被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー

騙されないように注意!

融資を申し込んだはずなのに現金を奪われる「融資保証金詐欺」に要注意

 2022年6月13日、島根県松江市の30代男性がインターネットで見つけたウェブサイトに融資を申し込みました。すると、最初の7カ月分の返済額を先に申し込めば、融資が受けられると持ちかけられ、約32万円を振り込みました。それなのに融資は受けられず、「保証会社にも保険供託金として20万円が必要」など、さらに入金を求められ、結果的に5回にわたり合わせて約132万円を騙し取られてしまいました。

 7月5日には、三重県名張市の自営業の30代男性が、融資をあっせんするウェブサイトに連絡をして300万円の融資を申し込みました。すると、「返済金」や「保全供託金」などを求められ、3回にわたり約90万円を振り込んでしまったのです。もちろん、融資は受けられず、最終的には連絡が取れなくなり、ウェブサイトもなくなっていました。

 これらは昔からある「融資保証金詐欺」という手口です。お金に困った人に、融資すると見せかけて、保証金や登録料、保険供託金といった名目で現金を振り込ませます。融資を受けようとしているのに、現金を取られるなんてあり得ないように見えますが、崖っぷちの当人にとっては融資は希望の光なのです。

 先に挙げた事例以外にも、3月には新潟県新潟市南区の30代男性が32万円、7月には秋田県横手市内の20代男性が21万円、鳥取県鳥取市内の30代男性が34万円を騙し取られるなど、多くの人が被害に遭っています。

 詐欺師は「300万円まで即日融資」「無担保で貸します」「固定金利0.5%」「保証人不要。ブラックリストに載っていてもOK」……など、ちょっと考えればあり得ないうたい文句で誘います。しかし、銀行はもちろん、消費者金融でも借りられなくなった人は、話半分でもありがたい、と飛びついてしまうのです。

融資保証金詐欺は昔からある詐欺の1つです。画像は鳥取県県警の広報チラシより

 もっともらしいストーリーを作ることもあります。例えば、「今のままだと融資が難しいので、まずは信用実績を作るために、先にお金を振り込んでください」と言われるケースもあり、手が込んでいます。また、地震や台風などが起きたときには、災害の影響を受けている企業を救済するように見せかけて、融資を持ちかけてくる詐欺師もいるようです。

 「低金利で借り換えられる」「多重債務を一本化できる」と言ってくることもあります。これは借金に苦しんでいる人にとっては救いに見えてしまいます。「保証金や登録料は、融資実行時に上乗せして返金する」と言われることも多く、そのため被害者はまた他のところから無理に借金して支払ってしまいます。

 融資保証金詐欺を回避するための対策も他のネット詐欺と同じで、事例を知ることが重要です。融資を求めているのに、先に現金を振り込ませるのは詐欺です。これだけ分かっているだけでも被害を回避できます。詐欺師が「即日融資可能」と持ちかけてくるケースがありますが、融資を受けるまで審査に時間がかかるのが一般的であり、それがないということも逆に怪しいポイントとして判断できます。

 そもそもお金で苦しんでいるのに、その上で詐欺被害に遭ったら目も当てられません。しかし、そんな焦っている人の心を突くのがネット詐欺です。事例を知っていれば、詐欺被害を回避できます。本連載のほかの事例も参考に、被害に遭わないデジタルリテラシーを身に付けましょう。

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと