被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
都市伝説「M資金」なども利用、万全に準備した大掛かりな「投資詐欺」の手口に要注意!
2024年1月19日 07:34
ネット詐欺の多くは、大量に詐欺メールをばらまき、運悪く引っ掛かってしまう被害者からお金を盗み、すぐに撤収するという手口です。詐欺師もあまり手間をかけないため、メールアドレスやURL、メールの文面などにミスや手落ちがあるケースがほとんどです。これらは、事例を知り、注意深くチェックすれば判別できますし、メールやメッセージに記載されているURLを開かない、という自衛手段で被害をほぼ回避できます。
一部に、ロマンス詐欺やビジネスメール詐欺など、整った文面のメールで、ターゲットを狙い撃ちするネット詐欺もあります。この手の事件は手間をかけて行われる分、被害額が大きくなる傾向にあります。こちらも、詐欺事例をチェックしていたり、同僚や家族に相談したりすれば、被害を回避できる可能性が高くなります。
このほかに、徹底的に準備したうえで、ターゲットに周囲に相談しようという気を起こさせない、より周到で厄介な投資詐欺の手口もあります。詐欺への疑いの気持ちよりも強い「この儲けを独り占めしたい」という欲望を持たせ、ターゲットをだますのです。
テーマは健康食品や浄水器、養殖事業などさまざまです。パンフレットなどの資料やホームページはもちろん、オフィスを構え、営業スタッフを雇い、商品を実際に作ることもあります。さまざまな証明書や公文書を偽造し、信用させようとするのも特徴です。
日本では「M資金詐欺」など、海外でも都市伝説を利用した投資詐欺の手口
すでに存在する都市伝説を利用するネット詐欺も存在します。2023年末、中国国営新華社通信は2億ドル規模のネット詐欺事件について報じました。犯人グループは偽の国家プロジェクトを立ち上げ、オンライン会議で被害者を洗脳し、プロジェクトのスタートアップファンドに投資させるように誘導したそうです。
偽プロジェクトは、過去の王朝の隠し財産「民族資産」(海外の事例)の解除や年金の援助、貧困の緩和など多岐にわたります。摘発された犯人グループは180以上もあり、海外に拠点を置いていました。ネット詐欺で集めた資金もすぐに海外に送金されてしまいました。
上記の「民族資産」のようなものは都市伝説の一種と言えますが、日本でも、ほとんど同じ手口の同じ手口の「M資金詐欺」があります。M資金とは、GHQが日本で接収した財産を極秘に運用しているという資金のことで、もちろんそんなものはありません。
どちらも、都市伝説のようにベースとなる情報は広まっており、詐欺を仕掛ける際には説得力のあるストーリーも用意しています。被害者がネットで検索し、「事実ではない」と書いてあったことを説明しても、「秘密資金なのだから当たり前だ」と説得してきます。その後、投資を持ち掛け、お金を盗み取ります。
被害者との接点はきっかけは、メールのほか、SNSの投稿や広告です。メールやメッセージは掲載されているURLは開かなければ問題ありません。しかし、投稿や広告は読んで興味を持ってしまうと、だまされる可能性が一気に高まります。
大掛かりなネット詐欺の被害に遭わないためには、デジタルリテラシーはもちろん、最低限の金融リテラシーもしくは一般常識を身に付けておかないと、いつどこで詐欺にだまされてしまうか分かりません。自分はネット詐欺を見抜く目があるので大丈夫と思っていても、「必ず儲かる」などという話に食らいつく時点で、美味しいカモです。詐欺師とコミュニケーションするうちに、丸め込まれてしまう可能性が大きいのです。
怪しい投稿・広告はクリックせずに無視する癖を付けましょう。もしかしたらあり得るかも……などと考えず、完全に無視することを徹底してください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと