柳谷智宣の「働き方改革に効く!デジタル士魂商才」

第14回

「Notion」の基本的な使い方 ~ビジネスの“あらゆる情報を一元管理”できるオールインワンサービス

 ビジネスの情報はどうやって管理しているだろうか。今や、さまざまなクラウドサービスが乱立し、自由に組み合わせて利用できる。例えば、筆者であればドキュメントは「Google ドキュメント」、スプレッドシートは「Excel」、タスク管理は「Trello」、あとで読むサービスは「Pocket」、クラウドストレージは「OneDrive」などを利用している。思い付いた企画やビジネスの構想などは長らく「OneNote」に記録している。

 しかし、複数のツールを使うのは手間がかかる。頻繁に使わないサービスは忘れ去られて、幽霊のような残骸だけが残っていることもある。全てのアカウント情報を管理するのも面倒だ。

 こんな課題を抱えている人にぴったりのツールがある。「Notion」というクラウドサービスだ。ありとあらゆる情報を記録できるオールインワンサービスで、2016年にローンチされた。2020年4月には54億円もの資金調達も行っている。

統合型情報管理ツール「Notion」

 しかし、オールインワンと言われても、眉に唾を付ける人も多いのではないだろうか。適当なレベルで機能をごった煮にされても一長一短となりがちだ。しかし、Notionはこの4年間、一貫して成長し、ユーザーを増やしてきた。

 本当に、ドキュメントもデータベースもナレッジベースもプロジェクトも管理できるのだ。見やすくマークダウンでテキストを入力できるでけでなく、リストを作ったり、チェックボックスを付けたり、画像や地図を埋め込んだりできる。

 Excelのようなデータベースを作成でき、カレンダービューもカンバンビューもガントチャートにも対応している。作成したページはメンバー間で共有できるし、自分だけのプライベートページを作ることも可能。

 Notionはウェブアプリとしてブラウザーで動作するほか、Windows、Mac、Android、iOSなどマルチプラットフォームでアプリが利用でき、もちろん同じアカウントでログインすることで情報が同期される。

 これは使わない理由がない……ように見えてしまうが、自由度が高すぎて、適当に始めると使いこなせずに飽きてしまうこともある。まずは、基本的な機能を利用して、ビジネスに必要なページを作ってみよう。すぐに、何がスゴイのか体感できるはずだ。

「Notion」は何がスゴイのか、ページを作って体感してみよう

 Notionのウェブサイトでメールアドレスを入力してサインインしよう。メールでサインアップコードが来るので入力すると、名前とパスワードの設定画面が開く。その後、利用プランを選択する。今回は会社で使うことを前提に「Team」プランを選択した。無料での試用が可能だが、登録できるのは1000ブロックまでとなる。ブロックとは要素のことで、段落でも図でも表の一列でもカウントされる。本格的に運用すると、速攻で1000を超えるので、あくまでも試用となる。

 続けて、ワークスペース名と会社規模、チームのタイプを選択する。チームタイプに飲食店がないので、セールスを選んでおいた。これであっけなくNotionにログインできる。有料プランのトライアルなのに、クレジットカード情報を求められないのは快適で好印象だ。

Notionのウェブサイトでメールアドレスを入力し、「Sign in」をクリックする
メールが送られて来るので、パスワードやプランを設定してアカウントを作成する。ここでは「Team」プランの試用をしてみる
Notionの画面が開いた

 「WORKSPACE」には5つのサンプルページが作られていたが、まずは「+」をクリックして新規ページを作成してみよう。空のページが表示されて、いろいろなメニューが現れる。ここからダイレクトに文書を入力し始めることもできるのだが、まずは「Templates」をクリックする。

 あらかじめ収録されているテンプレートを利用してページを作ると手間が省ける。ビジネスの部署ごとに使いそうなテンプレートがまとめられているのでいろいろチェックしてみよう。ここでは「Task List」を選んでみよう。

 ページが作成されたら「New」をクリックして項目を入力する。今回は、担当者、ステータス、重要度、期限といった感じだ。作成した項目はボードビューで表示される。いわゆる、カンバン方式だ。タスクをカンバンに割り振り、作業が進んだら右の工程に移動させていく方式だ。もちろん、Notionのボードもドラッグして移動できる。

 複数の担当者が抱えているタスクとその状況が可視化できるので、管理が簡単。締め切りも把握しやすいので、遅延なくプロジェクトを進められる。カンバン機能だけの有料サービスもたくさんあるが、Notionでは表示機能のごく一部というのがスゴイ。

新規ページを作り、「Templates」をクリックする
テンプレート一覧から「Task List」を選び、「Use this template」をクリックする
タスク名や期限、重要度などを入力する
タスクが作成された。完了したら右側にドラッグして移動する
複数担当者が抱える多数のタスクをビジュアルで管理できる

“あとで読む”系サービスも「Notion」に置き換えられるかも

 社内の情報共有ならWikiが便利。テンプレートから「Product Wiki」を選択し、「Use this template」をクリック。追加されたページをカスタマイズする。

 見出しやテキスト、箇条書きなど、既存のページを置き換えていくと、どんなことが可能なのか分かるようになる。まずは、どんどんいじってみよう。

 文章だけでなく、写真や動画を挿入できるので、社内マニュアルの作成もできる。試用中にアップロードできるファイルあたりの容量は5MBまでだが、有料プランを契約すれば無制限となるので、気軽にアップロードできるようになる。

