【'97年10大ニュース】

編集部の選んだ10大ニュース

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 まずは編集部で今年の10大ニュースを選んだ。話題性のある「Microsoft vs. 司法省」や、記事の反響が大きかった「Netscape Communicator 4.0 / Internet Explorer4.0リリース」などが並ぶ中、1位となったのは「検索エンジン『goo』の登場」だ。「今年、実際にインターネット上の行動スタイルを変えたもの」ということで選ばれた。

1.検索エンジン「goo」の登場
2.Microsoft vs. 司法省
3.Netscape Communicator 4.0 / Internet Explorer 4.0リリース
4.パソコン通信のASCII-netと日経MIXがサービスを終了
5.モザイク処理/はずしソフトは「わいせつ」かを争う「FLMASK」裁判
6.アスキーがAIX/AIF終了
7.日本のドメイン再編(gr.jpなど)、世界でも新gTLD登場
8.プッシュ型配信システムにMicrosoftやNetscapeが参入、日本でもサービス開始
9.MicrosoftがAppleに投資、提携
10.ポストペット登場
総評

【第1位】検索エンジン「goo」の登場

 NTTによるロボット型検索エンジン「goo」は、3月末よりスタートするやいなや、その圧倒的な情報量とスピードで国内の事実上の標準となった。編集部でも毎日のように使っており、「そういえばgooって今年だったのか」との声も。

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【第2位】Microsoft vs. 司法省

  Windows 95にInternet Explorerをバンドルすることをパソコンメーカーに強要したのかどうか、Microsoftと司法省が対立。第1ラウンドは司法省に軍配があがったが、Microsoftも引き下がらない。ソフトウェア界の巨人は、Windows 98のリリースを目前に大きな壁にぶちあたった。

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【第3位】Netscape Communicator 4.0 / Internet Explorer 4.0リリース

  昨年の10大ニュースでも第2位に食い込んだ「ブラウザー戦争」。今年のキーワードとしては、プッシュ、ダイナミックHTMLといったところが思い浮かぶ。しかし、いずれも両社が打ち立てた仕様の非互換性がコンテンツ不足という状況を生み出し、普及はイマイチ。そんな中、両社に共通した話題がセキュリティ関連のバグ問題だった。

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[Netscape Communicator 4.0]
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[Microsoft Internet Explorer 4.0]
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[バグ]
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【第4位】パソコン通信のASCII-netと日経MIXがサービスを終了

 老舗のパソコン通信サービス「アスキーネット」と「日経MIX」が5月に相次いで終了を発表、8月と10月にそれぞれサービスを終了した。両者とも「パソコン通信からインターネットへ」のシフトを終了の理由として挙げている。ニフティサーブやPC-VANなどもプロバイダー的位置付けに比重を移しつつあり、時代の転機を感じる。

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【第5位】モザイク処理/はずしソフトは「わいせつ」かを争う「FLMASK」裁判

 画像にモザイクをかけたり、再びはずしたりするWindowsソフト「FLMASK」の作者を、大阪府警がわいせつ図画公然陳列ほう助の疑いで逮捕。現在でも裁判は続いており、「ツールに違法性はあるか?」「リンクにほう助の意志はあるか?」「モザイクをはずせる画像はわいせつか?」「デジタルデータは『わいせつ物』にあたるか?」などの争点で争われている。また、その一方で、はずせるモザイクつきわいせつ画像掲載者への有罪判決も出ている。

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【第6位】アスキーがAIX/AIF終了

 株式会社アスキーが運営する「アスキーインターネット(AIX)」、「アスキー・インターネットフリーウェイ(AIF)」の終了は、契約ユーザーのみならずインターネット業界全体に衝撃を与えた。その後12月には、AIFにシステムを提供していたハイパーネット社が破産を申請し、「広告収入によるプロバイダー運営でユーザーは接続料無料」といった画期的なサービスは、あえなく退散となった。今後のプロバイダー運営におけるビジネスモデルのありかたを再考させる事件であった。

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【第7位】日本のドメイン再編(gr.jpなど)、世界でも新gTLD登場

 国内では、JPNICがJPドメインのネームスペースを広げることを目的に、昨年の「NE.JP」に続いて、法人格を有しない団体のための属性「GR.JP」ドメインを新設した。国際的なトップレベルドメイン名では、国際臨時特別委員会(IAHC)により「.firm」(企業)「.shop」(小売り)などの属性に基づいた新しい「gTLD(Generic TopLevel Domain)」が提唱された。

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【第8位】プッシュ型配信システムにMicrosoftやNetscapeが参入、日本でもサービス開始

 時期尚早の感があったプッシュ配信に、Microsoftの「Active Channel」やNetscapeの「Netcaster」など大物が参入し、続々とコンテンツが登場した。また、PointCastやCastanet、BackWebなど米国のプッシュ配信システムが日本でもサービスを開始した。

