被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

騙されないように注意!

競馬やパチンコの「必勝法教えます」、信じて会員登録料を振り込んだ

 埼玉県蕨警察署は50代の女性が「ギャンブル詐欺」に遭い、1830万円を騙し取られたことを5月14日に発表しました。

 情報提供会社社員を名乗る男から「馬券購入を当社で行えば配当金が得られる」という電話がかかり、実際に3万円振り込むと3万2000円が当初は戻ってきたそうです。そこで信じてしまい、42回にわたって振り込んだのです。警察に届けたとはいえ、お金は戻ってきません。

 ギャンブル詐欺は、パチンコや競馬、競艇などの「必勝法を教える」と、会員登録料や情報料などの名目で金銭を騙し取るものです。電話に加えて、メール、SNSなどでも、「簡単に儲かる」「高収入」「日払い保証」といった文言で罠を仕掛けてきます。

 料金は月額1万円程度のものもあるので、試しに支払ってしまう人もいます。金額を安くしているのは詐欺師が1万円を欲しいからではなく、詐欺に引っ掛かりやすい人を集客するためです。

 儲からない場合は返金すると謳っていますが、返ってくることはありません。ほかにも儲け話があると、さらに搾り取ろうとすることもあります。怪しいとは誰もが感じるところですが、負けたお金を取り返そうと考えて被害額がさらに膨れ上がることもあります。

 パチンコの打ち子を募集すると呼び掛けて、金銭を騙し取る手口もあります。打ち子とは、軍資金を渡される代わりに、代理でパチンコを打ち続けるアルバイトです。このような呼び掛けを行なう者の中にも詐欺師が混じっていることがあります。

 具体的には、パチンコで勝った分を持ち逃げされないようにという理由で、保証金を求めてくるのですが、支払ってしまえばお金は戻ってきません。連絡しようとしても詐欺師は姿をくらまします。

 このほかにも、「ロト6の抽選結果を事前に教える」というメールやメッセージを送りつけ、騙そうとする手口もあります。無料の会員登録を行なうように促してくるので、名前と電話番号を入力すると電話がかかってきてます。まずはお試しということで、翌日の新聞に掲載される抽選結果を伝えてきます。「1等を当てることは難しいが、2等ならなんとか」などと、さも本当のように演技をします。

警察庁が特殊詐欺の例として、ギャンブル詐欺の啓もうを行っています。電話だけでなく、インターネットでも仕掛けられる詐欺なので注意しましょう

 電話の段階では怪しんでいても、翌日の新聞を見て、番号が合っていたことが分かると、信じてしまう人もいるでしょう。しかし、からくりは何のことはありません。抽選会の様子はインターネットで生中継されているので、新聞に掲載される前から把握することができるのです。

 必勝法があるなら賭けになりません。また、自分だけに美味しい話が降ってくることはありません。話を聞いてから判断しよう、などと考えてはいけません。特にシニア層の場合、「オンライン」「ネットシステム」といった言葉を使われると信じてしまう可能性があります。ぜひ、高齢のご両親や知人に本記事の情報を共有してください。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。