地図と位置情報
地図表示が1000回/月までは無料、低コストで自由度の高い地図サービス「Geolonia Maps」正式提供開始
2021年8月12日 06:55
地理空間情報を扱うスタートアップ企業の株式会社Geoloniaは8月5日、これまでベータ版として提供していた地図作成サービス「Geolonia Maps」をアップデートし、正式サービスとして提供開始した。
Geolonia Mapsは、オリジナルの地図を作成可能な地図作成サービスだ。地図データはOpenStreetMapや、国土地理院をはじめとした行政が公開するオープンデータを組み合わせることにより、低コストで自由度の高いサービスを実現している。今回のアップデートでは、デザインやインターフェースの見直しを行ったことに加えて、正式サービス開始に伴う有料課金機能を新たに搭載した。
利用料金については、APIアクセスや、ウェブサイト/アプリなどにおける地図表示の回数に応じた階段方式の従量課金制で、月ごとの地図表示回数が1000回までは無料、10万回までは3万円、100万回までは30万円(いずれも税別)と、回数に応じて月ごとに支払うかたちとなっている。Geoloniaの発表によると、この料金は「Google Maps」や「Mapbox」を意識した価格設定となっているという。
ただし、オープンソースコミュニティ向けには料金が無料となり、地図をGitHub Pagesで利用する場合はアクセス数に関わらず無料となる。作成した地図は画像としてダウンロードしたり、印刷して配布したりすることが可能で、自由度が高いのも特長だ。
地図データはベクトルタイルを採用しており、柔軟なデザインカスタマイズを行える。ダッシュボードからデザインテンプレートを選択して地図を作成することが可能で、マーカーやズームレベルの設定、ポップアップの設定などの簡単なカスタマイズはHTMLだけで行える。また、JavaScript APIなどを利用することで自社の店舗一覧やお気に入りの飲食店リスト、観光地の見どころスポットなど、テーマに沿った地図をオリジナルのデザインで作成できる。
Geolonia Mapsでは、デフォルトのスタイル「geolonia/basic」のほかにも、「geolonia/midnight」「geolonia/red-planet」「geolonia/notebook」などさまざまなスタイルをGitHubで公開している。各スタイルのリポジトリのREADME内にある「DEMO on editor」というリンクにアクセスすると、オープンソースソフトウェア「Maputnik」を使ってGUIでスタイルを編集できる。
このほか、緯度・経度情報に対して住所を返す逆ジオコーダーや、不動産に対してIDを発行する「不動産共通ID」、日本の住所表記を正規化する住所正規化APIなど、多彩なAPIサービスも利用可能。ユーザーが持つ住所データをアップロードして地図を作成する機能も、近日中に提供開始を予定している。
Geolonia Mapsはすでにさまざまなサービスで活用されており、株式会社GENOVAが提供する「新型コロナワクチンマップ」や、テイクアウト対応店舗のオリジナル地図アプリを簡単に作れる「イエメシ」、株式会社紀伊民報が提供する和歌山県紀南エリアの情報サイト「KiiLife」の店舗情報などで導入されている。
“地図好き”なら読んでおきたい、片岡義明氏の地図・位置情報界隈オススメ記事
- 人々はなぜ「位置情報エンジニア」を目指すのだろうか――その仕事の魅力とキャリア形成を賭けた理由
- ゼンリン、都道府県の形をしたピンバッジ全47個セットを発売。フレーム入り
- 「一億総伊能化」を掲げる 青山学院大学・古橋大地教授の授業がレジリエントだった。
- 大学の「地理学科」ってどんなところ? “駒澤地理”の中の人に聞いてみた
- 高校の「地理総合」必修化で、地理教員の有志らがGoogleスライドで教材を共有
- 地理空間情報の最新トレンドを札幌で俯瞰してきた。「MIERUNE MEETUP 2024」レポート
- 「チーム安野」は都内1万4000カ所の都知事選ポスター掲示板をどう攻略していったのか?
- まるで現代の伊能忠敬――その極みにはAIもまだ辿り着けてない!? 地図データ整備の最前線を盛岡で見た
- 「れきちず」が3D表示に対応 地図データをベクトルタイル化。「江戸切絵図」から町家領域の抽出も
- 「れきちず」が話題、開発者の@chizutodesignさんが“地図とデザイン”の魅力を語る
- これはいつまでも眺めてしまいそう! 全国の流域を網羅した「YAMAP 流域地図」公開
- 神戸市さん、データ利活用しすぎ……無料で誰でも使える「統計ダッシュボード」拡充
- 「登記所備付地図」の電子データを法務省が無償公開→有志による「変換ツール」や「地番を調べられる地図サイト」など続々登場
- スマホ位置情報の精度が向上、“高さ”特定可能に。日本で10月より「垂直測位サービス」
- 電波強度がGPSの10万倍、GNSSの弱点を補う「MBS」とは?
- スマホの「北」は「真北」「磁北」どっち? 8月11日「山の日」を前に考えてみよう
- Googleマップも未踏の領域!? 海の地図アプリ「ニューペックスマート」が本気すぎる
- 海岸線3万2000kmを測量、日本の“浅海域”を航空レーザー測深で詳細な地形図に
INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。