被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
金融庁や消費者庁も注意喚起、暗号通貨を狙った「投資詐欺」の手口
2021年5月7日 06:00
今回、被害回復が難しく、暗号通貨を狙う悪質な投資詐欺について紹介します。筆者が所属するNPO法人デジタルリテラシー向上機構(DLIS)への相談が増えてきたので注意してください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
投資詐欺は昔から存在します。例えば、「100万円出資したら毎月10%の利息をもらえます」「会員権を買って他の会員を紹介したら手数料の一部が毎月もらえます」「絶対儲かる投資情報を販売します」などさまざまな方法で勧誘してきます。従来は標的者の現金が狙われていましたが、現在、ビットコインなどの暗号通貨を狙うことがトレンドになっています。
暗号通貨は仮想的な通貨をコンピューター上で利用します。物理的な貨幣がないので持ち運びに苦労する必要がありません。仕組み上、送金してしまったら取り返すことはほぼ不可能です。匿名性が高いのも特徴で、当然のようにサイバー犯罪者がこぞって利用するようになりました。
ZOZO創業者の前澤友作氏をかたったビットコイン詐欺も2020年6月に発生しました。記載されているURLにアクセスすると暗号通貨をプレゼントするといった内容ですが、口座の確認のために0.1~10ビットコインを送るように指示してきます。送金が確認されれば、2倍にして送り返すというのです。当時は1ビットコインが100万円くらいなので、10万~1000万円分を送るようにというわけです。金額が大きい方が利益も多いため、多額の暗号通貨を送った人が続出しました。当然、詐欺なので取り返すことはできません。
えげつないのが、被害が拡大している「国際ロマンス詐欺」です。マッチングアプリでやり取りするようになった標的者に対して、結婚資金や新居の費用という名目で、「絶対に儲かる投資をしよう」と話を持ち掛けてきます。投資サイトで暗号通貨を利用するように促してきますが、このウェブサイト自体が偽物で、投資がうまくいっているように見せかけて、どんどん振り込ませようとします。
国際ロマンス詐欺の被害者はほとんど女性で、被害額は1000万円を超えることがざらです。我々、NPO法人デジタルリテラシー向上機構のところにも被害に遭った女性から情報が寄せられています。しかし、送金してしまうと、打つ手がありません。どうしても被害回復を求めるなら弁護士に相談することになりますが、それでも可能性が低すぎるとして断られるケースもあるようです。
金融庁と消費者庁、警察庁は暗号通貨に関するトラブルについて注意喚起を行っています。具体的には、マッチングアプリで知り合った人から投資の勧誘を受けても投資しないようにということ。もう1つが、金融庁や財務局での登録の有無など、暗号資産交換業者の情報を確認することです。
金融庁のウェブサイトで、登録を受けている事業者かどうか、無登録事業者として警告された事業者でないかを確認することが重要です。登録されていない事業者に送金することは絶対にやめましょう。ましてや海外の素性が分からない交換事業者を利用するのはリスクが高いということは覚えておいてください。
暗号通貨に関する知識とネット詐欺に関する知識を学び、デジタルリテラシーを向上させ、自分の資産を守りましょう。くれぐれも、お金欲しさの欲望に流されて、被害に遭わないようにしてください。
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