被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
Facebookで明石家さんまさん、大坂なおみさんなど著名人の写真を悪用したネット詐欺が横行中
2023年10月27日 07:01
Facebookの広告を利用したネット詐欺は以前からありましたが、下火になるどころか最近ひどくなってきています。さまざまな著名人の写真を無断掲載し、詐欺サイトに誘導する広告詐欺が確認されています。筆者のタイムラインには毎日のように現れます。気にせず無視すればよいのですが、今でも筆者が所属するNPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)のところに被害の相談や報告のメールが届きます。
Facebookで確認されている広告詐欺は、芸能人や有名人などの写真を使い、目を引くような言葉を並べます。例えば、堀江貴文さんや前澤友作さんの写真であれば株価情報やお金儲け関連のネタ、明石家さんまさんや大坂なおみさんの写真を使っている場合は「ショッキングな発言をした」「生放送で言ってはいけない言葉を口にした」などとタイトルで煽ってクリックさせようとします。
広告をクリックすると、ウェブページやLINEの友達追加ページに移ります。例えば、「最新の株式投資情報を知りたいですか?」のような簡単な質問に応えると、LINEの友達に追加するQRコードが表示されます。追加するとすぐに本人をかたるLINEアカウントからメッセージが送られてきて、「お名前なんとお呼びすればよいですか?」と聞いてきます。続いて、投資手法について語り始め、高額な情報商材や投資詐欺などに誘導します。
大坂なおみさんの写真を使った詐欺広告の例では、クリックすると、Yahoo!ニュースそっくりの偽の記事ページが表示されました。その内容は、「アメトーク」という生放送の番組での発言から、日銀が提訴する事態になったというもの。見慣れたニュースサイトそっくりのデザインになっていることで、うっかり信じ込んでしまう人がいるかもしれません。
記事はどんな切り口からであれ、お金の話に移り、最終的には暗号通貨に投資するように勧めてきます。最低250ドル分(約3万7000円)を入金することで、必ず儲かると謳っています。こちらも最終的には暗号通貨の投資サイトに誘導されます。
暗号通貨取引所の口座開設へ誘導することも
クレジットカード決済や振り込みでお金を払わせようとするパターンがあります。また、最近は海外から電話がかかってくることが多いようで、北海道の60代女性からDLISに寄せられた相談では、外国人がたどたどしい日本語で暗号通貨取引所での口座開設の誘導をしてきたそうです。
実際に日本で営業している取引所なのですが、詐欺師が口座開設の代行をしているのです。その際、女性は個人情報と銀行の口座情報、そして、身分証明書として免許証の画像を送信しました
免許証の画像は表面と裏面に加え、斜めからの写真も求められました。これは、免許証の厚みを撮影することで、本物を所有しているかどうか確認する目的のようです。
暗号通貨取引所から正式な口座開設の知らせが届くと、詐欺師は別の詐欺サイトに誘導し、クレジットカードで250ドルを決済させました。取引所への入金と言う理由でしたが、もちろん入金されるわけもなく、お金はだまし取られてしまいました。この段階で女性はネット詐欺であることに気付き、相談したことで金銭的被害はストップしました。
なりすまし被害に遭ったもののFacebook Japanの対応は……
このほかにも、前澤友作さんをかたる詐欺が確認されていますが、数えきれないくらいネット詐欺師からのなりすまし被害に遭っていることから、前澤さんは8月にFacebook Japanへ対応するように通知書を送付したとX(旧Twitter)に投稿しました。しかし、問い合わせには対応できないので、Meta Platformsのヘルプセンターから問い合わせるか指定先の住所に郵送するように、という返答がきました。
【拡散希望・Facebook社を責任追及します】
— 前澤友作@MZDAO (@yousuck2020)September 2, 2023
僕の写真を勝手に使った詐欺広告がFacebookやInstagram上で大量に見つかる
↓
Facebook Japan社に説明を求める内容証明(画像①〜③)を送付
↓…pic.twitter.com/5PL2kP1pNw
Facebook広告詐欺に遭わないためには、まずこのような事件が起きていることを知ることが効果的です。次に、お金が絡む場合は必ず検索してください。広告でなりすまし被害に遭っている有名人たちはSNSでそのことに言及していることが多く、ネット詐欺であることに気付くことができます。
また、そもそも、手軽に確実に儲けられる話などあるわけがない、と肝に銘じてください。SNSや口コミサイトでは、被害に遭っている方の投稿が多数見受けられます。ぜひ、デジタルリテラシーを身に付け、怪しい投稿は無視するようにしましょう。
とはいえ、ネット詐欺師もあの手この手で信用してしまいそうな広告を作ってきます。やはり、Facebookを運営するMetaが詐欺広告を審査し、却下する必要があります。なるべく早く、対応することを期待します。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと