被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
ガイドライン違反の出品に応じないように注意!
ネットオークションで激安商品に入札するときは「送料詐欺」に注意!
2021年10月29日 16:01
オークションサイトで、激安で商品が出品されていたので、ダメ元で安く入札したら、そのまま落札できてしまうことがあります。通常であればラッキーなのですが、最近またオークションがらみのネット詐欺が話題になってきているのでご紹介します。
商品詳細の送料に関する説明をチェックすると、一律7500円とか3万円といったあり得ない金額が書いてある出品が見つかります。ユーザーとしてはまとめてその料金を支払わなければならないので、想定より高い金額になってしまいます。
その多くが海外から発送すると記載している点が特徴です。実際に海外から発送されているわけではないのですが、それが高額な理由として挙げられ、到着まで2週間程度かかるとしているのです。これは、あるオークションサイトの入金から8日後~12日後に利用できる返金機能を利用させないためです。
もちろん、オークションサイト事業者のガイドラインではこの手の行為は禁止されています。例えば、「ヤフオク!」では、実費以上の送料を請求することも、落札から発送まで7日を超える取引も禁止されています。オークションサイト側もガイドラインに違反する取引を見つけて削除していますが、それでもいたちごっこで多数の詐欺出品が発見できます。
送料を高額に設定するだけでなく、通常金額を記載しているのにトラブルになる可能性もあります。複数購入時にわざと個別発送して送料を多重取りしたり、記載されていた送料よりも高い着払いになっていたりするケースもありました。
送料詐欺は昔からある手口です。また、システム利用料を安く抑えるために、落札価格は10円などの金額に設定しつつ、送料と合わせて出品者にとって都合の良い金額になるように設定しているケースもありました。ほかにも「入金は即決価格の10倍でお願いします!」などと明記し、とにかく落札金額を抑えようとする手口もあります。もちろん、ガイドライン違反で、最近は見かけなくなりました。
入札する前に確認、ガイドライン違反の取引に応じないように注意
現在、いろいろなニュースで送料詐欺が取り上げられ、送料だけで数万円するような明らかな詐欺出品は減りました。それでも、梱包にかかるコストもあるので金額だけを見てネット詐欺と断じることはできないものの、いまだに怪しい出品も散見されます。
オークションの送料詐欺に遭わないためには、入札する前に絶対に送料を確認することです。明記されている金額が異なるなら、返金などの手続きもしやすくなります。「重量やサイズにより個別配送になる可能性がある」などと書かれている場合は、個別配送になっていいかどうか判断しましょう。多分大丈夫だろう、と勝手に思い込まないようにしてください。
ガイドライン違反の取引にも応じないようにしてください。例えば、ヤフオク!では7日を超えて商品を発送するのは禁止されていますが、8日以降にきちんと届けるのでキャンセルしないように連絡してくる業者もいるようです。いろいろな言い訳をして、返金リミットの12日を超えるようであれば、迷わずキャンセルした方が安心でしょう。
送料詐欺に遭った場合、被害者は怒り心頭になることと思います。しかし、商品詳細などに記載があると簡単には解決できないのが現状です。ヤフオク!のヘルプページでも「出品者から過剰な送料を請求された」場合、「ガイドラインを出品者にお伝えいただき、送料の変更や返金などについてお話し合いください」としか書かれていません。相手が詐欺師であれば、話し合いもなにもできるわけがありません。
お金が絡む取引は、きちんと細かくチェックしましょう。買うか買わないかは利用者の判断に任されています。お金を支払ってしまうと被害回復には手間がかかるので、しっかりしたデジタルリテラシーを身に付けてネット詐欺を回避しましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと