イベントレポート

CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術

自然っぽい風って、どんな風?

喜多充成の“虫の眼”レポート #11

千葉・幕張メッセで10月16日から4日間の日程で開催された「CEATEC JAPAN 2018」で興味をそそられた展示物を、この展示会を定点観測してきた筆者が“虫の眼”で回顧する。

 NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」の主人公たちも取り組んだくらい、「自然の風が吹く扇風機」は魅力を放つ製品だ。「空気で答えを出す会社」というフレーズを掲げる空調機器大手のダイキン工業も、手がけないわけにはいかない。同社が自然の風の心地よさを「分析」したところ、それを「再現」するうえで重要な3つの要素を見つけたという。その3要素とは「ゆらぎ」と「急激な変化」、そして「体全体を吹き抜ける感覚」。

 前二者はファンを駆動するモーターの制御で何とかなったとしても、「体全体~」を実現するには、送風機構にそれなりの大きさが必要だ。そこで同社は、大型ファンを9連ならべて目隠しし、ディスプレイに自然の風景を映し出し、風を体感してもらうデモを行った。気合十分の担当者に感想を聞かれ、「確かにそんな気も……」と答えてしまったが、これって空気を読んでしまった、ということだろうか。

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喜多 充成

1964年石川県生まれ。科学技術ライター。週刊誌のニュースから子ども向けの科学系ウェブサイトまで幅広く手がける。産業技術や先端技術・宇宙開発についての知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。宇宙航空研究開発機構機関誌「JAXA's」編集委員(2009~2014年)、共著書に『私たちの「はやぶさ」その時管制室で、彼らは何を思い、どう動いたか』(毎日新聞社)ほか。「インターネットマガジン」の創刊から休刊まで見届けたほか、「INTERNET Watch」では、「あるウイルス感染者の告白」「光売りの人々」など短期集中連載。