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[Active Channel]
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[Netcaster]
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[PointCast・Castanet・BackWeb日本版]
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【第9位】MicrosoftがAppleに投資、提携

 8月に米国で開催されたMacWorld Expo/Bostonにおいて、MicrosoftがAppleに1億5千万ドルにのぼる投資を行なうと発表、仇敵同士の提携に驚きが世界を駆け巡った。Appleは、'96年末のNeXT Softwareの合併およびSteve Jobs氏の復帰、7月のGilbert Amelio CEOの突然の辞任、と大きな話題を提供し続けているわけだが、'98年は…。

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【第10位】ポストペット登場

 「Postpet」は「メールを送受信する」という従来の機能に加えて、ソフトの中でペットを飼って、Postpetのユーザー同士がペットをお出かけさせて楽しむというこれまでにないコミュニケーションが楽しめる画期的なソフトだ。
 今年の1月にMacintosh版のβ版が公開されて以来、かわいいキャラクターがうけて、ひそかなブームとなっていたが、9月にWindows版の正式版が登場したのを機に期に、大ブレイク。電子メールソフトとしては後発ながら大きく話題になり、CMがオンエアされるほどの人気ぶりだった。

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総評

 このランキングを見ていると、3つのキーワードが浮かぶ。1つは、「Microsoft」。2つ目は、「実用」。そして3つ目が、「リアルな現実」である。

 最初のMicrosoftだが、ランキングを見ると2位3位8位9位となんとベスト10のうち4つもマイクロソフト絡みなのである。これらを時間順に並べると、今年のMicrosoftの動きが分かる。
 まず、Appleに投資し、IE 4.0をWindows/Macintosh両方のデフォルトブラウザーとした。次に実際にIE 4.0の製品版を投入。同時にActive Channelというプッシュ技術も自前で提供した。これにより、Netscapeを押さえてシェアを独占できるかと思いきや、最後に司法省から訴えられ、バンドルの強要に対して一応「クロ」の裁定がでる。つまり、Microsoftはインターネットシフトを一度完了させておきながら、最後に独占へのイエローカードが出て戦略の見直しを迫られているのである。
 一方、良い意味でも悪い意味でも話題性のあったMicrosoftに比べると、他社は今一つ元気がないような気がする。来年は、Microsoftの独占を阻止するような強力なアプリケーションの登場を期待したい。

 実用という観点での最も貢献したのは「Goo」だろう。今までいくつかのロボット型検索エンジンはあったが、どれも「実験」的側面が大きかった。ディレクトリサービスのYahoo! Japanとロボット型検索のgooが揃ったことで、ようやく日本の検索サービスが米国並みになったと言える。
 また、大手のパソコン通信サービスが廃止され、一部はインターネット上での掲示板に姿を変えたことや、NIFTYがプロバイダー色を強めたのは、通信サービスが「インターネット」に集約されるということが明確になったことの現れだと思う。米国ではCompuServeがAOLに買収されたり、MSNがインターネットプロバイダー色を強めたりと先行していたわけだが、ようやく日本もその認識が定着したと言える。逆に言えば、これで「通信サービス」としてのインターネットは後戻りができないところまで来ているわけだ。
 そして、トップレベルドメインの拡張やJPの下の第二レベルドメインの追加変更などは、インターネットが実用になったからこそ必要になった措置といえる。

 こういう実用化とともに、インターネットが「実験・学術」ではなく「実社会の縮図」であることを知らされたのも今年である。
 5位のFLMASK事件のように犯罪かどうか分からないボーダーライン上の事件もあったが、ランク外の詐欺、デマメール、ねずみ講といったインターネットを使った明らかな犯罪行為も後を立たない。また今年はこうしたインターネット上の犯罪に対して警察が積極的に動いた年でもある。人権侵害となるようなデマメールの発信者を逮捕したり、猥褻画像を販売していた人を検挙したりと法律的な整備の遅れから、従来は「立件が難しいのでは」と言われていたことも次々と有罪を勝ち取っていった。これらは、法律的な立場からは問題もあると思うが、同時にインターネットが「犯罪天国」でないという警告効果もあったのではないかと思う。
 さらに、この平成大不況がそのまま反映したAIFの廃止、ハイパーネットの倒産なども、インターネットが社会の縮図であることを露呈した事件といえるだろう。

 結果的に'97年は「インターネットバブル(ブーム)」がはじけた年といえるが、それは悲観的な意味だけではない。インターネットが一時的なブームではないことが決定したという意味もあるのだ。来年がどうなるかは分からないが、インターネットが日陰者にならないことだけは確かである。来年は、できれば技術的、業界トレンド的ニュースだけでなく、実生活を豊かにするようなニュースが上位にランクされることを期待したい。

[編集長 山下:ken@impress.co.jp]

('97/12/25)


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