地図と位置情報
「お買物混雑マップ」公開、スーパーなど全国2万8千店の「推定混雑状況」を地図上で色分け表示
2020年5月28日 08:00
株式会社unerryは、全国のスーパーやドラッグストアなど約2万8000店について、曜日・時間帯別の混雑傾向を調べられる無料サイト「お買物混雑マップ Powered by Beacon Bank」を公開した。
同マップでは、各店舗周辺の直近の推定混雑状況を表す「通常」「混雑」「閑散」という3種類/3色のアイコンが地図上に表示されており、各アイコンをタップすれば、店名や住所、過去1週間の時間帯別の推定混雑状況を色分けした表などの詳細情報を見ることが可能だ。「スーパー」「ディスカウント」「ホームセンター」「ドラッグストア」の4業種があり、画面下に並んだリストをタップすることで業種ごとにアイコンの表示・非表示を選択できる。
混雑の基準は店舗エリアごとに設定されており、直近4週間の中で最も混雑した1時間あたりの人数を100%の基準として、時間帯ごとに「通常程度」「通常より混雑」「いつもより空いている」に分類している。店舗内だけでなく店の周囲の混雑状況も加味されているため、入口で入場制限を行っている店の状況も把握できるとしている。
なお、このように店の周辺の混雑状況を加味しているため、営業外の時間も「通常より混雑」や「通常程度」と表示される可能性があるので注意が必要だ。
全国各地をカバーしており、検索窓に地名を入力すると、その地名が入った店舗のリストが表示される。ショッピングモール内のスーパーやドラッグストアの情報も収録されているため、ショッピングモールがどれくらい混んでいるか目安を知ることもできる。
お買物混雑マップは、unerryが運営するオフラインの行動データプラットフォーム「Beacon Bank」が保有する人流ビッグデータをAI解析して作成されている。
Beacon Bankのベースとなる取り扱いデータは、旅行・観光アプリやクーポンアプリ、店舗アプリなど約6000万ダウンロードに上るスマートフォンアプリから集積されるGPS、ビーコン反応、専用のIoTデバイスのデータだ。ビーコンについては、さまざまな企業が登録しているビーコン(店舗、公共交通機関、自動販売機やサイネージなどの機器に設置されている)をネットワーク化しており、その数は約150万個に上る。Beacon Bankのプラットフォームを活用すれば、GPSだけでなく、ビーコンや専用デバイスを組み合わせることにより、地下やビル内においても高精度に位置情報を把握したり、クーポンを配信したりすることができる。
今回公開したお買物混雑マップでは、上記の3種類のデータの中でGPSの位置情報データをメインに、ビーコンやIoTセンサーから得られるデータを補助的に使い、各店舗の近辺約100mの混雑状況を解析している。unerryによると、GPSデータをメインにしているのは、同社のIoTデバイスやBeacon Bankの登録ビーコンが設置されている場所に限定せずに、全国の多くの店舗近辺の混雑を可視化することにより、できるだけ密を避ける行動をサポートしたいという考え方によるという。
なお、unerryによると、位置情報についてはオプトインが必須で、ユーザーごとに個別同意がない場合は集積は行われない仕組みになっている。また、個人を特定するようなデータとの紐付けも一切行っていないという。
unerryはお買物混雑マップの公開にあわせて、同社の主旨に賛同するメディアに対して混雑傾向データの提供も開始した。その第1弾として、ニュースアプリ「グノシー」では、特設タブ「新型コロナ」において同マップと同じ情報を提供開始している。
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