地図と位置情報
軽量・軽快なウェブ地図描画ライブラリが登場。「MachGL」は本体が90KB程度、東京都全域の3D都市モデルでも100MB未満
2026年10月28日 06:55
株式会社Geoloniaは、ウェブ地図描画ライブラリ「MachGL(マッハジーエル)」を11月9日に提供開始すると発表した。MachGLで描いた3D地図のデモサイトも公開している。
MachGLはウェブサイトに地図を表示するためのライブラリ。ライブラリ本体が90KB程度と軽量であり、動作も軽快な点が特長で、3D表示にも対応している。国土交通省が推進するデジタルツイン整備プロジェクト「PLATEAU」で提供されている3D都市モデルは、詳細度(LOD)が異なるデータをそのまま描画することが可能。LOD1(建物の平面形を高さまで立ち上げたモデル)、LOD2(屋根の形まで表したモデル)、LOD3(外観の細部まで表したモデル)に対応している。
Geolonia代表取締役CEOの宮内隆行氏と開発者の樋口紗月氏によると、3Dデータに対してズームレベルごとに座標データを最適化する処理を施すとともに、オリジナルのバイナリデータにしたり、建物データが持つ建物名などのメタデータの持ち方を工夫したりすることで、大幅にファイルサイズを小さくすることができたとのこと。この独自技術により、東京都全域の3D都市モデルでも100MB未満に抑えられるという。
また、オープンソースの地図ライブラリ「MapLibre GL JS」のスタイルと同じ記述で3Dの建物の外観を調整することも可能。独自のタイル圧縮技術により、地物のメタデータを大幅に増やすことができる。
Geoloniaが提供する地図API「Geolonia Maps」はこれまでMapLibre GL JSをベースとしてきたが、MachGLのリリース以降はしばらくの間、MachGL版とMapLibre版の両方のAPIを並行して提供。徐々にMachGL版へと切り替えていくことをユーザーに提案するとしている。ただし、現時点ではMapLibre版のAPIを廃止する予定はなく、料金も従来の通りで変更はないという。
MachGLを開発・提供開始した理由について、宮内氏は以下のように語る。
「PLATEAUのような高精細なデータが流通し始める中で、スマホで軽快に動作する地図ライブラリの必要性をかねてから感じていました。そんな中で、弊社のエンジニアが高速なライブラリを開発するためのアイデアを思いつき、それについて議論する中で、タイルのファイルサイズを大幅に小さくするアイデアも出てきたことから、実装を開始しました。」
同社はMachGLの使い方として、モバイル向けのウェブサービス、コーポレートサイトや店舗案内への地図の埋め込み、都市や不動産情報を3Dで見せるサイトなど、軽さと見た目の両方が求められる場面を想定している。
11月9日の提供開始に先立って公開したデモサイトでは、MachGLで描いた3D地図に対して、ドラッグやズーム、回転、傾けなどの操作を試すことができる。このデモサイトでは東京都心に限り3D都市モデルも表示され、左上の「ツアー」ボタンを押すと東京タワーや東京都庁などの名所を見ることができる。色もカラーとモノトーンの2種類から選べる。
“地図好き”なら読んでおきたい、片岡義明氏の地図・位置情報界隈オススメ記事
- INTERNET Watchの30年は、インターネット地図サービス進化の30年でもあった――本誌記事で振り返る
- 道マニア達よ、これがゼンリンの「一般国道トレカ」だ。全国459路線、9月11日から順次発売
- 近年ダウンロードが増加している無償の「国土数値情報」って何? AIの精度アップに活用できる?
- 人々はなぜ「ジオ展」に集うのか――地図と地理空間情報の展示会イベントが今年も大いに盛り上がった
- 「東京終電マップ」など、新しい地図表現を追究する「Map Museum 2026」の受賞作品発表
- 世界中の交通機関の“動き”、3Dマップ上に可視化。公共交通の運行を愛でるアプリ「GTFS box」で時間が溶けます
- 海上保安庁、マインクラフト用「海底地形ワールドデータ」無償公開。深海底まで擬似探検できて実に楽しい
- 「赤色立体地図で見る日本百名山」をアジア航測が公開。3Dマップで地形の凹凸を一目で把握
- カーナビの歴史を振り返るイベント開催。これからのナビはどう進化する? 最短ルート至上主義からの脱却が課題?
- 「登記所備付地図」の電子データを法務省が無償公開→有志による「変換ツール」や「地番を調べられる地図サイト」など続々登場
- 違う意味で“伊能忠敬界隈”なんです、私達。
- まるで現代の伊能忠敬――その極みにはAIもまだ辿り着けてない!? 地図データ整備の最前線を盛岡で見た
- 「一億総伊能化」を掲げる 青山学院大学・古橋大地教授の授業がレジリエントだった。
- 大学の「地理学科」ってどんなところ? “駒澤地理”の中の人に聞いてみた
- 高校の「地理総合」必修化で、地理教員の有志らがGoogleスライドで教材を共有
- 「れきちず」が話題、開発者の@chizutodesignさんが“地図とデザイン”の魅力を語る
- スマホの「北」は「真北」「磁北」どっち? 8月11日「山の日」を前に考えてみよう
- スマホ位置情報の精度が向上、“高さ”特定可能に。日本で10月より「垂直測位サービス」
INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。






