イベントレポート

CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術

AI開発を加速する高速格安計算機

喜多充成の“虫の眼”レポート #13

千葉・幕張メッセで10月16日から4日間の日程で開催された「CEATEC JAPAN 2018」で興味をそそられた展示物を、この展示会を定点観測してきた筆者が“虫の眼”で回顧する。

 ブラックホールとは光すら脱出できないほど大きな重力を持つに至った天体のこと。光らないからそのものズバリを観ることはできないが、そこに呑み込まれる物質が放つ電磁波を観測することで存在が確認されている。AIも然り。そのものズバリであるプログラムやアルゴリズムや学習データは目には見えないが、それを動かすコンピューターが放つオーラのようなものを感じ取ることはできる。

 産業技術総合研究所の大規模AIクラウド計算システム「ABCI」は、スパコン性能ランキングで国内トップ、世界5位の性能を誇る(2018年6月時点)。CEATEC JAPANではIntel の「XEON Gold 6148」とNVIDIAの「Tesla V100」で構成される計算ノードの一部が展示された。日本のAIを加速する、「1ノード当たり200円/1時間(税別)」の格安高速計算機を、ぜひ使ってほしいと担当者は力説する。

「ABCI」には、GPUスーパーコンピューティングの代表的存在である「TSUBAME」(東京工業大)の技術が生かされている

(了)

喜多 充成

1964年石川県生まれ。科学技術ライター。週刊誌のニュースから子ども向けの科学系ウェブサイトまで幅広く手がける。産業技術や先端技術・宇宙開発についての知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。宇宙航空研究開発機構機関誌「JAXA's」編集委員(2009~2014年)、共著書に『私たちの「はやぶさ」その時管制室で、彼らは何を思い、どう動いたか』(毎日新聞社)ほか。「インターネットマガジン」の創刊から休刊まで見届けたほか、「INTERNET Watch」では、「あるウイルス感染者の告白」「光売りの人々」など短期集中連載。