特集

2023年を振り返って、INTERNET Watch編集部スタッフのオススメ記事をまとめてみた

 2023年を振り返って、INTERNET Watch編集部がオススメしたい今年の記事を各スタッフが1本ずつ紹介! 注目しているジャンルやここでしか見れない記事制作時の裏話などを自由に語りました。

 引き続き2024年もINTERNET Watchをよろしくお願い致します。

鈴木 光太郎

記事: 映画化された「Winny」はどんな事件を引き起こしたか〜本誌記事で振り返る当時の衝撃

映画「Winny」ポスターより (c)2023 映画「Winny」製作委員会

 僕がおススメしたいのは映画「Winny」の話。Winny騒動は、非常に多くの側面を持った騒動でした。技術的な革新性をきっかけにして、「個人のITツール」だったPCが「社会を構築する基盤」として重要になっていく過程と混乱、その役割を果たした「技術ヲタク」の人物像、そして「思想」の表現としてのプログラム。20年前の話ですが、その光景は現代も同じでしょう。

 例えば「AI」。今、さまざまな技術革新と混乱が起きています。これは、「社会を構築する基盤」であるコンピューティングが「次の何か」として重要になっていく過程のはずです。

  では、“次の何か”とはどういうもので、どこに行きつくのか?

 それは今、AIに関わる方々の思想と研鑽、そして社会を巻き込んだ大混乱の先にある、と思うのです。「歴史は繰り返さないが、しばしば韻を踏む」といわれます。今の時代の「Winny」や「情報流出騒動」、「京都府警」「2ちゃんねる」、そして「金子勇氏」にあたるものは何なのか? 僕自身も、それをもう一度考えてみたいかな、と思います。

 そういえば、この映画「Winny」、先日からAmazon Primeでも視聴できるようになりました。記事を眺めつつ、映画を観る、なんてことをしてみるのも面白いかも。

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永沢 茂

記事: 連載「みんなの在宅ワーク」100回記念。改めて在宅ワークについて考えてみる

 コロナ禍を受けて2020年5月にスタートした連載「みんなの在宅ワーク」。やはり当初はテレワークに役立つ機材などの“実用系”の記事の反響が大きく、特にテレワークで重要性が増していた外部ディスプレイに関しては「記事写真に写っているディスプレイの枚数と、記事のページビューは正の相関関係にある」説が浮上。編集部内では「ページビューを増やすにはディスプレイの写真を増やせ!」と半ば本気で語られていたほどでした。

連載開始~2021年末の掲載記事65本について、サムネイル画像(記事タイトルとセットで表示・配信される画像)に写っているディスプレイ画面の枚数とページビューの関係をプロットしてみたところ……逆に、ディスプレイ枚数が0枚・1枚・2枚なのにページビューのトップ3にランクインしている記事のほうが気になるかも?

 一方で、息抜きの工夫や趣味、住まい・暮らし方、働き方そのものがテーマの“ライフスタイル系”の記事にページビューが集まるようになったのは2022年ぐらいから。コロナ対策で必要に迫られて拡大した在宅ワークという働き方を、少しでもポジティブに捉えてもらえれば……という狙いもあったのですが、2020年当時の世間はそこまで余裕がなかったのかもしれません。

 新型コロナ感染症が5類移行となった今年5月、この連載も節目を迎えました。その第100回では、3年にわたり編集担当を務めたフリーライターの甲斐祐樹さんが「コロナ禍とともに歩んだ在宅ワーク」を振り返っています。機材など実用系の話は今となっては少し古くなっている情報もありそうですが、ライフスタイル系の記事では、コロナ禍が落ち着いた今だからこそ新たな発見につながる部分があるかもしれません。バックナンバーもあわせて読んでいただければ。

連載第1回の編集担当の甲斐祐樹さんが自ら執筆。『ビデオ会議効率向上の鍵は、ディスプレイの枚数と音質』と題して、その後の鉄板ネタとなる“マルチディスプレイ”を初っ端から取り上げていました
しかしその後、外部ディスプレイの使用スタイルとして“大画面1枚だけ”という潮流も生まれ、甲斐さん自身も2022年に『「ディスプレイは多画面」派の私が「大画面」派に移った たった1つの理由』という記事を執筆して大反響。ここに来て、ページビューを稼ぐためにディプレイ枚数の多い写真を使っとけ――というネットニュースメディアの常套手段が通用しなくなってきたのです……
山田 貞幸

記事: 警視庁が家庭用ルーターの使用に注意喚起、「見覚えのない設定変更」がないか定期的に確認を

 セキュリティに関して警察が注意喚起することも異例なら、家庭用ルーターというどこの家にもある機器に対し、「見覚えのない設定変更がなされていないか定期的に確認する」という、なかなか難度が高く手間もかかる対応を推奨していることも異例という、非常に特異な話題でした。

