被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

出会い系サイトで仲良くなった相手にわいせつ画像を送ってしまった

 出会い系サイトなんて、やらせに決まっている、と思っていたのに、ニュースでは時々、出会い系サイトで出会った人たちが事件に巻き込まれた様子を見かけます。知り合いからも、異性と出会って食事に行った自慢話を聞かされました。それほど怪しくなさそうですし、お金も小遣い程度のようです。そこで、隠れて検索し、適当な出会い系サイトに登録したところ、しばらくして女性とメッセージのやりとりが始まりました。

 メッセージをやりとりするのに課金が発生するのは詐欺だとは肝に銘じていたのですが、そんなこともなく、普通にコミュニケーションできました。あるとき、相手から裸の画像を交換しようと求められました。躊躇していると、相手から裸の画像が送られてきたので、仕方なくこちらも送信。それからも、出会い系サイトの会費だけで交流が続きました。そろそろ、実際に会ってみようという話になったところ、出会い系サイトの運営者からメールが来ました。

 法律に違反するわいせつ画像がアップロードされたので、警察に報告する、という内容です。アカウント消去は免れませんが、示談には応じるということも書かれていました。示談できるならと電話したら、いろいろと個人情報を聞かれて、示談金の話になり……。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

 基本的にはネット詐欺なのですが、対応が難しいケースです。わいせつ画像をアップロードした場所が、誰でも見られる場所だったりすると確かに法律に違反している可能性があります。やりとりしている女性が本物だった場合、未成年かどうかも問題になるかもしれません。

 出会い系サイトにどのくらい個人情報を渡しているか把握していて、メールやウェブサイトの文面から詐欺かどうかを判別できるのであれば、無視するという判断もあり得ます。しかし、氏名や住所、電話番号、クレジットカードなどを登録していると無視するだけでは収まらない可能性もあります。しかし、この手のネット詐欺に引っかかってしまうのなら自己判断はかえって被害を拡大することにつながりかねません。

 万全を期してトラブルを解決しておきたいなら、消費生活センターや警視庁のサイバーセキュリティ対策本部、弁護士などに相談し、隠さず情報を伝え、対応を判断してもらうことをお勧めします。

 ネット詐欺は、人の欲望の隙を突いてきます。あり得ないことはあり得ない、と肝に銘じ、個人情報を守るという意識を持ちましょう。そして、人に見られたくないものをネットにアップロードするのは止めましょう。ネットでは情報を手軽に記録し、ばらまくことができるためです。自分の身元を隠したまま脅迫するのも簡単です。相手を信用するしないの問題ではなく、自分のわいせつ画像などを送るのは生活が破綻する可能性があります。安全にネットを楽しむためには、デジタルリテラシーを向上させることが重要なのです。

NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。