被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
コンビニで電子マネーを購入するように言われた
2018年10月5日 06:00
2018年8月25日、沖縄県にあるファミリーマートに来店した男性が、20万円分の電子マネーを購入しようとした。不審に思った店員が利用目的を聞くと、サイトの退会手数料と言う。本連載の読者であれば、ネット詐欺だと気が付くところだが、男性は一刻も早く退会すべく料金を払うつもりだったのだ。そこで、店員は警察へ連絡し、代わりに指導してもらい、被害を防止できた。
2018年9月12日、兵庫県にあるセブンイレブンに60代女性が来て、5000円を入金したいと言った。プリペイドカードへの入金を行おうとしたところ、16桁の数字が必要だと言ったため、コンビニの店員は怪しいと感じて逆質問。すると、10億円当選したので、5000円振り込むようにとのメールを見せられた。そこで、店員はネット詐欺なので支払わないように、と説得し帰ってもらった。しかし、その女性は1時間後に再来店。5000円は損してもいいので、振り込みたいという。店員は警察に連絡し、代わりに説得してもらうことで被害を防止できた。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
この手の事件は日常茶飯事。奇跡的にコンビニの店員が助けてくれたのでニュースになっているが、これはほんの氷山の一角。知っていれば、ネット詐欺の典型例なのに、知らないと気が付かないのだ。
今回の事件のポイントは、20万円という高額でも支払う人がいること、そして一度ネット詐欺だとアドバイスしているのに、それでもいいから、と振り込もうとしたことだ。実際、これまで実際に被害に遭った人に話を聞いたところ、実は薄々詐欺だとは思っていた、という人も多い。それは本人が悪い、と思うなかれ。もちろん、欲望に流されてしまうケースもあるが、人生経験が豊富だったり頭がいい人が、判断ミスをしてしまうことも多いのだ。
必要なのは、デジタルリテラシーの向上。これらの事例を知っていれば、何のストレスもなくスルーできる事案なのだ。わざわざ、こんなことを知るのは面倒くさいとか、意味がないと思わないで欲しい。我々だって「知らない人についていかないように」とか「刃物は危険」といった教えを受けてきている。デジタル全盛の新時代を迎えるにあたり、大人ももう一度、セキュリティ関する心得は身に付けておく必要がある。ぜひ、PCに詳しくない知人や高齢のご両親などにネット詐欺の情報を伝えていただければと思う。
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DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人。今後は、媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行う予定となっています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。