと安心です。iPhoneのコントロールセンターからWi-Fiアイコンを長押しするとメニューが開くので、「AirDrop」アイコンをタップします。そこで表示される「すべての人」「連絡先のみ」「受信しない」の中から「受信しない」を選べばAirDropの機能が無効になります。「連絡先のみ」にしておくだけでも、連絡先に登録されていない第三者からのいたずらは防げます。
対策は以上になりますが、AirDropが悪用できると思った人がいるなら、絶対にやめておきましょう。冒頭で紹介したイスラエルのケースでは搭乗者全員のiPhoneをチェックし、いたずらした9人の身柄を拘束しました。このケースではテロの脅威と見なされ、有罪になると最高で懲役3年になる可能性があるとのことです。
興味本位で間違った使い方をして、人生を棒に振るのも避けましょう。どちらにしてもきちんとしたデジタルリテラシーを身に付けることが重要です。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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