 これは、ストレートニュース(発表内容をもとに、編集部や記者の見解を加えず報じるニュース)だけだと伝わるべき人たちに伝えるのが難しいだろうけど、ではどうしたものか……。わが身を振り返っても(Wi-Fi)ルーターの様子を定期的に見るなんてことは全くしていないし、いろいろと話を聞くに、Wi-Fiルーターの設定を見るのは初期設定のときぐらいで、後は何年も置きっぱなしの家庭が多い、という様子が見えてきました。

 まず、家のWi-Fiルーターの存在を定期的に意識するようにして、設定も大事だけど、そもそも長年置きっぱなしだったら買い替えも考えましょう、といった提案をするところからじゃないか、ということで、今年の11月11日に始めたのが「Wi-Fiルーター見直しの日」です。

 皆が利用しているけど、基本的には置いているだけで存在感は意外と薄い。一方で、攻撃の対象となりやすくて、大きな被害にもつながりうる。ただ、その被害は往々にして利用者自身ではなく、ネット越しのほかの誰かに降りかかる。そんなWi-Fiルーターについて、来年もさまざまな情報をお届けしたいと思います。

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・家のWi-Fiルーター、何年も“置きっぱなし”にしていませんか? 年に一度は「見直し」を
・警視庁に、家庭用ルーター不正利用の現状を聞く〜「“攻撃元”の家庭へ捜査員が話を聞きに行った事例も」

瀬戸 学

記事: あさって、12月10日は「楽天ふるさと納税」がオススメな理由 【2023年版】ふるさと納税のお得な利用法

 瀬戸のオススメ記事ですが、いろいろあるけどこの瞬間に役立つ記事ということで、まだ間に合います、ふるさと納税。さらにこのタイミングで今年分の源泉徴収票が出ている人は、シミュレーションしてみれば、もっと寄付できるかもしれませんっっ!!

・ふるさと納税はまだ間に合う! 12月31日までOK!!
 今から申し込もうという人は、ズバリ、オンラインでワンストップ申請ができる自治体の中から選びましょう。オンライン手続きができれば、12月31日の23時59分に申し込んでもワンストップ申請に間に合います。詳細は記事を読んでください。

 ただし、同じ自治体でも、利用するポータルサイト(楽天ふるさと納税やさとふる、ふるさとチョイスなど)によっては、オンライン手続きができたりできなかったりする場合があるので要注意。

・今年の源泉徴収票を元により正確な上限額を調べよう!!
 このタイミングだとすでに令和5年分の源泉徴収が出ているかもしれません。出ているならそれを元に上限額を調べ直してみては?

 あくまでワンストップ申請できる人(給与所得だけで確定申告が不要の人)に限れば、調べるのはカンタンです。

 中でもカンタンなのが楽天ふるさと納税の詳細版シミュレーター。確定申告が不要な人なら、基本情報入力の3行だけでOK。住宅借入金等特別控除額を入れる欄が下の方にありますが、年末調整で出している人はここの入力も不要。というか、 ワンストップ申請の場合は、住宅借入金等特別控除で上限が下がることはありません。

 もうひとつチェックするなら、オススメはふるさとチョイスの控除上限シミュレーション。入力項目は多いものの、源泉徴収票を見れば分かる情報ばかりです。

 そしてなぜか楽天は低め、ふるさとチョイスは高めの上限額が出ます。が、あくまでどちらもシミュレーション、正確には税理士などに頼まないと分かりません。なので、この2つのサイトで確認しておけば、なんとなく雰囲気はつかめるんじゃないかと思います。

磯谷 智仁

記事: 怪しいSMSが届いたら「発信者番号」をチェック、“スミッシング詐欺”特有の見極めポイントを徹底解説

 SMSを悪用するフィッシング詐欺、いわゆる「スミッシング」の被害は以前から確認されていましたが、年々その被害が深刻化しているということで、注意喚起のために、NTTコム・オンライン・マーケティング・ソリューションの方々と連載「知って防ごう! スミッシング詐欺」を始めました。著者はフィッシング対策協議会のメンバーとしても活動されており、現時点で第4回まで記事を公開しています。その中でも第3回の同記事は特にページビューが集まりました。

 元々、フィッシング詐欺に関する記事は弊誌読者以外の方からも読まれやすく、これまでも数多くの記事がアクセスランキングのトップにランクインしています。例えば、2021年2022年に公開したニュース記事の年間アクセスランキングでは2年連続で1位と2位を独占しています。

 スミッシング関連のニュース記事では、今年は銀行や通信サービス事業者などをかたる手口について説明した記事が多く読まれましたが、似たような怪しいSMSを受け取ることが増えた、なんて人も多くいるのではないでしょうか。

 フィッシング対策協議会などの注意喚起情報では、1)不審なメッセージが届いた場合は記載されたURLへのアクセスを避ける、2)検索エンジンから正規サイトにアクセスして情報を確認する、3)正規URLをあらかじめブックマークに登録する、といった対策を挙げていますが、それらの基本的な対策に加えて同記事で紹介したSMSの「発信者番号」を確認する方法も役に立つと思います。

 来年も引き続きスミッシングも含めたネット詐欺の動向を追っていき、参考になる情報をお届けできればと思います。

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