イベントレポート

CEATEC 2026

スマートホームの今。親を見守る「IoT炊飯器」、スマートキーの標準規格「Aliro」、EVによる「移動する蓄電池」など

「暮らしのDXパビリオン」から注目の展示をピックアップ

「暮らしのDXパビリオン」にはエディオンなどが出展

 「CEATEC 2026」でスマートホームについて展示をまとめたのが、主催者企画エリア「X(Transformation)パーク」のなかの「暮らしのDXパビリオン」。機器連携のための共通標準規格の普及を担うConnectivity Standards Allianceや、家電量販店のエディオンといった、スマートホームの重要なプレイヤーが出展。スマートホームの現在の情報を知ることができた。

エディオン、スマートホームアプリ対応メーカーを拡大。「親孝行見守りパック」も提供

 大手家電量販店のエディオンは、独自のスマートホームアプリを用意しており、家電メーカーとの連携を拡大中だ。

 スマートホームの普及の障壁となっているのが、メーカーごとに専用アプリが異なるという問題と、設定やサポートの問題だ。そこで、エディオンは、マルチベンダー対応のスマートホームプラットフォーム「エディオンスマートアプリ」を推進。一般家庭に混在する異なるメーカーのスマート家電を、1つのアプリからまとめて操作できるようにしている。さらに、エディオンのプライベートブランド家電の「e angle」を含め、対応ブランドは10ブランドへと拡大中だ。

エディオンのアプリを体験
エディオンのアプリで連携する家電メーカーは10ブランドに
プライベートブランド「e angle」からスマートロックも登場

 さらに、家電量販店ならではの強みは、機器の販売だけでなく、購入後の訪問設定・サポートまでセットで提案できることで、そうしたサービスをエディオンのリアル店舗で案内する。

 そして、今回のCEATEC 2026で大きく訴求したのが、タイガー魔法瓶との共同展開による新サービス「親孝行見守りパック」の展示。単身高齢世帯が増加するなか、家電を通じた見守り市場(親孝行市場)を訴求した。

エディオンの「親孝行見守りパック」には、見守り機能対応のIoT炊飯器とモバイルルーターが入る

 「親孝行見守りパック」は、タイガー魔法瓶のIoT対応圧力IHジャー炊飯器「〈炊きたて〉JPA-S100」に、モバイルルーターと専門スタッフによる訪問設定サポートをパッケージ化したものだ。モバイル回線もセットになっているため、インターネット回線がない世帯にもスムーズに導入できる。

 見守られる側である親世帯では、普段どおりご飯を炊くだけで毎日の炊飯という自然な生活動作が稼働ログとして記録される。センサーやカメラで監視されるということもない。

 一方で、見守る側の子には「本日も炊飯されました」といった通知や健康状態の回答結果が届き、「ちゃんとご飯を食べて生活できている」という安心感が得られる。大げさな連絡をしなくても、自然なコミュニケーションのきっかけを作ることができるという。

タイガー魔法瓶は「日常に溶け込む見守り」目指す。IoT電気ポットも参考出品

 タイガー魔法瓶のブースでは、エディオンの「親孝行見守りパック」の中心となるIoT炊飯器「JPA-S100」に続く取り組みとして、見守り機能搭載の「IoT電気ポット」が参考出品された。気温センサーも搭載する。

 シニア世代の生活では、お湯を沸かすという動作は日常生活の一部。電気ポットの利用データをクラウドに連携させることで、炊飯器で食、電気ポットで室温および水分補給という双方から、生活リズムを可視化できるようになるという。

タイガー魔法瓶のIoT対応圧力IHジャー炊飯器「〈炊きたて〉JPA-S100」
タイガー魔法瓶の見守りについての説明パネル

Matter対応製品がずらり。Connectivity Standards Alliance(CSA)日本支部

 メーカーの垣根を越えた接続性を担保する取り組みとして、標準化団体の「Connectivity Standards Alliance(CSA)」の日本支部と対応機器メーカーなどが共同出展を行った。

Connectivity Standards Alliance(CSA)日本支部

 そのなかの1つ、2022年に登場したスマートホームの標準規格「Matter(マター)」は、メーカーの違いを越えてデバイス同士をシームレスにつなぐ標準規格。ブースでは相互接続を実際に行う展示があった。

