スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)
第11回
スマホを家庭で使うときのベストバランスWi-Fiルーター、ASUS「RT-AC59U」
2019年11月15日 11:00
スマホをシッカリ活用したいと考えると、自宅ネット回線のWi-Fiはとても重要だ。スマホでは、動画や音楽の視聴はもとより、アプリやOSのアップデートなどで、意外と大量のデータを消費する。
結果として、モバイル回線のデータ量が毎月のように上限に到達し、速度が遅くなっていたり追加料金が必要だったりしている人も多いはず。特に、OSやアプリのアップデートの場合はほぼ無意識に通信している場合もあり、「あれ?」なんてこともあるだろう。
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しかし、Wi-Fiで自宅の固定インターネット回線を利用するなら、そうしたモバイル回線の容量制限を回避して、思う存分データ通信を利用できる。たとえば、大きめのデータは自宅Wi-Fiでダウンロードしておき、外出先での通信は主にメールやチャット、SNS投稿などに留めるような使い方をすれば、通信量を抑えられる。
「数年前のネット機器」、実はもったいない!
では、「Wi-Fiならなんでもいいのか?」というと、実はそうでもない。Wi-Fiの接続規格は、徐々に進化を続けているからだ。
例えば、10年ほど前、固定ネット回線を導入すると同時に、Wi-Fiルーターを用意し、そのまま使い続けている環境があるとしよう。
当時はIEEE 802.11n[*1]というWi-Fi規格が流行っていたので、現在主流であるIEEE 802.11ac[*1]と比べてだいぶ見劣りがする。特に、回線の契約時などにレンタルされるモデムに内蔵されたWi-Fi機能を、そのまま長期間使い続けているケースなどは、せっかくの固定ネット回線の速度が持ち腐れ。
例えば、最新のルーターでは、「大人はNetflix、子供はYouTube、そしてPCはWindows Update中」なんてときでも、快適さが落ちないよう、さまざまな技術が導入されているからだ。
つまり、ルーターを追加したり、交換するなどして、Wi-Fi環境を一新することで、そうした環境を手に入れられる。
[*1]……IEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」、IEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」とも呼ばれるようになっている
これからしばらくの間、そうした方向けに最新ルーターの使いこなしの方法を実践していきたい。例とするのは、そうした用途に最適なコストパフォーマンスの高いASUSのWi-Fiルーター「RT-AC59U」だ。
Wi-Fi 6こと11ax対応ルーターやまだまだ高価
2019年時点で最新のWi-Fi規格は、「Wi-Fi 6」とも呼ばれるIEEE 802.11axとなる。2019年ころから対応のルーターやアクセスポイントが出始めているところだが、まだとても高価だ。
そして当然ながら、Wi-Fiルーターだけを高速にしても無意味だ。ルーターにつなぐスマートフォンやノートPCなどのWi-Fi子機を同じ規格に対応させなくては、その速度の恩恵は受けられない。
スマホでは、iPhone 11シリーズが対応する程度で、まだまだ普及前夜という状況だ。特にスマホの利用がメインなら、Wi-Fi 5対応のルーターが価格的にも導入しやすく、性能面でも必要十分だ。デジタル機器をコスパ良くお得に使うには、普及してこなれた規格をお得になった時点で導入するのがコツだ。Wi-Fi 5モデルも登場したばかりはけっこう高価だったのだ。
みんなで使っても、映像の途切れが起きにくいのは「MU-MIMO対応」品
ただし、Wi-Fi 5対応ルーターであれば何でもいいわけではない。一人暮らしのワンルームなら、さほど気にする必要はないのだが、一軒家のファミリーで複数人が同時にアクセスするような環境なら、ちょっと気にした方がいいスペックがある。
それは、複数のスマホなどの端末で同時に通信ができる「MU-MIMO」と、端末のいる特定の方向に電波を強める「ビームフォーミング」の機能だ。どちらも、複数本のアンテナを使って実現するもので、同時に複数の端末が通信を行う際に、快適度が増すのだ。
例えば、YouTubeやNetflixなどで高解像度の動画をほかの誰かが見ていたり、巨大なファイルをダウンロードしていたりすれば、映像が一瞬途切れてしまうような経験をしたことがあるかもしれない。MU-MIMO対応のルーターであれば、こうしたことが起こりにくくなるわけだ。
また、あまりに安さを追求したモデルだと、CPUが貧弱で複数人がアクセスした際にセッションをさばき切れずに速度が低下してしまうこともある。ある程度しっかりした中堅モデルのルーターを選んでおくのが、快適度アップの決め手だ。
ファミリー層向けに最適なベストバランスWi-Fi 5対応のASUS「RT-AC59U」
こうした条件でルーターを選んでいくなら、紹介するASUS「RT-AC59U」は、ファミリー層が導入するのにまさにちょうどいいバランスの新製品だ。規格としてはWi-Fi 5に対応し、5GHz帯で2ストリーム867Mbps、2.4GHz帯では4ストリーム600Mbpsと、このクラスのルーターでは一般的な300Mbpsの倍となる速度で通信が行える。
可動式アンテナを4本備え、先に挙げたMU-MIMOとビームフォーミングにも対応する。Qualcomm製のシングルコアCPU「QCN5502」を搭載するので、処理が重なっても安定した通信が期待できる。多くのスマホもQualcomm製の通信チップを搭載しているので、相性の問題も起こりにくいはずだ。
設定用の専用アプリ「ASUS Router」が用意されているのもスマホ向きだ。この連載では極力アプリを駆使して設定作業をしていく。製品底面には初期設定用のQRコードやパスワードが用意されており、簡単に接続できる点も特徴だろう。
ほかに、ゲスト用SSIDやVPNサーバーの機能も備えている。VPNはOpenVPNに対応だ。ペアレンタルコントロールは、上位モデルにある「Web&アプリケーションフィルター」機能は残念ながら使えないが、時間帯で接続を制限できる。もう少し突っ込んだ設定がしたければ、QoSを設定すれば、ストリーミングやダウンロードなどの特定の通信を目的別に優先して転送させたり、帯域を抑えたりすれば便利に使える。
背面にはUSB 2.0ポートを1つ備えており、ファイル共有に利用できる。ホワイトの本体カラーなのも、ちょっと珍しい。白が基調の部屋に合う。オーソドックスなブラックも用意されていて、こちらはアマゾンで販売される限定モデルとなる。好みで選んで欲しい。
使い方に合うなら、魅力的なスペックがお手ごろ価格で利用できる、なかなかオイシイWi-Fiルーターだ。この連載を読み進めれば、設定でまごつくこともなく使い始めることができ、活用法もバッチリお教えしたい。次回からは、さっそく実際の接続設定を行っていこう。
「スッキリ分かるWi-Fiルーター(ASUS編)」記事一覧
【お詫びと訂正 2月19日 16:49】
登載CPUのコア数関する記載に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
誤:Qualcomm製のクアッドコアCPU「QCN5502」を搭載するので
正:Qualcomm製のシングルコアCPU「QCN5502」を搭載するので
(協力:ASUS JAPAN株式会社)