「Product Wiki」を使ってみる
テンプレートが表示されるので、文字や画像などを置き換えていく
タイトル画像や項目を変えてみた。もちろん、削除するのも、別のブロックを追加するのも自由だ
リンク先のページも直感的に編集できる。画像や動画をアップロードすることも可能だ

 次は情報収集サービスとして利用してみよう。ウェブ閲覧中に気になったサイトを登録しておき、あとでまとめてチェックできる“あとで読む”サービスでは、「Pocket」や「Instapaper」などが有名だ。しかし、これもNotionに置き換えられるかもしれない。

 まずはブラウザーに拡張機能「Notion Web Clipper」をインストールする。Chrome用Firefox用が公開されている。

 拡張機能の準備ができたら、目当てのウェブページを表示した状態でNotion Web Clipperのアイコンをクリック。すると、小さなウィンドウがポップアップする。ここで、追加するNotionのワークスペースやページを指定する。ページタイトルも確認・修正したら「Save Page」をクリックすればいい。アイコンをクリックするのが面倒なら、Ctrl+Shift+Kキーを押しても、ポップアップが開く。

 指定したページに、名前とURL、作成日時の入ったテーブルが表示される。「ギャラリービュー」に切り替えると、ウェブサイトのサムネイルが表示され、カタログのように閲覧できるようになる。あとで読むサービスと似た雰囲気で、社内の情報共有にもぴったりだ。

ブラウザーに拡張機能をインストールする
ウェブページを開き、拡張機能を実行すると追加できる
Notionに追加したページをギャラリービューで表示してみた

議事録もまとめて管理、カレンダーへのデータ表示も可能

 議事録などもまとめて管理できる。最初から追加されている「Meetng Notes」を利用してみよう。「リストビュー」で単にページを管理するシンプルなものだが、参加者や担当者、情報のタイプなどを記録できる。録音があるなら、音声データも紐付けてアップロードしておくことも可能だ。

「Meetng Notes」ページを議事録管理に活用する
議事録も簡単に作成できる

 「カレンダービュー」ではカレンダーにデータを表示できる。例えば、毎日の売上を登録しているページをカレンダー表示してみよう。

 まずは左上のビューアイコンをクリックし、「Add a view」を選択。サブメニューから「Calendar」をクリックしよう。すでに追加済みであれば、選択肢から選ぶだけでいい。今回は飲食店の売上報告にしたが、タスク管理ページで期限ベースで表示するのも分かりやすい。

 とはいえ、Notionのカレンダービューはちょっと機能が少なく使いにくい。そのため、Google カレンダーの共有カレンダーをNotionに貼り付けて活用している人もいる。

毎日の売上もNotionで管理できる
「カレンダービュー」に表示を切り替える
カレンダーに売上金を表示できた

「Notion」の“弱いところ”をあえて言うとすれば……

 Notionはさまざまなアプリやサービスからデータをインポートできる。「Evernote」や「Trello」「Google Docs」「Dropbox Paper」など、ライバルからユーザーを引き抜く気満々だ。「OneNote」から直接インポートすることはできないが、まず、Wordにエクスポートし、そのWordファイルをインポートすることは可能。

 Excelで管理している表も、CSVで保存すればNotionに取り込める。まずは新規ページを作成して「Import」をクリックし、メニューから「CSV」をクリック。ファイルを指定すれば、ページ内にデータが追加される。

新規ページの「Import」を開き、「CSV」をクリックする
CSVを読み込ませたところ。Excelからの移行も手間がかからない

 あえて弱いところを言うとすれば、Evernoteのように画像をアップロードしてもOCR処理をしないことや、iPad+Apple Pencilのように手書き文書を作成できないことなどが挙げられる。

 そして、英語しか使えない点。とはいえ、メニューには簡単な単語しか使っていないので、基本動作は直感的に理解できる。どうしても分からないという人は、Chromeブラウザーの翻訳機能を使えば、ほぼ日本語になるので試してみよう。さらには、2021年中に日本語化されるという噂もある。

 個人であれば無料で使い続けられるのだが、「Team」プランはメンバーあたり月額8ドルとなる。ちなみに、「Personal Pro」プランもあり、こちらは個人用のフリープランの強化版で月額4ドル。

 有料プランは、ページもブロックもファイルのアップロードも無制限。ページを共有するゲストユーザーも無制限に招待できる。30日間までだが、バージョン履歴も取っておいてくれる。今回紹介したように、「Team」プランではコラボレーションワークスペースを利用できる。

 無料のままだとファイルをアップロードできないので、どうしようもない。本格的に利用するなら有料プランへのアップグレードが必要だろう。個人で使うなら「Personal Pro」、会社で使うなら「Team」プランを選べばいい。

「Team」プランの価格は年払いだと月額8ドル換算になる

 以上がNotionの使い方の基本だが、まだまだ機能の一部しか紹介し切れていない。それほどに高機能なサービスなのだ。情報を集約して業務効率を上げるのはメリットしかない。複数のウェブツールを集約できれば、コスト削減に繋がることもあるだろう。クレジットカード登録なしで試用できるので、興味のある人は気軽にチャレンジしてみることをオススメする。

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柳谷 智宣

IT・ビジネス関連のライター。キャリアは22年目で、デジタルガジェットからウェブサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛けている。都内で飲食業「原価BAR」やウイスキー販売会社「トゥールビヨン」も経営しており、デジタル好きと経営者の両方の目線で製品やサービスを紹介するのが得意。