イベントレポート

CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術

会議室を音で見張るAIデバイス

喜多充成の“虫の眼”レポート #8

千葉・幕張メッセで10月16日から4日間の日程で開催された「CEATEC JAPAN 2018」で興味をそそられた展示物を、この展示会を定点観測してきた筆者が“虫の眼”で回顧する。

 音響つながりでさらにもう1つ。PFUはドキュメントスキャナーの展示の背後で、音で会議室の利用状況を把握する「会議室満空検知システム」を展示。スマートスピーカーのような外観のこのデバイスは、マイクがキャッチした音声を環境音としてAI認識することで、大事な仕事をする。その仕事とは「AIがその場の状況を分析し、会議室のカラ予約を自動キャンセル。限られた会議室を有効に活用して働き方改革に貢献します」というもの。ちなみに同社が自社内で調べたところ、カラ予約の比率は約3割にも上ったとか。「マナーの問題かもしれませんが」と自虐を入れつつ、「音響識別の国際コンペティションで優勝のAIを搭載」と強力にアピールしてくれた。

会議中にボタンを押すと、そのときしゃべった内容を録音メモしクラウドで共有する機能もある。さらにCO2濃度センサーまで備えているという。煮詰まった会議で気分転換を促す機能も期待できそう。PFU先行技術部門の小坂茂樹さん(先行技術開発統括部技術戦略部シニアスタッフ)。

喜多 充成

1964年石川県生まれ。科学技術ライター。週刊誌のニュースから子ども向けの科学系ウェブサイトまで幅広く手がける。産業技術や先端技術・宇宙開発についての知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。宇宙航空研究開発機構機関誌「JAXA's」編集委員(2009~2014年)、共著書に『私たちの「はやぶさ」その時管制室で、彼らは何を思い、どう動いたか』(毎日新聞社)ほか。「インターネットマガジン」の創刊から休刊まで見届けたほか、「INTERNET Watch」では、「あるウイルス感染者の告白」「光売りの人々」など短期集中連載。