イベントレポート

CEATEC 2026

「挑戦しない国に、未来はない」高市首相、日本のデジタル産業の挑戦に期待を寄せる

産業界・経済界・政府関係者らが参加して「CEATEC 2026」オープニングレセプション

10月13日に開催された「CEATEC 2026」のオープニングレセプションで。関係者による記念撮影

 「CEATEC 2026」のオープニングレセプションが10月13日18時30分から、東京・丸の内のパレスホテル東京で開催された。

 会場には、IT/エレクトロニクス産業の経営トップをはじめとする経済界関係者のほか、政府関係者、在日大使館関係者、CEATEC AWARD 2026の各大臣賞の受賞者など、約700人が参加した。

 主催者である一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)会長の新野隆氏(NEC会長)は、「CEATEC 2026のテーマは『Transformation』である。AIをはじめとしたテクノロジーは、目覚ましい速度で進化をしている。その進化を、社会の変革へと結び付けていくことが求められている。『技術がつながる』『産業が交わる』、そして『人と人とがそれぞれの知恵や活動を重ねる』ことで、新しい価値が生まれ、産業や社会の変革が始まることになる。そのための場が、CEATECである」と位置付けた。

 また、「2024年に続き、Japan Mobility Show Bizweekとの併催となった。自動車産業とデジタル産業が同じ場所に集い、さらに多様な産業の人たちが加わることになる。これは、いまの時代を象徴する光景である。CEATECは、技術やアイデアが結び付き、新しいビジネスや社会の姿が生まれる変化の起点でありたい。4日間を通じて、新たな共創と、新たな挑戦が生まれることを願っている」と語った。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)会長の新野隆氏(NEC会長)

 また、「Japan Mobility Show Bizweek 2026」を主催している一般社団法人日本自動車工業会会長の佐藤恒治氏(トヨタ自動車副会長兼CIO)は、「2024年に続き、CEATECと一緒にJapan Mobility Show Bizweekを開催できることをうれしく思う。4日間を一緒に盛り上げられるように、日本自動車工業会も尽力する」と前置きし、「会場での説明を聞くと、どうしても足が止まってしまう。1つの展示の説明を聞くのに20分かかるとすれば、会期中の4日間では回りきれないほどリッチなコンテンツが集まっている。デジタルとモビリティの2つの展示会の同時開催により、これまで接点のなかった企業や産業の交流も生まれていることになる。こうした多様性のなかからイノベーションは生まれる」とした。続けて、「Japan Mobility Show Bizweek 2026は『あなたが動けば、世界が動く。』をテーマにしている。世界を動かすイノベーションも、その始まりはひとりひとりの一歩である。自動車産業も、次世代のモビリティやモノづくりを通じて、イノベーションを社会に実装し、変革を加速させるパートナーであり続けたいと思っている。CEATECにも、新しい価値を生み出す展示会であり続けてほしい」と、エールを贈った。

一般社団法人日本自動車工業会会長の佐藤恒治氏(トヨタ自動車副会長兼CIO)

 ビデオメッセージを寄せた高市早苗首相は、「高市内閣では、AI・半導体・デジタル・サイバーセキュリティ・情報通信・量子などを、日本成長戦略を牽引する『戦略17分野』に位置付けており、成長戦略全体で累計370兆円を超える官民連携の国内投資を促していくことになる。これらの分野は、AIトランスフォーメーションの核となるものであり、日本のあらゆる産業界において、高付加価値化が実現することを期待している。挑戦しない国に、未来はない」とし、「CEATEC 2026は、『Transformation』をテーマに、AIやデジタル技術の研究成果や導入事例、開発中のプロジェクトなどが紹介されると聞いている。CEATEC 2026を契機として、我が国のデジタル産業の挑戦が後押しされること、そしてデジタル技術の活用によって、我が国の経済が高付加価値を生み出す行動に変わっていく姿を国内外に示していくことを期待している」と述べた。

ビデオメッセージを寄せた高市早苗首相

 来場した藤井比早之総務大臣は、「CEATECは、日本最大で最先端の情報通信技術の総合展示会である。戦略17分野の1つである『情報通信』は、インフラのなかのインフラであり、その利用は陸・海・空へと大きく拡大している。総務省では、これらのすべての空間で情報通信の活用が進むように、戦略的・重点的に成長投資を行っていく。陸では、2030年代のAI時代を支える次世代のデジタルインフラであるAPN(オール光ネットワーク)の普及に取り組む。安全保障の観点からも、自立性の確保が急務となっている分野である。海では、国際通信の約99%を担い、AI社会を支える基幹的インフラである海底ケーブルに取り組む。そして、空においては、いつでもどこでもAIやクラウドにつながることを可能にする6Gや衛星光通信による次世代ワイヤレスに取り組む。これらの情報通信インフラの整備を促進することで、AX(AIトランスフォーメーション)の社会実装に貢献しながら、AIを活用した地域課題の解決を支援。地方発のAXも強力に推進する」と語った。

