被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

「当選しました」という連絡は詐欺の可能性あり! 典型パターンを押さえておこう

 山形県警の特殊詐欺被害防止広報啓発のポスターやチラシに、山形県出身である女優の橋本マナミさんが起用されました。3月1日からポスター3000枚、チラシ20万枚が県内各地に掲示されるそうです。ポスターのデザインは全4種類で、架空料金請求詐欺、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗などの手口を紹介しています。

 当の橋本さんも、通販サイトの懸賞に当たったとの詐欺メールが送られてきた経験があり、引っ掛かりそうになったそうです。

 これは最終的に個人情報を盗んだり、手数料という口実でお金を巻き上げようとする「当選詐欺」という手口です。古くからあるネット詐欺ですが、今でも頻繁に見かけます。よく見る当選詐欺のパターンを紹介しましょう。

1:iPhoneが当たった

 メールやウェブサイトで、最新のiPhoneやAndroidスマートフォンが当選したとのメッセージが表示され、受け取るように言ってきます。その際に「アカウントの確認のため、100円のみ支払う必要がある」とクレジットカードの入力フォームに誘導されます。しかし、実際に情報を入力した場合、クレジットカード番号が相手に伝わり、実際に使われているものであることをネット詐欺師に自ら証明することになるのです。そのクレジットカードの情報はダークウェブなどで販売され、不正利用される恐れがあります。

2:スクラッチで1等が当たった

 ウェブサイトで無料でできるというスクラッチやルーレットなどの抽選に参加したところ、1等が当たります。2万円のAmazonカードだったり、現金500万円だったり、と景品はさまざまですが、LINEで繋がることを要求してきます。

 しかし、その後はフィッシングサイトに誘導されて、個人情報を盗られる恐れがあります。また、中にはいくつもの無料のポイントサイトなどに登録を促されるケースもあります。この場合は金銭的な被害は発生しませんが、メールアドレスなどの情報が盗られるうえに、大量の迷惑メールが送られてくることになります。

3:宝くじが当たった

 応募した覚えがないのに1億円、10億円が当選したとのメールやメッセージが届きます。しかし、当選金を受け取るためには、預かり金や手数料などの名目で数万円を振り込む必要があると要求してきます。

 もちろん、手数料を支払っても当選金は払い込まれません。さらに、さまざまな口実で何度も手数料を振り込ませようとします。2020年には沖縄の男性が、38億円当選したと言われ、231回にわたって1101万8000円ものお金を取られる事件が発生しています。

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応募していない宝くじに当たることはありません

4:お金配りに当たった

 インフルエンサーが行っているお金配りキャンペーンに当選した、とメールやメッセージが届く手口です。以前は、元ZOZOの前澤友作氏が100万円を配るという企画を偽装した手口が多発しました。メッセージに記載されているURLを開くと、怪しい動画配信サイトが開き、サブスクに登録することで100万円を振り込んでもらえるというのです。もちろん、登録してもお金はもらえません。

 現在は、さまざまなインフルエンサーを騙り、お金配りを装った詐欺が横行しています。そこまで有名ではない人にも扮し、そのフォロワーに向けて詐欺を仕掛けているケースもあります。

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 このほかには、Twitterで10人くらいのアカウントに「本日の当選者」とメンションし、通知を見たユーザーをプロフィール欄などからネット詐欺サイトへ誘導する手口もあるので注意が必要です。

SNSの当選詐欺には注意してください。

番外:ロトの当選番号を教えてくれた

 ロトの当選番号を事前に教える代わりに情報料を支払うよう要求してくる手口があります。まずは試しに明日の朝に発表されるという抽選結果を教えてくれます。翌朝の新聞で確認すると、その番号は本当に当選していました。

 しかし、事前に当選番号が分かるわけがありません。実際は、抽選の様子を配信するネットの生中継を見て番号を把握し、新聞に掲載されるまでのタイムラグを利用した詐欺なのです。情報量を支払っても意味がありません。

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当選した! と喜ぶ前に冷静になろう

 応募した覚えがないのに、「当選しました」などと通知が来たら、まずは、詐欺だと考えるようにしましょう。そんなおいしい話などあるはずがないのに、自分のところにメッセージが来ると、「ワンチャンあるかも」とか「話半分でも」などと考えてしまう人がいます。

 当選詐欺の手口を知っていれば、似たパターンが来た時に気付き、被害を回避できる可能性が高まります。デジタルリテラシーを身に付け、ネット詐欺に騙されないようにしましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと