地図と位置情報
総務省、「地理空間ハッカー」を育成するための無料オンライン研修プログラム
「Geospatial Hackers Program 2020」参加者を先着順で募集開始
2020年12月10日 07:00
総務省は、地理空間情報(G空間情報)を利活用できる人材を育成するための無料オンラインスキルアッププログラム「Geospatial Hackers Program 2020」を開催する。Geospatial Hackers Programは、地理空間情報による地域課題解決を目的とした人材育成プログラムで、3年目となる今回は、12月8日に行われた事前説明会をはじめ、2021年3月末までの実践型研修とハンズオン講習まで全てをオンラインにて実施する。
今回は、さらなる人材育成の裾野拡大を目的として、プログラミング未経験の行政職員やNPO職員、プログラミングスキルはあるが地理空間情報技術に触れたことがない技術者、シビックテックに携わる技術者などを主な対象として開催する。なお、学生・社会人を問わず、地理空間情報の利活用やプログラミングに興味のある人で、原則としてハンズオン講習会と実践型研修の両方に参加できる人の応募を歓迎しており、デザイナーやプランナーの参加も可能となっている。
初学者向けにG空間情報技術やノーコード制作の基礎から、技術者向けには宇宙規模で物事を考える「Space Thinking」も
スケジュールとしては、まず12月8日に事前説明会を実施。年明けの1月23日に初学者向けハンズオン講習会、1月31日に技術者向けハンズオン講習会を実施する。初学者向けハンズオン講習会では、地理空間情報技術の基礎や事例、データを扱う方法、データを地図に表現する方法、ノーコード制作の基礎などを学べる。一方、技術者向け講習会では、宇宙規模で物事を考える「Space Thinking」、GISデータを記述するためのフォーマットであるGeoJSONの読み方、地理空間情報の典型的なファイルフォーマットの利用方法、衛星データ利用に関する基礎知識と実践などを学べる。
次に、2月中に東日本と西日本のエリアに分けて、初学者および技術者(プログラミング経験者)向けそれぞれに向けた実践型研修を実施する。この実践型研修は、地理空間情報を活用した地域課題解決ソリューションのプロトタイプ開発を目的としており、1回につき土曜日と日曜日の2日間にわたっての実施を予定している。内容としては、ハンズオン講習で学んだ知識をもとに、災害発生時など想定したアプリケーションやサービスなどのプロトタイプの開発を行う。知識やスキルだけを重要視するのではなく、緊急時に行政と民間が連携しながら、どのようにプロジェクトを進めていくのが効果的なのか、ということを実践から学ぶことを目的としている。
さらに、最終報告会として東京都内において各エリアにおける実践型研修の優秀者による発表および表彰式を行う。なお、全プログラムの参加者には修了証も授与する。
デジタルが全てではない――G空間技術を使って、社会課題の解決に向けた取り組みを
Geospatial Hackers Program 2020の運営を担当する株式会社HackCampの代表であり、一般社団法人コード・フォー・ジャパンの代表理事や政府CIO補佐官も務める関治之氏は、12月8日にオンラインで開催された事前説明会&キックオフトークイベントにて、「G空間は奥が深いし、難しい概念も出てくるので、そこは一気に全てを使いこなそうとは思わなくていいと思います。そうではなくて、何ができるのかということを把握さえしてもらえば、あとはコミュニティが助けてくれたりするので、『G空間情報を使ってこういうことができないかな』と想像する力を学んでいただければと思います」と語った。
一方、関氏とクロストークを行った神戸情報大学院大学・客員教授の小塩篤史氏は「地理空間情報の技術者は、デジタルが全てではなくて、現実の世界に対して技術を使ってどうしていこうか、という課題を持っている人が多いので、このプログラムをきっかけに、ぜひG空間技術を使って、みなさんの社会課題解決に向けていろいろと取り組んでいただければと思っています」とコメント。
このほか、事例発表で登壇した北海道庁の喜多耕一氏は、「地理情報や位置情報が付いた情報があれば、例えば福祉で作ったデータが農林水産の分野で使えたりとか、いろいろな分野の業務に横断して使えるようになります。普段からさまざまなデータに位置情報を付けておくことで、緊急時にもデータを活用できるようになり、データ作成に強い人材になれるかもしれません。地理空間情報という武器を手に入れて、緊急時に備えましょう」と呼び掛けた。
Geospatial Hackers Program 2020の募集開始は12月10日を予定しており、募集情報などの最新情報は同プログラムの案内サイトに掲載される。また、事前説明会の参加者にはメールで案内が送付されるほか、プログラム参加者用のSlackワークスペースでも最新情報を発表する。なお、募集には定員を設けており、先着順での受付となる。
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