藤井比早之総務大臣

 また、古川俊治デジタル大臣は、「AIは戦略17分野の1つであり、AIの社会実装はすべての戦略分野の基盤となる。社会全体を駆動するAXに対応した規制制度改革を進める原則や、社会実装を加速するアクションプランを年末までにまとめる予定である。AIデジタル改革推進会議を立ち上げ、省庁横断で議論を行う。2026年7月にはデジタル行政推進法を改正しており、国が持つデータの利活用を通じて、国民の利便性の向上を図る民間事業を国が後押しすることになる。官民のデータ連携および利活用が進み、国民生活の向上、経済の発展につながることを期待している」と述べる一方、「CEATEC 2026では、AIをはじめ、人と技術とアイデアが集い、新たな価値の創造を通じて、社会の環境進化を促すことになる。また、CEATEC AWARDの表彰を通じて、新たなデジタル技術の開発や普及が促進され、人にやさしいデジタル技術の実現を期待している」などと語った。

古川俊治デジタル大臣

 若山慎司経済産業大臣政務官は、会期初日にCEATEC 2026の会場を訪れたことに触れながら、「2、3時間では足りず、3日間ぐらいかけてじっくり見たいと思った」と来場した感想を述べたあと、「AIの進展は、社会や産業のあり方を大きく変えようとしている。産業分野におけるAIトランスフォーメーションは、危機管理投資と成長投資により、強い経済を実現するための肝になる。特にフィジカルAIは、製造・物流・インフラなど、日本の強みのある産業現場に蓄積された重要データが競争力の源泉となり、我が国の勝ち筋となる分野である。国産フィジカルAIモデルの開発やAIロボットの国内製造能力の強化にも取り組む。また、フィジカルAIの実装には半導体が不可欠であり、先端次世代半導体の研究開発や製造能力確保に向けた支援を引き続き実施するとともに、センサーやマイコンといったアナログレガシー半導体への支援も強化する」などと述べた。

 なお、若山経済産業大臣政務官は、CEATEC AWARD 2026の経済産業大臣賞を受賞したTDKの「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」を装着しながらスピーチし、「デザインが良く、軽いというメリットがあるとともに、翻訳アプリを連動させると、相手の目を見ながら外国語で話すことができる。また、私は普段はメガネをかけないが、これにより、少し知的に見えるというメリットもある。真っ先に購入したい」と述べ、「スマートグラスがより身近なものとなり、AIの社会実装が加速することを期待している」と語った。

若山慎司経済産業大臣政務官

 乾杯の音頭をとった日本経済団体連合会(経団連)審議員会副議長の稲垣精二氏(第一ライフグループ会長)は、「日本を取り巻く社会課題は、年々厳しさを増している。経団連では、こうした課題を乗り越え、変化や成長を後押する投資型経済への転換を提言している。また、2026年5月には『科学技術立国戦略』を打ち出し、研究開発投資をもとに、その成果を新たな事業や社会実装につなげ、成長と分配の好循環を進めることを目指している。科学技術やイノベーションが我が国の成長を支える大きな力になる。イノベーションは1つの企業や1つの産業だけでは成しえない。CEATECは、出会いと共創の場である。発見や挑戦、投資を促し、社会全体の変革を実現することになる」と位置付けてみせた。

乾杯の音頭をとった日本経済団体連合会(経団連)審議員会副議長の稲垣精二氏(第一ライフグループ会長)

 オープニングレセプションでは、「CEATEC AWARD 2026」の総務大臣賞、経済産業大臣賞、デジタル大臣賞の表彰も行われた。

 総務大臣賞は、三菱電機グループの「フィジカルAIの“耳”:多様な現場の音から、異常音も人の声も聞き分ける『タスク汎用音源分離技術(TUSS)』」、経済産業大臣賞は、TDKの「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」、デジタル大臣賞は、日立製作所の「ハーモナイズドソサエティ」の実現を支えるAIソリューション群「HMAX by Hitachi」が受賞した。

総務大臣賞を受賞した三菱電機の高澤範行副社長CSO(右)
総務大臣賞を受賞した三菱電機グループの「フィジカルAIの“耳”:多様な現場の音から、異常音も人の声も聞き分ける『タスク汎用音源分離技術(TUSS)』」
経済産業大臣賞を受賞したTDKの齋藤昇社長CEO(右)
経済産業大臣賞を受賞したTDKの「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」
若山経済産業大臣政務官は、「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」を着用して表彰を行った
デジタル大臣賞を受賞した日立製作所の德永俊昭社長兼CEO(右)
デジタル大臣賞を受賞した日立製作所の「ハーモナイズドソサエティ」の実現を支えるAIソリューション群「HMAX by Hitachi」
レセプション会場では「HMAX by Hitachi」の展示が行われ、その場で德永俊昭社長兼CEOが写真撮影に応じてくれた