被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
スマホで激増、サブスクリプション型VPNへ誘導するセキュリティ詐欺
2019年7月5日 06:00
最近、スマホでウェブサイトを閲覧しているときに、ネット詐欺のページを見かけることが増えてきました。セキュリティ詐欺の一種で、iPhoneがウイルスに感染しているとか、セキュリティアップデートが必要です、と表示されます。画面を進めてみると、なんと正規のApp Storeが開き、アプリのダウンロード画面が表示されます。多数のサイトを確認したところ、さまざまなアプリが表示されましたが、すべて「VPN」アプリでした。
VPNとは「バーチャルプライベートネットワーク」の略です。インターネットを閲覧する際、途中の通信を盗聴すると、送受信しているデータの中身を見られてしまうことがあります。VPNは情報の漏えいを防ぐために、通信を暗号化する仕組みです。マカフィーの「McAfee Safe Connect」(1年版:税込5300円)などの製品が販売されており、ユーザーのプライバシーを守ってくれます。
VPNは外出先から自宅のサーバーに接続したり、海外から日本のサービスを利用する際に便利なので、筆者も活用しています。しかし、この「VPNはセキュリティアプリである」ということを利用したネット詐欺が大流行しているのです。
詐欺画面では「iPhoneをハッカーから守ってください」とか「Facebookアカウントの写真などの拡散を防ぐために、早急な対応が必要です」などと表示します。ちょっと怪しいと思っても、リンクを開くと、いつも使っているApp Storeが開きます。そのアプリも無料です。内容をチェックすると、評価は4前後ととても高く、書き込まれているコメントもべた褒めです。
そこでインストールすると、最初にいくつかの確認画面が開きます。そのとき、きちんと読んでいないと無料試用のところでも許可を与えてしまうことがあります。すると、アプリにもよりますが、9.99ドルとか14.99ドルずつ課金されていきます。しかも、なんと「週」ごとにです。
このネット詐欺が巧妙なのが、明確に詐欺を仕掛けているのが、最初の広告部分のみという点です。アプリのダウンロードページや起動後の画面では、しっかりと課金の内容を表示しています。アプリメーカーにとっては、ユーザーは正規の手順で契約しているように見えるのです。
でも、全体で見ても詐欺なのだから、アプリごと消すべきでしょうか? さまざまなテストを行ったのですが、実は筆者の判断では大丈夫だろうと思われるVPNアプリや、超大手のVPN製品へリンクするケースもありました。もし、ネット詐欺からリンクを張られただけでアプリが削除されるなら、ライバルを陥れる手段としても利用されてしまいます。
このネット詐欺を防止するには、まず最初のセキュリティ詐欺の画面が出てきたときに、無視することです。ウェブページを閉じてしまえばいいのです。アプリのインストール画面が出てきても無視。アプリをインストールしてしまっても、有料課金が発生する時点で認証しなければいいのです。この記事を読めば、VPNアプリには注意できると思いますが、同じ手法はほかのアプリにも流用できます。
怖いのは継続課金というところです。アプリをアンインストールしても、サブスクリプションは解約されないことを覚えておいてください。この知識がないと、エンドレスで課金が続いてしまいます。
iPhoneの場合は「iTunes StoreとApp Store」の設定からApple IDを開き、サインインしてから「登録」を開けば確認できます。Androidの場合は、Google Playストアから「定期購入」メニューで確認できます。もし身に覚えのないアプリが登録されている場合は、解除しましょう。
実は、アプリの評価に登録されているコメントの日本語はズタズタです。しかも、やらせ感満載で最高の5つ星が連発しているのと同時に、だまされて課金してしまった人たちの星1つコメントも一定数あります。この点を見ても怪しいと分かるのですが、ここは今後、改善される可能性があります。あくまでも、自分の目で見極める必要があるのです。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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NPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)
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