イベントレポート
CEATEC 2026
JEITA・新野隆会長と自工会・佐藤恒治会長が「CEATEC 2026」展示会場を視察し、IT/モビリティ/フィジカルAIでの「日本の勝ち筋」を語る
2026年10月14日 15:30
「CEATEC 2026」と「Japan Mobility Show Bizweek 2026」が開催されている幕張メッセで、会期初日となる10月13日、CEATEC 2026の主催団体である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の新野隆会長(NEC会長)と、Japan Mobility Show Bizweek 2026を主催する一般社団法人日本自動車工業会(自工会)の佐藤恒治会長(トヨタ自動車副会長兼CIO)が、2つのイベント会場を一緒に視察した。
幕張メッセのホール8から視察をスタート。ホール4までのCEATEC 2026会場を通り、ホール3およびホール2のJapan Mobility Show Bizweek 2026を視察。全体で約40分の視察となった。
視察後、JEITAの新野会長は「JEITAが進めているITと、自工会のモビリティが、密接な関係を築き続けるなかで、2つのイベントが2年ぶりに併催することになった。モビリティは、世界に冠たるベースがあり、ここにITを結び付けることで世界をリードしていける。日本の競争力を高めるうえで、ITとモビリティは分かりやすい組み合わせである。今後も、2つのイベントを併催し続けていきたいという話を2人でしている」と振り返った。
また、自工会の佐藤会長は「2年前に比べて参加企業が増えている。社会実装を推進するための貴重な機会になるように、この場を活かしていきたい。IT産業とモビリティ産業は親和性が高い。お互いに同じゴールを目指すことができる産業同士であり、これがモデル事例になるといいと考えている。お互いにいろいろと考えて、意見をぶつけあうことがイノベーションの原動力になる。これを社会実装することが日本の勝ち筋になる」と述べたほか、「モビリティ産業は、国際競争に打ち勝つことが大切である。そのためには、日本の強みだった産業構造をトランスフォームしなくてはならない。自律的に行えることもあるが、クロスセクターの刺激をもらいながら、イノベーションによって現状を変えていくことも大切である。モビリティ産業は、広く、多くの方々との手をつなぎ、クロスセクターで産業競争力を上げていきたいと考えている。実装を意識した『交差点』を作っていくことが必要であり、2つのイベントはそのための場になる」と位置付けた。
JEITAの新野会長は、CEATEC 2026の会場においてフィジカルAIの展示が増加していることについても言及。「フィジカルAIというと、ヒューマノイドロボットのことを指すことが多いが、日本は産業用ロボットでは世界に冠たるものがあり、そこにAIを組み合わせることで差別化ができる。これまで培ったモノづくりのデータやノウハウを、AIで学習しながら、動かしていくことが、日本のフィジカルAIの勝ち筋になる。この分野では、自動車産業とのコラボレーションも可能である」と語った。さらに「企業同士のコラボレーションだけでは社会実装は進まない。社会実装のスピードを上げるには、日本の政府との連携も必要であるほか、新たなことを切り拓くには、既得権を持つ存在から反対が起きやすいという課題も解決しなくてはならない。リスクを許容する文化を定着させる必要がある」などと述べた。
一方、自工会の佐藤会長は「それぞれの企業が持つデータは、個人情報保護の観点に配慮しながらも、共有基盤にしていくことで、日本の産業全体の競争力向上につながると考えている。特定のテーマをもとに、そこに関連するデータを集約するという実装が進むべきである。電池の製造情報や使用履歴情報などは開示されていないため、価値に変えることができていない。こうした共有基盤がテーマごとにひとつずつ出来上がり、それを複合化したり、統合化したりすることで社会実装が進む」と発言した。


今回のJapan Mobility Show Bizweek 2026では、共創テーマとして「7つのMOVE」を設定。具体的には、学びと協働を進化させ、可能性を広げる挑戦である「MOVE Knowledge」、感情や共感を生み、世界をワクワクさせる挑戦とする「MOVE Heart」、人の移動、行動、選択を変える挑戦となる「MOVE People」、モノの流れを革新し、世界の循環を変える挑戦である「MOVE Things」、データと知をつなぎ、価値を生み出す挑戦である「MOVE Information」、新たな価値と持続する豊かさを循環させる挑戦と位置付ける「MOVE Economy」、都市や制度をアップデートし、社会基盤を築く挑戦である「MOVE Society」を挙げている。
自工会の佐藤会長は「これは、自動車産業としてやろうとしている重点領域であり、協調領域はどこかということを明確にしたものである。『この指とまれ』の指がどこにあり、どんな指が立っているのかをJapan Mobility Show Bizweek 2026で示した。重要なのは、マッチングをするときに、お互いが持っているゴールのイメージをどの接点で合わせていくかという点である。Japan Mobility Show Bizweek 2026では、その点での工夫をしている。一方的に展示を見せるのではなく、双方向で対話ができるブースづくりをしている。クロスセクターで物事を進めるには、ゴールのイメージを共有することが必要であり、ブースの見せ方は分かりやすいようにできるだけ柔らかくしている」などと語った。
また、「舞台に落としてみないと、課題が見えてこないことが多い。それにあわせて、ルールづくりや共通基盤の構築などが必要であるが、業界全体で取り組むと大きな枠組みのなかでの議論となり、舞台には課題が出てこなかったり、課題が見えにくくなったりして前に進まない。社会実装は、スモールスタートにこだわらなくてはいけない。小さくてもいいからやってみるという姿勢が必要だ。自動運転も、特定の行政区域で走らせてみて、そこで得られたナレッジを横展開するなど、実証可能なプロジェクトを推進することが大切だ。そのエネルギーが産業の成長にもつながる。スタートアップ企業はスピード感があり、深い技術を持っているが、出口戦略に悩みを持っている。一方で、全体を俯瞰して見ることができるのは、大企業が得意な部分である。ここをつなげることができれば、大きな変革が可能になる」と語った。

日本の企業などに対してサイバー攻撃が相次いで発生し、これにより、新たな取り組みの社会実装の遅れを懸念する声に対してもコメント。JEITAの新野会長は「AIを活用したサイバー攻撃が増加しており、これを100%守るということは技術的に難しい。だが、絶対に守らなくてはならない情報は隔離するなどの手段を取るべきである。サイバー攻撃を受けたときに、瞬時で遮断する技術もある。企業は、備えにもAIを使わなくてはならない」とし、「サイバー攻撃の影響が深刻だが、社会実装のブレーキにはならない。また、ブレーキにしてはいけない」と発言した。
これはIT産業に限った話ではない。自動車産業において、自動車のフィジカル面での安全性や安心を追求するのは当然として、サイバー領域での安全性や安心への対応も強く求められていると言える。自工会の佐藤会長は「これまでは、フィジカル領域だけの影響だったものが、バーチャルの世界にも影響を及ぼしている。この世界に対して、もっと労力を使わなくてはいけない。だが、完璧なガードは存在しないのは明らかだ。被害を軽減したり、なにか発生した際には対応を迅速化したりといったところに企業努力をする必要がある。データ基盤をしっかりと構築し、産業全体で広がりを持たせることで堅牢性を高めなくてはいけない。前に向かうエネルギーに対してブレーキにならないようにする必要がある」と語った。
