イベントレポート
CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術
大空の風と水を知るライダー
喜多充成の“虫の眼”レポート #9
2018年12月17日 07:00
千葉・幕張メッセで10月16日から4日間の日程で開催された「CEATEC JAPAN 2018」で興味をそそられた展示物を、この展示会を定点観測してきた筆者が“虫の眼”で回顧する。
超音波の次はレーザーだ。懐中電灯を夜空に向けると、その光芒がライトセーバーのように見える。同じ原理で、強力なレーザーを空に向けて発射すると、空気中を漂う微粒子に跳ね返った光(散乱光)が観測できる。なるべく強いレーザーを発射し、戻ってきた光を詳しく分析することで、レーザーの先にある空間の情報を知ることができる。
これがレーザーを使ったレーダー、すなわちライダー(LIDAR)だ。光が戻ってくるまでの時間から距離が、戻ってきた光の波長の変化(ドップラーシフト)から風速を読み取るのが「ドップラーライダー」と呼ばれるシステム。空港近傍に設置され、ダウンバーストの検知などに役立てられたりしているが、今回の展示品は、水蒸気量の検知まで可能にしたところが画期的。わずかに波長の異なるレーザーを切り替えながら発射し、戻ってきた光を比較をするという。ピンポイントで風速と水蒸気量が読めるなら、ゲリラ豪雨のような局所的な天候の急変にも対応できそうだ。
「CEATEC JAPANで見た 日本の新技術・謎技術」記事一覧
喜多 充成
1964年石川県生まれ。科学技術ライター。週刊誌のニュースから子ども向けの科学系ウェブサイトまで幅広く手がける。産業技術や先端技術・宇宙開発についての知識をバックグラウンドとし、難解なテーマを面白く解きほぐして伝えることに情熱を燃やす。宇宙航空研究開発機構機関誌「JAXA's」編集委員(2009~2014年)、共著書に『私たちの「はやぶさ」その時管制室で、彼らは何を思い、どう動いたか』(毎日新聞社)ほか。「インターネットマガジン」の創刊から休刊まで見届けたほか、「INTERNET Watch」では、「あるウイルス感染者の告白」「光売りの人々」など短期集中連載。