被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
元ZOZO前澤氏の「お金配り」に参加したつもりが……Facebookで起こっている詐欺に注意
2021年2月26日 06:00
最近、Facebookで有名人を騙るネット詐欺がよく目に付くようになったので、その事例を紹介します。
以前は友だち申請をして情報商材などを売りつけてくるものがありましたが、今は個人やグループに「私のプロフィールを見てください」などという投稿で誘導してくる手法が多くなっています。日本語がやや不自然なことが多いのも特徴です。
実際にプロフィールを見てみると、「5万円をあげるのでこちらから登録」というメッセージとURLが貼られています。リンクを開くと元ZOZOの前澤友作氏の写真のほか、「100万円の現金を手に入れよう」というメッセージや、多数の人が現金をゲットしたという内容のメッセージが画面下に次々と表示されます。
さらに「今すぐ登録」をクリックすると、後述の動画配信サイトのアカウント登録ページに移動します。
このほかに、日本と海外のユーザー同士でビジネス交流が行われているFacebookのグループにも不審な動画が投稿されているのを確認しました。
このグループには、犯罪者によって編集された動画が投稿されました。前澤氏は10億円を10人の起業家に投資するという、「前澤ファンド」を立ち上げており、同氏がYouTubeに公式動画を投稿していたのですが、それが悪用されていました。
元が公式動画なので前澤氏はファンドに選定する基準などを話しているのですが、動画の左側には模様が表示され、その中にうっすらと4桁の数字が見えます。犯罪者によって手が加えられたものですが、この数字が正確に読めれば先着500人に100万円をプレゼントすると謳っているのです。
実際にこの動画を見たグループ内の何人かがコメントで4桁の数字を入力し、大量にシェアされてしまいました。もちろん、ここで答えたからといって何か起きるわけでもなく、記載されているURLを開くと、前述の「100万円の現金を手に入れよう」のページに移動し、そこから後述の動画配信サイトの登録ページに誘導されます。
これはとても危険です。検索すれば前澤氏が本当にお金を配っていることが分かります。日本語が読める海外の方も騙されてしまう可能性が高くなります。
誘導先は不審な動画配信サイト、アカウント登録を促して課金させる流れ
これらの手口で誘導されるのは無料の動画配信サイトで、アカウント登録を行うように促されます。
同サイトは2000万タイトルのコンテンツを無制限に利用できると謳っています。しかし、メールアドレスとパスワードを登録すると、郵便番号とクレジットカード番号、そしてセキュリティコードの入力も求められます。クレジットカード情報を登録すると、その後、1~2週間ごとに3000から5000円が課金され続けます。
ちなみに、このウェブサイトの利用規約に継続課金のことなどが記載されています。金額に関してはログイン時に都度通知すると書いてありますが、もちろん分かりにくくしていることでしょう。とはいえ、この動画配信サイトが詐欺を行っていると断言することはできません。
その前段階の、前澤氏の写真や動画、名前を勝手に使った行為は明らかに詐欺です。絶対に引っ掛かってはいけません。
これまでは、「お金がもらえるというのは100%詐欺なので絶対に無視しましょう」というのがセオリーでした。しかし、現在は本当にお金を配っている人がおり、この防御策が破綻しました。しっかりとしたデジタルリテラシーを身に付け、自分で防御するしかないのです。
今回は、前澤氏の名前が犯罪者に利用されているという事例さえ知っていれば、疑うことができます。ご両親など、騙されそうな方が身近に居る場合は、この記事をシェアしてあげてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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