地図と位置情報

軽量・軽快なウェブ地図描画ライブラリが登場。「MachGL」は本体が90KB程度、東京都全域の3D都市モデルでも100MB未満

 株式会社Geoloniaは、ウェブ地図描画ライブラリ「MachGL(マッハジーエル)」を11月9日に提供開始すると発表した。MachGLで描いた3D地図のデモサイトも公開している。

 MachGLはウェブサイトに地図を表示するためのライブラリ。ライブラリ本体が90KB程度と軽量であり、動作も軽快な点が特長で、3D表示にも対応している。国土交通省が推進するデジタルツイン整備プロジェクト「PLATEAU」で提供されている3D都市モデルは、詳細度(LOD)が異なるデータをそのまま描画することが可能。LOD1(建物の平面形を高さまで立ち上げたモデル)、LOD2(屋根の形まで表したモデル)、LOD3(外観の細部まで表したモデル)に対応している。

 Geolonia代表取締役CEOの宮内隆行氏と開発者の樋口紗月氏によると、3Dデータに対してズームレベルごとに座標データを最適化する処理を施すとともに、オリジナルのバイナリデータにしたり、建物データが持つ建物名などのメタデータの持ち方を工夫したりすることで、大幅にファイルサイズを小さくすることができたとのこと。この独自技術により、東京都全域の3D都市モデルでも100MB未満に抑えられるという。

 また、オープンソースの地図ライブラリ「MapLibre GL JS」のスタイルと同じ記述で3Dの建物の外観を調整することも可能。独自のタイル圧縮技術により、地物のメタデータを大幅に増やすことができる。

 Geoloniaが提供する地図API「Geolonia Maps」はこれまでMapLibre GL JSをベースとしてきたが、MachGLのリリース以降はしばらくの間、MachGL版とMapLibre版の両方のAPIを並行して提供。徐々にMachGL版へと切り替えていくことをユーザーに提案するとしている。ただし、現時点ではMapLibre版のAPIを廃止する予定はなく、料金も従来の通りで変更はないという。

 MachGLを開発・提供開始した理由について、宮内氏は以下のように語る。

 「PLATEAUのような高精細なデータが流通し始める中で、スマホで軽快に動作する地図ライブラリの必要性をかねてから感じていました。そんな中で、弊社のエンジニアが高速なライブラリを開発するためのアイデアを思いつき、それについて議論する中で、タイルのファイルサイズを大幅に小さくするアイデアも出てきたことから、実装を開始しました。」

 同社はMachGLの使い方として、モバイル向けのウェブサービス、コーポレートサイトや店舗案内への地図の埋め込み、都市や不動産情報を3Dで見せるサイトなど、軽さと見た目の両方が求められる場面を想定している。

 11月9日の提供開始に先立って公開したデモサイトでは、MachGLで描いた3D地図に対して、ドラッグやズーム、回転、傾けなどの操作を試すことができる。このデモサイトでは東京都心に限り3D都市モデルも表示され、左上の「ツアー」ボタンを押すと東京タワーや東京都庁などの名所を見ることができる。色もカラーとモノトーンの2種類から選べる。

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INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。著書・共著書に「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」、「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」などがある。2026年4月24日に最新刊「位置情報がつくる未来ビジネス」発売。