地図と位置情報

通信圏外でも利用可能なハザードマップや森林計画図なども搭載、チームで使うスマホ共有地図アプリ「LivMap」提供開始

現場での「LivMap」利用イメージ
スマホ共有地図アプリ「LivMap」の概要

 株式会社はんぽさきは、チームで使用する共有地図アプリ「LivMap」の正式版を6月25日に提供開始した。料金は事前支払いの場合、1ユーザーあたり月額680円。

 LivMapは、現場状況の把握や地図上での情報管理・共有化が必要な業態に向けた情報共有のための地図アプリ。チーム内のメンバー間で現場写真や地点メモ、現在位置、軌跡などを地図上でリアルタイムに共有・記録することが可能で、共有・記録した情報をスマホアプリやPCブラウザーから時系列であとから参照することもできる。また、記録した情報をあとから更新したり、現場で撮影した複数枚の写真を一括で地図上に取り込んだりすることも可能だ。

 公的機関や自治体などから提供される用途地域や森林計画図、ハザードマップ、CS立体図などの地図をあらかじめ搭載するほか、紙・PDFなどの地図資料からGISデータを作成するサービスも提供している。搭載した地図をダウンロードすることで通信圏外でも利用可能で、通信圏外において記録した情報は次に電波を掴んだ時点で共有されるため、林業や水産業、スキーガイドなど通信圏外エリアでの行動をともなう業種や、災害時の通信が寸断された状況においても業務を遂行できるとしている。

「LivMap」の機能と特徴
各種地図を搭載
現場の状況をリアルタイムに把握し、記録を蓄積・共有

 設備管理や現地調査、集荷配送、農林水産業、災害対応などの業種・業態では、チームが通信圏外を含めて広域で連携し、専門的な地図を使う必要があり、一般的な個人向けの地図アプリを使うのは難しく、専門システムは高額で導入ハードルが高いという課題があった。このような課題を解決し、デジタル地図によるフィールド業務のDXを推進するため、同社はLivMapのベータ版を2023年2月よりクローズドで提供開始した。

 ベータ版の提供期間中には、電力や土木、集荷配送、林業、自治体などから業務削減効果を実感できたという声が寄せられ、20以上の企業・団体で有料での利用が決定。台風13号や能登半島地震の災害対応でも使用されたほか、知床での遊覧船沈没事故以降、知床小型観光船協議会の所属船にも導入され、船舶の運行状況を把握して安全性を向上する目的でも利用されているという。このような各方面からの好評価を受けて、このたび正式版として提供を開始するに至った。

さまざまな業種で利用可能

“地図好き”なら読んでおきたい、片岡義明氏の地図・位置情報界隈オススメ記事

INTERNET Watchでは、2006年10月スタートの長寿連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」に加え、その派生シリーズとなる「地図と位置情報」および「地図とデザイン」という3つの地図専門連載を掲載中。ジオライターの片岡義明氏が、デジタル地図・位置情報関連の最新サービスや製品、測位技術の最新動向や位置情報技術の利活用事例、デジタル地図の図式や表現、グラフィックデザイン/UIデザインなどに関するトピックを逐次お届けしています。

片岡 義明

フリーランスライター。ITの中でも特に地図や位置情報に関することを中心テーマとして取り組んでおり、インターネットの地図サイトから測位システム、ナビゲーションデバイス、法人向け地図ソリューション、紙地図、オープンデータなど幅広い地図・位置情報関連トピックを追っている。測量士。インプレスR&Dから書籍「位置情報トラッキングでつくるIoTビジネス」「こんなにスゴイ!地図作りの現場」、共著書「位置情報ビッグデータ」「アイデアソンとハッカソンで未来をつくろう」が発売。