イベントレポート

CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術

照らされたときだけ返事する、再帰性反射ARマーカー

喜多充成の“虫の眼”レポート #3

千葉・幕張メッセで10月16日から4日間の日程で開催された「CEATEC JAPAN 2018」で興味をそそられた展示物を、この展示会を定点観測してきた筆者が“虫の眼”で回顧する。

 アルプス電気の展示ブースには、再帰性反射パターンを応用したARマーカーの応用例が展示されていた。再帰性反射とは来た方向に光を戻す性質のことで、立方体の内側を鏡面に磨き上げた「コーナーキューブ」が代表的な形状だ。

 デモンストレーションは、白いプラスチックカードの表面にトランプの絵柄を投射するプロジェクションマッピング。マーカーを認識するとカードに絵柄が表示され、カードを動かせば追従、裏返すとそれに合わせて絵柄が変化をする、動的なプロジェクションマッピングだ。

 カード表面には9つの点で構成される再帰性反射マーカーが埋め込まれている。環境光だけならマーカーの存在は目立たないが、光を当てることで9つの点が明るく浮き上がって見える。これら9点は一見、正方格子状に配列されているように見えるが、よく見ると本来あるべき位置から微妙にズレている。そのズレ量や方向に情報が仕込まれており、それをカメラで読み取って、所定の絵柄を投射する、というシステムだ。

 ARマーカーやバーコードやQRコードなど、機械可読の情報シンボルは、その存在を人間に知ってもらったほうがいい場合もあれば、そうでない場合もあり得る。あるいは、立体物にこうしたマーカーを仕込み、見る角度によって違った絵柄を纏わせることもできるだろう。車載電装システムやIoTデバイス、ハプティクス関連デバイスなど同社のメインストリームとは色合いの違う技術に見えるが、「何に仕込むと楽しいだろうか?」と、見る側のアイデアを刺激してくれるデモンストレーションだった。

精密射出成形で作る、クルマのテールランプ部の再帰性反射パターンがこの技術の源流という

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喜多 充成

1964年石川県生まれ。科学技術ライター。週刊誌のニュースから子ども向けの科学系ウェブサイトまで幅広く手がける。産業技術や先端技術・宇宙開発についての知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。宇宙航空研究開発機構機関誌「JAXA's」編集委員(2009~2014年)、共著書に『私たちの「はやぶさ」その時管制室で、彼らは何を思い、どう動いたか』(毎日新聞社)ほか。「インターネットマガジン」の創刊から休刊まで見届けたほか、「INTERNET Watch」では、「あるウイルス感染者の告白」「光売りの人々」など短期集中連載。