 そこでは、1つの照明やスマートロックなど、1つのスマートデバイスをGoogle Home、Apple Home、Amazon Alexa、HOMETACTなどの異なるプラットフォームのアプリから同時に操作して共有できる様子が実演された。

Matter対応製品がずらりと並べられていた
Matterによる相互接続の様子、さまざまなプラットフォームのアプリから操作できる様子を実演

 一方、次世代スマートキー標準規格「Aliro(アリロ)」の展示も行われた。Aliroは、スマートフォンやウェアラブルデバイスを用いたスマートロックおよびアクセス制御の相互運用性を実現する規格。

Matterとともに、次世代スマートキー標準規格「Aliro(アリロ)」も紹介
Aliro対応のスマートロックの例

 展示ブースでは、スマートフォンをポケットやバッグに入れたままドアに近づくだけでハンズフリー解錠できるデモのほか、異なるメーカーのスマートフォンとスマートロックであっても、Aliro規格に準拠していれば共通の操作感と高いセキュリティで解錠と施錠が可能なことが示されていた。

 ブースに共同出展した対応機器メーカーは多く、完成品デバイスだけでなく、エンジニアやメーカー向けにMatter/Aliro対応機器の開発キット(SDK)、通信モジュール、評価ボードなども展示されていた。

スマートロックなどMatter対応製品が展示された。YKK APはスマートホームハブ経由で玄関のロックを動作させた
シブタニのスマート製品、Clavisシリーズ
パナソニックはカメラを展示。AIで映っているものを判定する能力がある
NXPセミコンダクターズはAliro対応の開発プラットフォームを展示
Matterの認証試験を行うテュフラインランドの展示

EVでも在宅医療機器の動作検証、非常時の医療電源インフラに

 スマートホームや暮らしのDXとはちょっと違った展示として、JEITAヘルスケアインダストリ部会のブースで在宅医療機器の動作検証を行っていた。

 近年、停電時のバックアップ電源としてポータブル電源を用意する人が多くなっている。ところが、一部のポータブル電源では、容量・出力波形(純正弦波など)の関係から在宅医療機器の動作が怪しくなるものがあるという。

JEITAヘルスケアインダストリ部会のブースでは、電動車から医療機器への給電について展示した

 その点については過去のCEATECで同様の展示を行っているが、今回はそれに加えて「電源」としてのEVも視野に入れ、「非常時の医療電源インフラ」として日産サクラと外部給電器などの展示を行い、検証済みの具体的な機材構成や安全な接続手順を提示した。

 なぜこのタイミングで展示したのかといえば、今年8月、国土交通省などが作成した「災害時における電動車等から医療機器への給電活用マニュアル(改定版)」が公開されたから。マニュアルにはEVから給電方法の違いや注意点を詳細に記載している。

リアゲートを開くと、荷室左側にコンセントを装備する日産サクラ

 EVの場合、現在はコンセントを備えて直接給電できる車種が多くなっているが、外部給電に対応しながらコンセントを備えない車種や、より大電力を取り出す場合では外部給電器を使用する。この対応についても記載しているほか、ホンダなどの2輪車用の共通充電式バッテリーを使った給電方法も記してある。

ACCESS、EVによる「移動する蓄電池」の可能性を示す

EVによる「移動する蓄電池」の可能性を示す、ACCESSの展示

 ACCESSのブースでは、EVのバッテリーの電力を住宅や施設へ供給するV2H(Vehicle to Home)/ V2X制御技術と、それを支えるバックエンドシステムが展示された。

 EVからの給電で家庭用電化製品を安定して動かすためには、電力制御やデータ連携が欠かせない。ACCESSは単に「EVから家の家電に給電する」にとどまらず、EVの給電機能を活用して平時から非常時まで使えるトレーラーハウスを提案した。

 最新の大容量バッテリーを搭載したEVが1台あれば、通信機器、PC、照明、空調などのオフィス機能を屋外や被災地でもすぐ稼働させることができる。また、必要に応じて複数台のEVを用意して交互に使用したり、電気が通じているエリアにEVが移動して充電し、被災地などに電気を持ち帰ることも可能になる。

 災害時に単に電気が使えるだけでなく、一歩進め、ACCESSのバックエンドシステムが電力需給とネットワーク通信を最適に制御することで、BCP(事業継続計画)対策や災害対応拠点として活用できる可能性を示した。

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