被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
Googleの検索結果トップにフィッシングサイト? 過去には「えきねっと」を装った偽サイトなど広告を悪用した手口
2022年11月11日 06:20
10月18~19日、Google検索で「えきねっと」と検索した際に見られたある現象について、SNSで話題になりました。Google検索では、検索結果の上部に広告が表示されるのですが、そこにえきねっとを装うフィッシングサイトが表示されてしまったのです。
えきねっとは、JR東日本のオンラインサービスです。新幹線のチケットなどを購入できるので、多くの人が利用しています。えきねっとをかたるフィッシングメールなどについては以前から多数報告されていますが、本連載で何度も紹介したように、そのようなフィッシングメールについてはURLを開かず、登録したブックマークからアクセスしたり、検索結果からウェブサイトにアクセスすることを推奨しています。しかし、Google検索の最上位にフィッシングサイトが表示されてしまうとなると、だまされてしまう可能性も出てくるでしょう。
広告に表示されたウェブサイトにアクセスすると、本物そっくりのフィッシングサイトが表示されたのですが、こうしたウェブサイトでIDやパスワード、クレジットカード番号などを入力すると盗み取られて悪用される恐れがあります。
えきねっとの正規のURLは「https://www.eki-net.com」ですが、今回確認されたフィッシングサイトのURLの末尾は「.com」ではなく「.ru」でした。「.ru」は、ロシアの国別コードトップレベルドメイン(日本でいえば「.jp」にあたる)です。
このような不正なウェブサイトに誘導する広告は、本来であれば、Googleがきちんと審査して、表示しないようにするべきです。Googleの広告ポリシーではこうした不適切なコンテンツについては許可されていません。当然はじかれるべきなのですが、今回は見逃したようです。
検索結果にフィッシングサイトが表示された場合の対処法として、リンク先のURLを確認することは重要ですが、正式な文字列かどうかを毎回確認しながらウェブサイトを閲覧することは面倒に思われるかもしれません。そこで、フィッシングメールの対策と同様、よく利用するウェブサイトについてはブックマークをしておくことがお勧めです。正規のウェブサイトをあらかじめブックマークしておき、毎回そこから開くようにしておけば、フィッシングサイトにアクセスしてしまう心配がありません。
もう1つは、「えきねっと」のようにアクセスしたいウェブサイトが明確に決まっていて、そのサイト名をキーワードに検索したときは、広告が表示されても絶対に開かない、ということです。Googleであれば、「広告」などと表示される項目があります。少し下にスクロールすると、正規のウェブサイトなどを含む検索結果が表示されるので、そちらをクリックすれば大丈夫です。
えきねっとのウェブサイトでは、偽サイトに個人情報を入力した場合の対応について紹介されています。えきねっとに関する情報を入力してしまった場合、正規のえきねっとにログインしてパスワードを変更するか、退会手続き後に新規入会するよう呼び掛けています。
ログインできなかったり、未使用の予約があって退会できない場合などは、えきねっとサポートセンターに連絡すれば、退会手続きを代行してもらえます。クレジットカードに関する情報を入力した場合は、クレジットカード会社に連絡し、カードの停止などの手続きを行ってください。
この詐欺も、事例を知ることで、怪しい広告を回避できる可能性が高まります。本連載で個別の事例を学び、未知のネット詐欺に遭遇した場合でも被害に遭わないデジタルリテラシーを身に付けましょう。また、ご両親などが「えきねっと」を使っている場合、だまされないように、本記事をシェアしてあげてください。事例を知っていれば、被害を回避できるかもしれません。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
- みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは
- チェーンメールで有名だった「神の手雲」が15年ぶりにLINEで回ってきた
- マイナポイント第2弾に便乗、「獲得したポイント2万円分が失効する」という詐欺メールが拡散中
- 注文した覚えはないのに? Amazonから代引き商品が送りつけられる詐欺に注意
- キャッシュカード&暗証番号を渡さなくても口座のお金が盗まれることも。自称「警察」から口座開設を求められたら要注意
- 「電話料金の未納があります」、フィリピンからNTTファイナンスをかたる怪しい国際電話がかかってきた
- Facebookで明石家さんまさん、大坂なおみさんなど著名人の写真を悪用したネット詐欺が横行中
- URLが本物そっくりな詐欺サイトに注意! 「ホモグラフ攻撃」などの手法を知っておこう
- ノブコブ吉村さんも遭遇、「PCのカメラからシャッター音! 何か撮影された!?」と驚かせる手口とは?
- SMSで不在通知が届いてもURLはクリック禁止! 偽宅配詐欺に要注意
- そのほかの詐欺事例など、この連載の記事一覧はこちら
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと