柳谷智宣の「働き方改革に効く!デジタル士魂商才」

第7回

「ScanSnap」って何をする機械? 新機種「iX1500」で、ビジネス現場のペーパーレス化を本気で加速!

ビジネスITフル武装<ドキュメントスキャナー編>

「ScanSnap iX1500」はハード/ソフトの両方が進化し、ビジネス現場で使い倒せるドキュメントスキャナーになっている

 株式会社PFUのドキュメントスキャナー「ScanSnap」が6年ぶりとなるフルモデルチェンジを行った。個人向け製品ではあるが、ハードウェアの性能向上に加え、ソフトウェアの大幅なリニューアルにより、ビジネス現場で超絶役に立つツールになっている。今回は、ビジネス現場のペーパーレス化を本気で加速する「ScanSnap iX1500」の活用法を紹介しよう。

ビジネスではITを活用しないと生き残れません。とはいえ、世の中にはデジタル製品もITサービスも溢れかえり、百花繚乱です。コストだけを見ると銭失いになりかねませんし、何も考えずに選ぶと予算オーバーになることも。そこで、本連載『柳谷智宣の「働き方改革に効く!デジタル士魂商才」』では、副業で個人事業主となろうかと考えている人から、10人くらいまでの小規模企業を経営している人向けに、ビジネスのためのITという切り口で製品やサービスを取り上げようと思います。

筆者も、国内外に展開する飲食企業を含め複数の会社を経営しているので、デジタルリテラシーの低い社員や予算がないといったよくある悩みを抱えています。そんな現場のリアルから、業務効率改善や働き方改革に効く情報を紹介します。

ファイル名を自動で付けたり画像をキーワード検索できるスキャンソフトが便利!

 ドキュメントスキャナーは複数の紙をセットして、一気にスキャンしてデータ化してくれるデバイスだ。コンビニのコピー機のように1枚ずつガラス台に乗せる手間なく、大量の紙を読み込めるのがウリ。オフィスのペーパーレス化に活躍してくれる。

 「ScanSnap」は国内シェアNo.1のドキュメントスキャナーで、筆者もこの6年間は前モデルの「iX500」を使っていた。今回発売された「iX1500」は、PFUの個人向けドキュメントスキャナーシリーズのフラッグシップモデル。操作ボタンを表示する4.3型のタッチパネルを備え、スキャン性能やWi-Fiの強化、起動時間の短縮などを実現している。ソフトウェアも一新され、ドキュメントスキャナーのあり方も新しい次元に到達したと感じた。

6年ぶりのフルモデルチェンジとなる「ScanSnap iX1500」

 単に紙をスキャンして保存することは昔からできた。しかし、ビジネスの現場では手間がかかることはできない。オフィスにいるのは、PCに詳しく、ドキュメントスキャナーを積極的に使いたい人だけではないのだ。

 例えば、A4サイズの文書は簡単なのでデータ化するが、レシートなどの小さいサイズの紙をスキャンするのが面倒になって放置するようになる。スキャンしたファイル名を変えるのが面倒なのでそのままにするし、書類の内容によって保存場所を移動するのが面倒なのでドキュメントフォルダやデスクトップに山積みにしたりする。スキャンはできるので最低限のことはできるが、データの活用という点では効果が薄かった。

 そこで、ScanSnap iX1500の出番。この課題のほとんどを解決してくれるのだ。全モデルのiX500でも書類サイズを混在させることはできたが、A4サイズの中に薄く小さいレシートが入ると、セットに手間取ることがあった。くしゃくしゃに丸まっていると、そもそもきちんとスキャンできないことも。しかし、今回から「名刺・レシートガイド」を同梱しているので、書類とレシート、名刺をそれぞれのガイドにセットし、まとめてスキャンできるようになった。レシートガイドは、ホテルでもらうようなちょっと大きめサイズに対応している。

 出張から帰ってきたら、会議やセミナーでもらった紙資料と領収書の束と交換した名刺をまとめてセットし、「おまかせスキャン」するだけでいい。1分間に30枚60面のスキャンスピードで一気にデータ化される。この手軽さがうれしいところ。ボタン操作は本体のパネルでも、PC上で行ってもいい。

リニューアルされた統合スキャンソフト「ScanSnap Home」をセットアップする
USBに加えてWi-Fiでも接続できる
「ScanSnapアカウント」でサインインする
まずは、スキャンしてみる。紙をセットしたら「Scan」をクリックする
「おまかせスキャン」を選択して「Scan」をクリックする

 スキャン後は、同梱される専用ソフト「ScanSnap Home」に保存される。その際、取り込まれたファイル名がスキャン日時ではなく、書類の内容になっているのに驚くことだろう。これは、OCR機能でテキストを読み取り、自動的に付けてくれるのだ。「20181010_ご請求明細書」とか「東海旅客鉄道」というファイル名になっているのはありがたい。もちろん、認識できないこともあり、その際はスキャン日が付けられる。

 取り込んだあとに自分でファイル名を修正すると、学習する機能も備えている。書類番号を入れたり、社名を入れたり、誤認識した文字を修正したことを覚えて、次回以降のスキャン時に自動的に提示してくれるのだ。書類のカテゴリーやスキャン時ではなく書類発行日をファイル名にすることで、格段にデータ管理がしやすくなるのはありがたいところ。

一瞬でスキャンされて、ファイル名が自動で付けられた
「家計の支出を管理」を選択して、「Scan」をクリックする

 スキャンしたデータはPDFもしくはJPEG形式で保存できる。初期設定では、「家計の支出を管理」で領収書類を読み込むとJPEGで取り込まれる。この画像もOCR処理し、ScanSnap Homeでデータを管理してくれるのだ。つまり、画像ファイルもキーワード検索できるようになる。もちろん、画像ファイル自体にはそうしたメタデータを埋め込めないので、ScanSnap Home以外では検索できない。

「家計簿」カテゴリーに領収書のJPEG画像が保存された
スキャンされた項目を修正できる
JPEG画像形式で保存された書類もキーワード検索できる

 ドキュメントスキャナーとはいえ、いろいろなものをスキャンできるのもありがたい。年賀状や名刺はお手のものだし、3メートルまでの長尺原稿もスキャンできる。「手差しスキャン」モードでは、プラスチックカードも読み込めるので、免許証やクレジットカード、印鑑カードなどもデータとして残しておける。複写帳票といった複数枚の紙が重なっている原稿や封筒もスキャンできる。付せん紙を貼っていてもOKだ。

 A3やB4、ダブルレターサイズなど、A4サイズを超える原稿の場合は2つ折りにしてスキャンする。従来は、キャリアシートに挟む必要があったが、ScanSnap iX1500では普通に折るだけでスキャンできるようになった。これはとても便利。いちいちシートを出すのが面倒なので、A3の原稿はスルーされがちだが、これできちんと電子化できるようになる。

 封筒をスキャンできるのもありがたい。筆者が経営している飲食店は国内外4カ所にあるのだが、毎日行けるわけではないので郵便物は報告してもらうことになっている。しかし、毎回、手入力で誰から誰宛に届いたのかをSlackに投稿してもらうのは手間がかかる。そんなとき、ScanSnap iX1500なら封筒と内容物をスキャンするだけでOK。現場スタッフの手間は激減する。あとは自分の手が空いたタイミングで、スキャンの保存場所をチェックすればいい。

 筆者が面倒に感じているのが、通帳のスキャン。ネットバンキングの画面キャプチャーではなく、アナログの通帳に記帳してそのスキャンを送ってくれ、と言われることが多い。そこで、チャレンジしてみたところ、重なり検出画面が出てしまった。確認してみると、手差しスキャンで最大256g/m2までの紙厚と0.76mm以下のプラスチックカードに対応している。通帳を真ん中から開いても、1㎜くらいの厚さがあるのでNGなので使えない。データとしては普通に取り込めていたが、本体を壊さないためにも、もうスキャンしないようにしたい。

付せん紙を貼ったままでもスキャンできる
通帳はエラーが出たが、スキャンはできた

書類の種類や取り扱う会社ごとにカスタマイズしたボタンを最大30個まで設定できる

 本体にタッチパネルを搭載したことで、スキャン時のモードを手軽に選べるようになった。最初は、スマホよりも小さい4.3インチの画面で何ができるのかと思ったが、使ってみるととても便利。大量の大きなボタンを自由に切り替えて活用できるのだ。

 このボタンはプロファイルと呼び、スキャン設定や保存形式、保存場所、連携アプリなどをまとめて設定しておき、ワンタッチで実行できるもの。「書類を保存」であれば、カラーモードや画質は自動、両面読み取りでPDF保存、「出張経費の精算」であれば、カラーモードで片面スキャン、画質はスーパーファインでJPEG保存――というように使い分けられるのだ。プロファイルのテンプレートは25種類用意されており、合計30個まで登録できる。

 筆者は、事業によって会社を分けているので、「A社経費」ボタンで共有サーバーの「経費」フォルダーに保存したり、「B社書類」ボタンでDドライブの「書類」フォルダーに保存するなどと設定できるのが助かる。ただ、細かくするとボタンが増えてしまうので、カテゴリで分類するか会社で分けるか悩んでいるところ。設定の変更は簡単なので、トライアンドエラーを繰り返しながら、最適な業務フローを構築すればいい。

 また、クラウドサービスと連携しているのも便利。クラウドストレージの「OneDrive」「Dropbox」を保存先にできるだけでなく、名刺アプリの「Eight」や会計サービスの「freee」などに送信することもできる。本来であれば、スマホアプリを利用したり、手動でアップロードするところが、スキャナーの取り込みボタン一発で、プレビューの確認もなく送信できるのがとても便利だ。

「プロファイルの追加」ボタンをクリックする
テンプレートを選んで各種設定をカスタマイズする
クラウドサービスと連携できる
「OneDrive」の「ScanSnap」フォルダーに保存する設定にしてみる
書類をセットして「文書をOneDriveに連携する」ボタンを押すだけで、スキャンされてデータがアップロードされる
名刺アプリの「Eight」を選択し、ログインする
名刺をスキャンすると、「クラウド」に保存される
「Eight」に登録され、入力が始まる

 ScanSnap iX1500には、ScanSnap Homeのライセンスが4人分付属している。ユーザーごとにプロファイルを作成し、ワンタッチでそれぞれがスキャンできるのだ。例えば、Aさんは「営業部」フォルダーに保存、Bさんは「企画部」フォルダーに保存するようにできる。Eightのような個人のアカウントを利用する際も、面倒なことなくスキャナーを共有できるのが便利。ユーザーごとに8色からカラーを選べるので、押し間違えも防止できる。

「環境設定」の「アカウント」でユーザー名や色を設定する
1人目を青、2人目を赤にしたところ。不要なスキャン項目を削除したり、使う頻度の多いプロファイルを左に移動したりして使いやすくカスタマイズしよう
他の人のプロファイルは編集できない

 本体の構造も改良しており、カバーや紙を受けるスタッカーを1手順で開けるようになったのはありがたい。従来はどちらも2手順必要だったが、面倒なので1手順ぶんしか展開せず、書類が倒れたり床にまき散らかされたりしたのだ。

本体も使いやすく進化している

 ScanSnap iX1500は、とにかくストレスなく紙資料をデータ化できるのがうれしい。PCに詳しくない人にもビジネスの現場で使ってもらいたいデバイスとしては、重要なポイントだ。取り込みたい紙資料を、スキャン設定や大きさを気にせずまとめてセットし、自分の使うボタンにタッチすれば、指定した場所にファイルが生成される。

 この手軽さは、ビジネススピードを確実に向上してくれる。オフィスのペーパーレス化による恩恵の大きさは皆さんご承知の通り。ScanSnap iX1500の直販価格は5万1840円(税込)。個人のレシートだけ取り込むのには高く感じるが、ビジネスで使うならあっという間に元が取れそうなお手頃価格と言えよう。

 オフィスのペーパーレス化を推進するためにドキュメントスキャナーの購入を検討しているなら、ScanSnap iX1500はイチオシ。機能の少ないエントリーモデルで試して挫折するより、ストレスフリーで高性能な製品に投資し、成果を出すことをお勧めする。

柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。キャリアは20年目で、デジタルガジェットからウェブサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。国内4店舗・海外1店舗に展開する飲食業やウイスキー販売会社も経営しており、デジタル好きと経営者の両方の目線で製品やサービスを紹介するのが得意。