被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

それってネット詐欺ですよ!

殺し屋から「見逃して欲しければお金を払え」と連絡が来た

 「私はあなたを殺すために雇われたヒットマンです」といったメールが来たらどうしますか?

 今回は、アメリカでは定番である「ヒットマン詐欺」について紹介します。2006年後半から発生したネット詐欺で「見逃して欲しければお金を払え」と脅迫してくるのが特徴です。

 日本人であれば、笑って無視するでしょうか? それなら良いのですが、もちろんサイバー犯罪者は無視されないように工夫してきます。例えば以下のような脅迫文があります。

 「こんにちは、○○さん。私はあなたを暗殺するために雇われた殺し屋です。私が誰であるか、あなたが知る必要はありません。雇用主は急いでいますが、私はあなたを10日間注意深く尾行しました。そして、あなたが暗殺されるような罪を犯していないことを知りました。

 そこで、依頼料の一部○○ドルを支払ってくれれば、依頼をキャンセルし、あなたに危害は加えません。48時間以内に支払わない場合は、依頼を遂行し、あなたもしくはあなたが愛する人を誘拐します。警察などに連絡した場合も、裏切ったとみなして、依頼を遂行します。

 あなたはラッキーです。もし、お金を用意できそうなら指定のメールアドレスに連絡をください。」

 といった感じです。まず、メールアドレスと名前がばれている時点で、恐怖を感じるのではないでしょうか。

 サイバー犯罪者は、過去にさまざまな企業から漏えいしたアカウント情報を流用しているのです。しかし、メールを受け取った側から見ると、自分が標的にされているように感じます。

 尾行しただけでなく、家族まで標的にするような含みを持たせ、警察に行かないように釘を刺しています。しかし、金銭を支払えば見逃すなど安心させようとするのも小狡いテクニックです。

 もっと細かい個人情報を記載したり、SNSで情報収集したプライベートな内容を書くケースもあるそうです。暗殺という手口のほかにも、爆弾を仕掛けたとか、テロを仕掛けるといったパターンもあります。

 米連邦捜査局(FBI)では、こうしたメールに返信しないように呼び掛けています。返信することで、そのメールアドレスが有効で、使われていることが分かってしまうからです。さらに脅迫がエスカレートしてしまう恐れもあります。

 あるとき、このメールを受け取った人が、警察に通報すると返信しました。すると、その人の勤務先住所や婚姻情報、娘のフルネームを返信してきました。そして「私が言ったことを実行する準備はできましたか? それとも私は依頼を実行しましょうか? イエスかノーで答えてください」と最後通告を送ってきたのです。

 漏えいした情報に加えてSNSなどでも情報を収集したのでしょう。恐ろしい内容ですが、それでもこの手のメールには決して返信してはいけません。

最後通告のメールの一例です。画像はFBIのウェブサイトより

 殺し屋なんてアメリカは怖いね、という話ではありません。日本であれば、その文化に合わせた脅迫をすれば良いのです。ニュースでは恐ろしい事件について日々報じられていますが、それらの内容を取り込むだけでリアリティのある脅迫文になります。

 ヒットマン詐欺もしくは類似するようなメールが届いたら無視し、「迷惑メール相談センター」などに通報してください。もちろん、内容が酷いようであれば、警察に相談するのも良いでしょう。

 ヒットマン詐欺のメールが来ても、送金はもちろん返信もしてはいけません。これはネット詐欺メールの基本対策です。周りにシニアの方などがいる場合、雑談に混ぜてネット詐欺の情報を共有してあげてください。知っていれば、焦ることなく正常な判断を下せるのです。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

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