被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
それってネット詐欺ですよ!
友だちからFacebook Messengerで「今忙しい?」と連絡が来た
2022年6月17日 06:30
先日、Facebookでつながっている友人から「今忙しい?」という連絡がFacebook Messengerで届きました。お互い敬語で話す間柄なので不審に思い、挨拶だけ返すと、「携帯を換えたから、ライン登録に数名の友だちの検証が要るので、メッセージの確認をお願いできる? 携帯番号を教えてもらえる?」(原文ママ)と返事が来ました。
これは古くからあるネット詐欺の手口です。恐らく、この友人はフィッシング詐欺などの被害でアカウント情報などを盗まれ、Facebookに不正アクセスされてしまったのでしょう。試しに、予備として使っている電話番号を伝えたところ、LINEから6桁の認証番号がSMSで届きました。
この認証番号はLINEのアカウント新規作成時あるいはアカウント引き継ぎ時にLINEのシステムから自動で発行・送信されるものです。しかし、この認証番号をネット詐欺師に教えてしまえば、先に伝えた電話番号と合わせてLINEに不正アクセスされたり、LINEのアカウントを元々持っていなければ、なりすましアカウントを作られる恐れがあります。
このほかに「LINEの凍結を解除したいから、友だちのコードが必要」などと言ってくるケースもあるようです。LINEを乗っ取るための攻撃が、まさかFacebook Messengerで仕掛けられて来るとは思いもよらずに、この手口に引っ掛かってしまう人が続出しています。
このほかには、「凍結を解除するため、友だちの確認が必要」という理由で、LINEにログインして解除して欲しいと依頼してくるケースがあります。しかし、送られてきたURLは「line」という文字列が含まれているものの、正規のものではありません。
リンクを開くと、LINEのログイン画面に似たウェブページが開き、アカウント情報の入力を求められます。これはフィッシングサイトで、ここでアカウント情報を入力してしまうと、LINEアカウントが乗っ取られるため危険です。
もちろん、LINEやFacebook Messengerだけでなく、ほかのSNSでも似た手口の詐欺が起こる可能性も多分にあります。
引っ掛かると友達にネット詐欺を仕掛けられることも
ネット詐欺師の口調はざっくばらんで、そのような関係性にない相手の場合は違和感があるので気が付きやすいです。しかし、普段からそんな口調でやり取りしている相手であれば、ころっと信じてしまうものです。
相手を一度信用してしまうと、メッセージの日本語が不自然で誤字脱字があったり、パスワードを教えていいのか少し悩んだとしても、「LINEが凍結されて焦ってるかもしれない」など、ネット詐欺師にとって都合の良い解釈をしてしまいがちです。
アカウントに不正アクセスされた場合、LINEのケースでは、つながっている友達に対して、別のネット詐欺を仕掛けます。例えば、コンビニでプリペイドカードを購入し、写真を送るよう要求するケースが確認されています。もちろん、プリペイドカードの番号を教えてしまうとネット詐欺師に使用されてしまいます。
アカウントの作成や引き継ぎ時に発行される認証番号やワンタイムパスワードなどは、友達でも家族でも絶対に教えてはいけません。プリペイドカードの番号も人に教えてはいけません。
この手の事例を知っていれば、被害は回避できます。本連載のほかの事例も参考に、未知のネット詐欺に遭遇した場合でも、被害に遭わないデジタルリテラシーを身に付けましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと