被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
「500万円」クラスの高級車の当選メールが届いたので開いてみた
2020年12月4日 06:00
先日、「車を獲得しておめでとうございます」というネット詐欺メールが届きました。
「おめでとうございます、あなたが私たちの会社でランダムに選ばれ、あなたは車を獲得しました!車のモデルはキャデラックCT4です」という文面で車の写真が掲載されていました。
写真に掲載されていたのはキャデラックの2020年モデルでした。価格は500万円近いスポーツセダンです。本当に当選しているのなら狂喜乱舞するところです。
メールを下にスクロールすると、車の送料として500ドルをビットコインで送るように、と書かれています。また、ビットコインの受け取り後は住所を確認し、1週間以内に車を届けると書かれています。ご丁寧にビットコインの購入先へのリンクと、最後に振り込み先のビットコインアドレスが記載されていました。
文面を見れば、日本語の不自然さから翻訳アプリで作られたネット詐欺メールだということが分かります。ビットコインのリンクはどちらも日本の取引所ではないので、怪しさ満点です。
もちろん、このメールは当選したと見せかけた「当選詐欺メール」です。振り込んだ後は個人情報も引き出すので、フィッシング詐欺も行うと思われます。当たり前ですが、500ドルを振り込んでも車は届きません。
メールアドレスはどこかの企業から大量に漏えいしたデータを闇サイトなどで購入した可能性も考えられます。特定の個人をターゲットにしているわけではないので、詐欺メールが届いたことはあまり気にしなくてもよいでしょう。
対策として、このようなメールが届いても無視してください。削除したり、迷惑メールとして登録するのも良いでしょう。Gmailを使っているのであれば、メールのメニューから迷惑メールやフィッシングメールとして報告しておくとスピーディーに詐欺メールと判別され、他の人が詐欺に遭うことを防止できます。
もし、手数料を求められたり、文章が変なことから詐欺だと疑うことができれば、今回のケースで実害を受けることはありません。しかし、このメールで少しでも喜んでしまったのなら、要注意です。
当選詐欺メールの文面は、日々進化しています。日本語に全く違和感がなかったり、疑問を持ちづらい文面になっていることもあるのです。まずは、当選詐欺というものがあることを知っておきましょう。
特にシニア層は、この手の悪意に慣れていない方が多いので注意してください。今回はビットコインを送るように言われているので、対応がそもそも難しく実害が出にくいですが、クレジットカードでの支払いを促してくるケースもあります。もちろん、シニアだけでなく若い年齢層も狙われる可能性があるので注意が必要です。
例えば、iPhoneが当選して100円で購入できるというメッセージが来て、リンク先のウェブサイトでクレジットカード情報を入力したら、1万900円を引き落とされたという事件が茨城県で2020年7月に起きました。これも当選詐欺の一種です。
美味しい話が自分だけに訪れるなんてあり得ない、と肝に銘じてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「support@dlis.info」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。