被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

騙されないように気を付けよう!

クラウドファンディングの募金詐欺に注意! 死んだ飼い犬の治療費を取り返そうとして捕まった犯人の手口

 1月13日、奈良県警はクラウドファンディングで支援金を騙し取ろうとした26歳の女を逮捕しました。2021年8月に死んだ愛犬が生きているように装い、治療費として10月から12月にかけて407人から184万円以上を集めたのです。犬好きには衝撃の詐欺です。

 2021年10月、女は目標金額を85万円に設定し、クラウドファンディングを開始しました。フラット・コーテッド・レトリバーの愛くるしい写真をトップに掲載し、「時間がありません 僕を助けてください!!」と文字が載っています。

 家にお迎えしてから2週間で先天的な心疾患が見つかったそうです。そこから、さまざまな検査、治療、手術を行います。多数の写真や領収書などが掲載され、どうしても満足のいく手術を受けさせてあげたいというのです。

 ものすごい長文で、その文字数は9000文字以上。筆者も愛犬がいるので、とても苦しい内容です。手術予定日は12月31日とのことでした。

フラット・コーテッド・レトリバーを助けるため多額の支援金が寄せられました。画面はイメージです

 TwitterやInstagramも駆使して、情報を発信し、たった3日間で85万円という目標金額を達成しました。しかし、今後の治療費が250万円かかるという理由で次のゴールとして180万円を設定しました。それも時間はかかりましたが、クリアしています。

 結果的にクラウドファンディングの手数料を引いた約154万円を騙し取ろうとしたのです。まだ振り込まれていなかったので詐欺未遂容疑ですが、犯罪は犯罪です。容疑者は容疑を認めています。

動物をネタした募金詐欺はSNSでも

 実は、クラウドファンディングだけでなく、動物をネタにしたネット詐欺は多数起きています。

 クラウドファンディングはページを作成したり審査を受けたりするのでハードルが高くなりますが、TwitterなどのSNSで治療費と嘘をついてお金を募るケースもあります。もちろん、途中で誰かがネット詐欺だと気付き指摘するのですが、それを理由に「傷付いた」とアカウントを消して雲隠れするのが巧妙です。

 海外でも似たような詐欺が起こりました。ある動物愛護センターが「車にはねられた犬の治療費がない」とSNSに投稿し、募金を募りました。実際は救助されたその日に犬は死んでしまったのですが、2日後にも犬の写真を投稿し、「容態はあまりよくない」と生きているように見せかけ、募金を騙し取ったのです。募金詐欺を指摘された後は、送金者への返金をしているようです。

YouTubeに上がるレスキュー動画にも詐欺的なコンテンツが

 近年、虐待された動物のレスキュー動画が人気です。YouTubeにはたくさんのレスキュー動画が投稿されており、多数の閲覧数を稼いでいますが、その中に詐欺師がいます。ペットショップで買ってきた動物を虐待し、痩せ衰えさせたり、怪我をさせたりして放置し、偶然通りかかったように演技し、助けるのです。

 騙される人が多いため、YouTubeはポリシーを改訂し、「準備された危ない状況にわざと動物を置いて救助するコンテンツ」を動物虐待としてNGにしました。

動物を使った詐欺レスキュー動画はポリシー違反となりました

 騙された人は善意を踏みにじられたと感じて、怒りを覚えることでしょう。当然、ネット詐欺を行う方が悪いのですが、騙されないように自己防衛することも大切です。

 閲覧してかわいそうと思うまではいいのですが、いいねを付けたりシェアしたりお金を払う前に冷静になりましょう。今回の冒頭に紹介したクラウドファンディングのケースだと、犬や資料の写真が全て8月までの日付になっています。10月時点で治療中であれば、9月や10月の写真もあるはずです。

 YouTubeに上がる詐欺的なレスキュー動画についても、なぜ毎回都合良く虐待されている動物を見つけられるのか、虐待している人との口論も薄ら笑いしながらの大根演技だったり、と不審な点が出てきました。

 愛犬家にとって犬が傷付いているという映像や話は感情を揺さぶられてしまいます。そんな時、判断力が鈍るので、詐欺に遭ってしまう可能性も高くなります。かわいそうと思うのとは別に、本当だろうか、という視点も持っておきましょう。お金が必要ならどんな目的でいくら必要なのかを確認したり、その団体や個人を別途検索してみるなど調べる手はいろいろあります。

 本連載で個別の事例を学び、未知のネット詐欺に遭遇した場合でも被害に遭わないデジタルリテラシーを身に付けましょう。ネット詐欺を回避し、支援を本当に必要としている動物や支援団体に寄付するようにしましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと