被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
引っ掛からないように注意!
FBIも注意を呼び掛け、ビジネスメール詐欺などのネット犯罪で金銭的被害が増加中
2022年4月1日 13:28
2022年3月22日、米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センター(IC3)は「Internet Crime Report 2021」を発表しました。毎年公開しているインターネット犯罪の状況をまとめたレポートです。今回はその最新情報について紹介します。
2020年はコロナ禍で、インターネット犯罪の報告数は激増し、被害金額も増大しました。2021年にはさらに規模が拡大しており、報告数は2020年の79万件から84万件以上へと増加し、被害金額は42億ドルから69億ドルに増えています。
被害金額の上位を占めているのは、フィッシング詐欺(ヴィッシング詐欺、スミッシング詐欺なども含む)、不払い詐欺/不配達詐欺、個人データへの不正アクセス、個人情報の盗難、恐喝となります。それぞれのネット詐欺の事例については本連載で繰り返し紹介しており、リンクを文末に載せるので参考にしてください。
2021年に激増したのがフィッシング詐欺で、個人データへの不正アクセスや個人情報の盗難も増えています。ランキングでは、1位がビジネスメール詐欺、2位が投資詐欺、3位がロマンス詐欺、4位が個人データの侵害、5位が不動産詐欺です。
1位のビジネスメール詐欺の被害金額は24億ドル(約2947億円)にもなります。1万9954件の報告が寄せられました。以前のビジネスメール詐欺は経営者になりすましてメールを送り、振り込みを指示する手口でしたが、年を追うごとに手口が進化しています。
現在は、ビデオ会議サービスを利用して経営陣のメールをハッキングし、資格情報を偽装して電信送金を行います。そして着金するとすぐに暗号通貨に変えて分散させてしまうのです。
コロナ禍において、テレワークが加速し、ビデオ会議ツールで送金指示を出すことが増えました。そこで経営陣のアカウントをハッキングしてビデオ会議を開くのですが、その際、カメラの調子が悪いなどとして顔写真の静止画を表示します。そして、音声はディープフェイクで作成し、送金を指示するのです。
このほかにサポート詐欺の被害も拡大しています。ランキングでは報告件数は7位、被害金額は6位ですが、被害金額では3億4700万ドルに上り、2020年から137%の増加となっています。被害者の6割が60歳以上で、被害金額の68%(約2億3800万ドル)以上を占めています。
インターネット犯罪全体の年齢別被害者数を見ても、やはりダントツなのが60歳以上です。そこからは年齢層が低くなるごとに被害金額は少なくなっています。
インターネット犯罪は拡大傾向にあり、被害金額も大きくなっています。だましの手口は常に進化し続けています。特に60歳以上のシニア層がターゲットになっているので、高齢者のデジタルリテラシー向上が急務となっています。この記事を見ている皆さんが、ご両親やお知り合いの高齢者の方々に被害に遭わないためのノウハウを共有してあげていただければと思います。
- 警察庁を騙る手口も登場! 日々大量に送られてくるフィッシング詐欺メールで気を付けたいこと
- 「d払い」不正利用で190万円騙し取った詐欺グループのスミッシングと“闇バイト”を使った手口
【不払い詐欺・不配達詐欺】 - 注文した物と違う!? 通販サイトで購入した商品の「代引き配達」でトラブルが増加中
【個人データへの不正アクセス】 - 一見普通のAndroidアプリだけど……? 更新すると情報を盗み出すマルウェアに変わる手口に気を付けて
【恐喝】 - LINEビデオで美女とエロチャットしたら脅迫された
- 異様に迫力ある“性的脅迫詐欺”のメールにたじろぐ、日本語も自然で「アダルトサイト閲覧中のあなたを録画した」
【ビジネスメール詐欺】 - 狙った企業は逃さない「ビジネスメール詐欺」、送金先は別の詐欺で盗んだ個人情報を悪用するケースも
【投資詐欺】 - 「イカゲーム」に便乗した仮想通貨詐欺、開発者が持ち逃げして価値がほぼゼロに暴落した経緯
【ロマンス詐欺】 - マッチングアプリで知り合った外国人を信用したら1000万円以上を失った
- 「国際ロマンス詐欺」への対策とは? ネットで魅力的な人物から口説かれたら要注意!
関連リンク
【フィッシング詐欺】
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
- SNSで仕事を受けたら「闇バイト」だったケースも、意図せず犯罪に加担してしまう危険性
- 有名人の画像を悪用した広告が氾濫中、LINEで連絡すると投資詐欺に誘導されるケースも
- 「電話料金の未納があります」、フィリピンからNTTファイナンスをかたる怪しい国際電話がかかってきた
- FBIが警鐘、2023年のネット詐欺被害は125億ドルに。投資詐欺やビジネスメール詐欺など巧妙化する手口に要注意!
- Airbnbで素敵物件を予約しようとして危うく詐欺の被害に!? 正規サイトを悪用して金銭をだまし取ろうとする手口に要注意
- みちょぱ、団長安田、ゴリけん…タレントが相次いで詐欺被害を告白、その手口とは
- チェーンメールで有名だった「神の手雲」が15年ぶりにLINEで回ってきた
- SNSの「お金配り」に応募したら当選通知が届いた!? でも指示に従ったら犯罪に加担させられたケースも
- ウェブ閲覧中に突然「ウイルス感染」の警告画面、表示されても焦って電話しないで
- マイナポイント第2弾に便乗、「獲得したポイント2万円分が失効する」という詐欺メールが拡散中
- 「当選しました」という連絡は詐欺の可能性あり! 典型パターンを押さえておこう
- ネットを見ていたら突然「ウイルス感染」警告、誘導先のアプリをインストールしてみると……
- 元ZOZO前澤氏の「お金配り」に参加したつもりが……Facebookで起こっている詐欺に注意
- iPhoneのカレンダーから「セキュリティ警告」? 身に覚えのないイベントが勝手に追加されていた
- 友だちから「写真がネットに載ってるじゃん、気まずいな!」と連絡が来た
- 2回目の「特別定額給付金」が支給される? うっかり騙されて個人情報を入力してしまった
- そのほかの詐欺事例など、この連載の記事一覧はこちら
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと